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日米外相会談及び中曽根大臣主催昼食会の概要

平成21年2月17日

 2月17日、クリントン国務長官は、最初の外交訪問先として我が国を訪問し、中曽根大臣との間で日米外相会談(午前10時半過ぎから約50分間)を行うと共に、中曽根大臣主催昼食会(約1時間)に出席したところ、概要以下のとおり。

1.日米関係(日米安保を含む)

 中曽根大臣より、日米同盟は我が国外交の要であり、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎であるとの基本認識を述べたのに対し、クリントン長官より、日米同盟の重要性について発言があった。両外相は、日米両国が国際社会の平和、発展及び繁栄について責任を有しており、日米関係はより深く、より重要であるという点について率直な意見交換を行った。

 両外相は麻生総理訪米に関する調整を加速することで一致し、2月24日の日米首脳会談の実現に向け、日米両国で調整していくこととなった。

 中曽根大臣より、両外相の電話会談を含む日米のあらゆるレベルで戦略的な対話を強化し、緊密に連携するとともに、我が国が非常任理事国を務める国連安保理においても協力していきたい旨述べた。

 クリントン長官は、日米安保体制に基づく、核抑止を含む対日防衛に係るコミットメントを表明した。

 中曽根大臣とクリントン長官は、在日米軍再編に関し、抑止力を維持しつつ、沖縄等の地元負担の軽減の観点から「ロードマップ」に基づき着実に実施していくことで一致した。また、在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定の署名について、クリントン長官から、本件協定を重視している旨の発言があった。

2.アジア太平洋地域

(1)北朝鮮

 中曽根大臣から、拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的な解決の重要性を指摘し、クリントン長官もこれに同意した。両外相は、検証可能な形で完全な非核化を実現すべく、日米、更には、日米韓で緊密に連携していくことを確認した。また、クリントン長官から、これから拉致被害者の御家族と面会するつもりであることに触れつつ、拉致問題は日本のみならず米国の懸念事項であるとの発言があったのに対し、中曽根大臣からは、オバマ大統領及び同長官の本件に対する強い思いに対する謝意を表するとともに、同長官による拉致被害者家族との面会に対しても謝意の表明を行った。また、クリントン長官からは、六者会合は北朝鮮問題の解決という目的を達成するための最適の枠組みであり、拉致問題も六者会合の枠組みを通じて解決することが重要であるとの発言があり、六者会合の議長国である中国の役割についても言及があった。

(2)中国

 中曽根大臣から、アジア太平洋地域の将来を考える上で中国の動向は最重要であり、同国が国際社会において建設的役割を果たすことを期待している、日中間では、「戦略的互恵関係」の構築が進展しており、昨年は日中韓首脳会議を含め、首脳間で5回の相互往来を実施した旨述べるとともに、他方で、軍事力近代化、経済格差、金融危機による実体経済の悪化による政治・社会への影響等について、日米でよく注視する必要がある旨述べた。それに対し、クリントン長官より、中国を建設的な形で国際社会に関与させていきたいと考えており、六者会合、気候変動及び世界経済において大きな役割を担う同国の建設的役割を引き出していくことが重要である旨発言があった。

(3)アフガニスタン

 中曽根大臣から、インド洋における補給支援活動に加え、アフガン全土の全警察官8万人の給与の半年分を全額負担する警察支援を行う方針を説明するとともに、500校以上の学校建設、1万人の教員養成、クリニックの建設、650キロの道路建設、竣工式に緒方JICA理事長も出席したカブール国際空港ターミナルの建設、DDR及びDIAGに対する支援等、我が国が実施してきた支援について具体例を挙げつつ説明を行った。これに対しクリントン長官は、我が国の具体的かつアフガニスタン国民の生活向上に役立つ支援を高く評価する旨述べた。両外相は、パキスタン支援国会合に向けた協力についても日米で調整していくことで一致した。

3.グローバルな課題

(1)気候変動・エネルギー

 中曽根大臣から日本のエネルギー効率は世界一であり、経済成長を維持したままの「低炭素社会」への移行を目指した途上国支援及びクリーン・エネルギーについて指導力を発揮したい旨述べるとともに、次期枠組みへの中印の参加が不可欠である旨述べた。また、本件に関する実務的な協議について、両外相は、杉山大使(地球規模課題審議官)とスターン気候変動担当特使との間で緊密に協議させることで一致した。

(2)金融・世界経済

 保護主義への対応について議論が行われ、両外相は、世界第一と第二の経済大国である日米で緊密に協力するとともに、4月に行われるG20に向けても、日米で協力していくことで一致した。

(3)軍縮・不拡散

 クリントン国務長官から、軍縮・不拡散はオバマ政権の重要な外交・安全保障政策の一つであり、日米で一層緊密に連携していきたいとの発言があった。

(4)中東和平

 クリントン長官から、ミッチェル特使の中東派遣について説明しつつ、我が国の「平和と繁栄の回廊」構想を歓迎する旨の発言があった。

(5)アフリカ開発

 クリントン長官からTICAD(アフリカ開発会議)を始めとする我が国の取組に対する謝意の表明があった。

(6)イラン核問題

 中曽根大臣から、イランが国際的な信頼を回復させるとともに、地域の平和と繁栄に建設的役割を果たすことが重要であり、対話と圧力を組み合わせたアプローチが重要である旨述べたのに対し、クリントン長官からは、米国がこれまで主張しているとおり、本件を進展させなければならないとの発言があった。

(7)ソマリア海賊対策

 中曽根大臣から我が国の取組を説明したのに対し、クリントン長官より、これを歓迎する旨の発言があった。

(8)クリントン長官のインドネシア訪問

 クリントン長官が今次外遊においてインドネシアを訪問することについて、中曽根大臣から、世界最大のイスラム国家である同国のアジア太平洋地域における影響の重要性について指摘しつつ、今回の同国訪問を評価する旨述べたのに対し、クリントン長官から謝意の表明があった。

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