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日本・アラブ首長国連邦合同経済委員会第一回会合共同声明(仮訳)

平成19年12月17日
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 2007年12月17日、日本側、高村正彦日本国外務大臣および甘利明日本国経済産業大臣と、アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アラブ首長国連邦外務大臣殿下は、東京において日本・アラブ首長国連邦合同経済委員会第一回会合を開催しました。同会合の結果は以下のとおりです。

  1. 双方は、2007年4月の安倍晋三日本国総理大臣(当時)のアラブ首長国連邦訪問の折に創設された合同委員会の下での協力が、第一回会合の開催をもって開始されたことを歓迎した。また、双方閣僚は、同会合がアブダビ首長国皇太子兼連邦軍副最高司令官ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下の待望の訪日の機会に開催されたことを歓迎した。
  2. 双方は、合同委員会の機能が日・アラブ首長国連邦間の、経済及び投資分野をはじめとする重層的パートナーシップの確立に貢献するとの期待を表明した。
  3. このような理解に基づき、双方の閣僚は、合同委員会の下に、別添の付託事項(TOR)に従い、三つの小委員会を設置することを決定した。双方は、合同委員会および三つの小委員会を通じて、積極的かつ継続的に協力を続ける共通の意思を強調した。 双方はまた、合同委員会は、同委員会を創設する覚書にしたがい、将来的に必要に応じて更なる協力について協議するため、追加的な小委員会を設立できるという理解を共有した。両国間の経済関係をさらに発展させるために、双方は両国の民間部門の要望や期待を考慮しつつ、両国間の貿易・投資・事業機会の増大を目的とした、ビジネス環境改善のためのアクションプランを提案および発展させることの重要性を確認した。
  4. 双方は、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国とアラブ首長国連邦との間の条約に関する交渉の進展を検討し、歓迎した。
  5. 両国は、石油市場の不安定さに関する懸念を共有し、国際石油市場の安定が世界経済の健全な成長のための礎石であるとの共通の見解を再確認した。その観点から、双方は、豊富な炭化水素資源を有するアラブ首長国連邦と、先進的なエネルギー関連技術を持つ日本との間の相互補完的な関係に基づいて、エネルギー分野における二国間協力を更に推し進めていくことを決定した。双方は、日本の民間部門が有する技術とそのアラブ首長国連邦における経済活動が、アラブ首長国連邦の経済発展において重要な役割を果たしてきている事実を認識した。双方は、両国間の経済関係が、石油取引、上流部門の権益、再生可能エネルギーのプロジェクトをはじめとするエネルギー分野や、アラブ首長国連邦のインフラ整備など、様々な分野における日本の民間企業による商取引を通じて構築されてきたことを再確認した。双方はまた、両国間の経済活動の多様化が相互の関係深化にとり非常に重要であることを認識した。これらの分野における最近の進展として以下のようなものが挙げられる。
    • ジャパン石油開発株式会社(JODCO)及び石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるペトロリアム・インスティテュートへの資金援助
    • 国際石油投資会社(IPIC)によるコスモ石油株式会社への直接投資
    • 再生可能エネルギー・プロジェクトへの日本企業群の参加
    • 国際協力銀行(JBIC)とアブダビ国営石油会社(ADNOC)との金融分野における協力強化
  6. 双方はさらに、アラブ首長国連邦の中小企業の振興スキームを策定するための協力を行うことを決定した。日本側は、日本で開発された環境対応型地域旅客機の広範な利用が環境問題解決のために著しく貢献することを強調した。
  7. 双方はさらに、アラブ首長国連邦の諸都市における産業・インフラ整備における協力強化の重要性につき留意した。双方は、今後の相互の合意に基づく権益の延長を含む石油分野での協力をさらに進めることは、日本とアラブ首長国連邦との相互補完的な関係を一層強化することに貢献するとの見解を共有した。二国間関係をさらに強化するアブダビ石油株式会社の鉱区に関する合意への署名に関し、満足の意を表明した。
  8. 双方は地球温暖化問題につき意見交換を行い、国際社会が地球温暖化を管理する戦略を策定する必要性を強調した。この点において、日本側はOPEC首脳会合の機会に発表された排出削減に関する産油国の前向きなイニシアティブを賞賛し、アラブ首長国連邦側は、日本の「美しい星50」イニシアティブを気候変動に取組む世界的な議論への貢献として評価した。双方は、世界のすべての国が参加し、柔軟、公正かつ効果的な地球規模の枠組に向けた決意を表明した。
  9. 双方の閣僚は、日本と湾岸協力理事会(GCC)との間の自由貿易協定(FTA)交渉の最近の進捗を歓迎した。双方は、可能な限り早期の大筋合意に向け、取り組んでいくとの決意を共有した。双方は、FTAの早期締結が物品及びサービス貿易の高いレベルでの自由化を達成し、二国間の経済関係を発展させるものであることを改めて強調した。この目的を達成するために、双方は、十分な資源と熱意をもってあらゆる努力を尽くすとの強い決意を再確認した。
  10. 双方の閣僚は、来年上半期中に第一回の小委員会をアブダビにおいて開催し、今後の各小委員会における議論の方向性について意見交換を行うことを決定した。また、双方閣僚は、各小委員会における議論の進捗状況を踏まえつつ、合同委員会を設置する覚書に基づいて、適切な時期に第二回合同経済委員会を開催することを決定した。

高村 正彦
日本国外務大臣
日本側共同議長

甘利 明
日本国経済産業大臣
日本側共同議長

アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン
アラブ首長国連邦外務大臣
アラブ首長国連邦側共同議長

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