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ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領の訪日(概要と評価)

平成21年12月22日

 ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領は、12月16日~18日まで、我が国の招待(公式実務訪問賓客)により訪日したところ、訪問の概要及び評価以下のとおり。

ポイント

  1. 我が国との関係強化に近年強い関心を示している中央アジアの資源国トルクメニスタンとの間で、1992年の外交関係樹立以降初めて首脳レベルで会談を行い、今後、主として以下の方向性を重視しつつ、両国関係の一層の緊密化を図っていくことで一致した。
    • 政治対話の深化
    • 貿易・投資の拡大
    • 国際場裡における協力
  2. 公式随員として訪日したメレドフ副首相兼外務大臣と岡田大臣との間で外相会談が行われ、我が国が推進する「中央アジア+日本」対話に今後積極的に参加していくとの同国の姿勢が表明されたほか、国際場裡においても様々な協力を行っていくことで一致した。
  3. なお、トルクメニスタンと中国を結ぶパイプライン開通直後の訪日であり、変容しつつある中央アジアのエネルギー安全保障環境の中で、日本の同地域への関心を印象付ける良い機会となった。

I 日程

 12月16日夕刻に鳩山総理との首脳会談を行った後、両首脳間の共同声明(骨子・本文)及び両国外務省間の協力に関する覚書(署名者:西村外務大臣政務官、メレドフ副首相兼外務大臣、本文・仮訳)の署名式、共同記者発表を行い、その後、総理主催夕食会。17日、天皇陛下御会見、日本企業6社による大統領表敬、経済界との夕食会など。18日、コマツ大阪工場(大阪府枚方市)を視察し、離日。


II 首脳会談の概要

1.二国間関係の強化

(1) 両首脳は、外交関係樹立以降初めてとなる首脳レベルでの会談の意義の大きさを指摘しつつ、今後、地域的・国際的な諸問題において両国が協力していく余地が大きいとの認識で一致した。

(2) 鳩山総理より、トルクメニスタンによる種々の改革を歓迎しつつ、今後も同国の民主化・市場経済化に向けた改革努力を支援していく旨述べた。ベルディムハメドフ大統領より、従来のパートナーシップに基づく相互理解を基礎に、今後、両国関係を新たな段階に引き上げることへの期待と、国会議長の訪日をはじめとする議会間交流はその実現に資するものであるとの認識が示された。

(3) 両首脳は、両国経済関係の一層の発展に大きなポテンシャルを有することを確認し、今後、両国経済委員会(注:日本側は民間企業のみで構成)その他の枠組を通じた貿易・投資の一層の拡大に向けた努力を行っていくことで一致した。

(4) 大統領より、特に、石油ガス化学、運輸、情報・通信、観光などの分野における技術導入及びインフラ整備に向けた日本の協力への期待が示され、鳩山総理より、日本ができる協力につき今後検討していきたい旨述べた。

(5) 大統領より、2007年に大学に初の日本語学科を開設したことに言及しつつ、教育、文化、芸術をはじめ人文・社会分野における日本からの協力に期待が示された。鳩山総理からは、今後の同国における日本語教育環境の一層の整備と今後の人材交流の促進に向けた期待を表明した。

2.国際場裡における協力等

 両首脳は、国際連合重視のアプローチにおいて両国が共通している点を指摘しつつ、今後も、国際テロリズム、麻薬問題、軍縮・不拡散などの様々な地球規模の諸問題について協力していくことで一致した。

 また、鳩山総理より、我が国の安保理常任理事国入りに対するトルクメニスタンからの一貫した支持に対する謝意が表明された。


III 評価

1.政治対話の深化

 ユーラシア大陸における東西南北の結節点として、地政学的に重要な位置にあり、豊富な天然ガスを埋蔵・生産する資源国トルクメニスタンは、我が国にとって中央アジアにおける重要なパートナーであり、世界のエネルギー安全保障の観点からも大きな注目を集めている。両国の外交関係樹立以降初めてとなる同国大統領の訪日は、両国間政治対話の深化、二国間関係全体の発展に大きく資するものとなった。

2.経済交流の拡大

 ベルディムハメドフ大統領訪日に際して両国経済委員会により開催された第8回日・トルクメニスタン経済合同会議において、一連の具体的な契約案件に合意・文書署名を行うなど、更なる両国貿易投資関係の拡大に向けた大きな成果が上がった。

3.「中央アジア+日本」対話の枠組における協力の促進

 外相会談においては、我が国が中央アジアの域内協力の促進を目的として推進する「中央アジア+日本」対話の枠組について、これまで積極的な姿勢を示してこなかったトルクメニスタンの外務大臣より、同枠組の有益性を高く評価するとともに、今後議長国ウズベキスタンの下で開催される予定の第3回外相会合への同人の出席を含め、同国として本対話の枠組により積極的に参加していくとの立場が示されたことは、同国との二国間関係促進の観点のみならず、我が国の対中央アジア政策全体に大きな推進力を与えるものとなった。

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