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於:ボツワナ・ハボロネ
2009年3月21-22日
1. 日本及びアフリカ諸国の閣僚及び代表団は、他のパートナー諸国、国際・地域機関、民間セクター、市民社会の代表とともに、2009年3月21日及び22日、ボツワナのハボロネで、横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICADIV)後の最初のTICAD閣僚級フォローアップ会合に、
一堂に会した。
2. 会合は、日本及びボツワナの外相が共同議長を務め、日本の福田康夫前首相及びボツワナのモンパティ・メラフェ副大統領によって正式に開会された。
3. 参加者は、世界金融危機のアフリカに対する悪影響については、2009年2月に開催された第12回アフリカ連合(AU)総会にて、アフリカ諸国の元首及び政府の長により明確化されるとともに、実効的な措置とより幅広い政策課題に関し、危機の影響を緩和するためのアフリカの自助努力を国際社会が支援する必要性に焦点をあてた「金融危機に関するアディスアベバ宣言」において要約されていることに留意した。
4. 参加者は、世界的金融・経済危機のアフリカへの影響に関する見方や関心を反映した本コミュニケを、共同議長である日本政府が2009年4月2日に開催されるロンドン・サミットに伝えるとの申し出を歓迎した。
5. 参加者は、会合開催中のボツワナ共和国政府及び国民による歓待と素晴らしい便宜が提供されたことにつき、深い感謝の意を表明した。
6. 参加者は、横浜行動計画の多くの分野で進捗が見られたことを賞賛するとともに、支援の実施を維持し、かつ、可能な部分は加速することを確約した。参加者は、例えば雇用を創出し、経済成長を促し、地域統合を強化するようなインフラ整備等の分野における支援策の迅速な実施を特に重視し、これに向けた現行の努力に謝意を表明した。
7. 参加者は、アフリカ大陸全体の成長を加速化させ、貧困を削減するとの目標をより効果的に達成できるよう、特にインフラ開発プロジェクト及び貿易・投資促進プログラムの実施における、AU/アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)、地域経済共同体及びTICADIVプログラムのより密接な連携の決定的な重要性を強調した。
8. 参加者は、2012年までに対アフリカODAを倍増し、日本からの対アフリカ投資の倍増を支援するというTICADIVの約束を忠実に履行するとの日本政府の確認を認知し、歓迎した。世界的経済危機を受け、アフリカへの支援を加速する取り組みの一部として、日本政府は、20億ドルの無償資金・技術協力をこの困難な危機の期間にできる限り早期に実施し、改めて確約した最大40億ドルの円借款を機動的に活用することを表明した。
9. 社会において最も貧しく脆弱な層への世界的金融・経済危機の容赦ない影響を認識し、参加者は、これらの人々の困窮の緩和のための日本政府による約3億ドルの食料及びセーフティーネットにかかる時宜を得た支援に心からの謝意を表明した。
10. 参加者は、国際通貨基金(IMF)に対する1,000億ドル規模の融資や国際金融公社(IFC)及び国際協力銀行(JBIC)による30億ドルの途上国銀行資本増強ファンドを含む日本政府が用意したファシリティにつき情報を提供され、これを評価した。これに関し、参加者はこれらの財政措置に対し、アフリカ諸国がアクセスできるよう、一層の柔軟性が発揮される必要性を強調した。また参加者は、国際協力機構(JICA)によるアフリカ諸国向けの金融分野における技術協力及び日本政府の「貿易のための援助」プログラムである「貿易のための開発イニシアティブ」を歓迎した。
11. 参加者は、アフリカ開発アジェンダの促進と支援の維持を手助けする1993年の開始以来のTICADプロセスの取組みへの謝意を表明した。世界的金融・経済危機を背景に、参加者は、TICADプロセスが全てのアフリカ諸国が恩恵を受け、強化され、より門戸が開かれたアフリカ開発のための地球規模のパートナーシップの舞台となり得るとの見解で一致した。
12. 参加者は、現下の世界的金融・経済危機が、商品価格の下落、輸入需要の減退、財政状況の悪化、民間資本流入・外国直接投資及び送金の顕著な減少を含め、アフリカに深刻な悪影響を与えていることに懸念を表明した。参加者は、この経済減速がアフリカの損失となることを看過してはいけないとの強い意志を共有するとともに、2015年までのミレニアム開発目標達成に向けたアフリカ諸国及び開発パートナーによる一層の努力の必要性を強調した。
13. 参加者は、大陸全土において持続的な経済成長の軌跡が確保されるため、政策策定及び財政資源の最適な利用に関するアフリカ諸国と様々な開発パートナーとの間で緊密な連携と調整が今こそ必要であるとの確信を共有した。この点に関し、参加者はすべての開発パートナーが既存の約束を着実かつ効果的に実行することが極めて重要であることを強調した。
14. また、参加者は、ODA贈与、譲許的借款、クレジット・ライン及び追加的手法を含むアフリカへの資金流入の再活性化のための地球規模の取組みが必要であることに同意した。この観点から、アフリカの参加者は世界銀行が提案した脆弱層支援枠組みとともに、アフリカ開発銀行によるその他の措置を歓迎した。彼らは、ロンドン・サミットが、大陸で最も貧しく脆弱な層を対象としたセーフティネット・プログラムを含むイニシアティブを是認し、かつ支持することを強く主張した。
15. 参加者は、開発に不可欠な支出を守り、拡大できるよう、アフリカ諸国が政府の資金を動員し、適切なマクロ経済政策とガバナンスを追求することの必要性を強調した。アフリカ諸国は、そのための自らの財政・予算システム及び政策決定手続の改善を約束した。さらに、民間セクターのための前向きな金融環境を創出し、海外直接投資及び民間資金流入を刺激するための投資環境改善策の重要性を強調した。
16. 参加者は、貿易・投資がアフリカの持続的な成長と経済開発にとり重要であることを強調した。参加者は、世界市場におけるアフリカ産品のアクセスの一層の拡大の重要性及び開発途上国での産業活動を損なう可能性のある保護主義的措置を避けることの必要性を強調した。参加者は、世界貿易機関(WTO)ドーハ開発アジェンダが開発途上地域の関心に効果的に対処する形で早期妥結するよう全ての努力が払われるべきであると主張した。
17. 参加者は、アフリカにおける持続的な経済成長には 大陸全体への気候変動の影響によって課された挑戦に対し最大限の注意が払われるべきであり、適応・緩和策の実施についてアフリカ諸国に対する国際社会の支援レベルを拡大するよう主張した。また、持続的な成長と経済発展には、平和と安定が根本的に不可欠なことで一致した。
18. 参加者は、G-20が世界的金融・経済危機への対処策を提示するとともに、景気刺激策の協調実施、構造改革や経済回復力改善を目的とした適切なファシリティの設置等を通じ回復加速のため措置を講じていることを賞賛した。
19. 参加者は、危機への対応策はアフリカの声、関心、必要性を踏まえたものであるべきと主張し、アフリカ諸国が世界経済回復への貢献に重要な役割を持つことを強調した。また参加者は、21世紀の世界の現状を反映した新しいブレトン・ウッズ体制を構築するのに好時期であるとの認識を示した。
ボツワナ・ハボロネ
2009年3月22日