欧州(NIS諸国を含む)

世界地図 アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

ラフモン・タジキスタン共和国大統領の訪日(概要と評価)

平成19年12月6日

 ラフモン・タジキスタン共和国大統領は、12月4日~5日、我が国の招待(実務訪問賓客)により東京を訪問したところ、訪問の概要及び評価以下のとおり。

1.日程

 来日中、ラフモン大統領は、12月5日に天皇陛下との御会見、福田総理との首脳会談を行ったほか、高村外務大臣の表敬を受け、小池外務政務官大臣主催昼食会に出席した。また、4日には中山総理補佐官(元駐タジキスタン大使)による表敬を受けた後、日本企業関係者を対象としてタジキスタンへの投資に関するプレゼンテーションを行った。なお、これに先立ち、同大統領は、3~4日、大分での第1回アジア・太平洋水サミットに出席した。

2.首脳会談の概要

(1)日・タジキスタン二国間関係

(イ)福田総理より、アフガニスタンに隣接するタジキスタンの安定は中央アジア・南アジア地域全体の安定にとって重要であり、我が国としてタジキスタンの民主化・市場経済化による国造り努力に対し今後も支援を継続していく旨表明した。これに対しラフモン大統領より、これまでの日本の支援に対する謝意を述べるとともに、道路整備、学校建設、医療機材供与など更なる協力への期待を表明した。福田総理より、タジキスタンの主要幹線道路整備や給水施設改善のための新たな無償資金協力を近々実施する予定である旨述べた。

(ロ)ラフモン大統領より、タジキスタンにおける日本企業のプレゼンス拡大への期待を表明したのに対し、福田総理より、日本企業にタジキスタンの情報を提供し関心を喚起することが必要であり、今回貴大統領が投資セミナーに出席されたことは良かったと思う、今後は新設された在京大使館の役割が重要である旨述べた。

(2)「中央アジア+日本」対話

 ラフモン大統領は「中央アジア+日本」対話に係る日本のイニシアティヴを高く評価し、両首脳は、地域の安定と発展にとり重要な中央アジア諸国の地域協力を推進するため、同対話の下で引き続き緊密に協力していくことで一致した。

(3)国際場裡における協力

(イ)気候変動について、福田総理より、全ての主要排出国が参加する実効的な将来枠組みの構築が不可欠であり、バリで開催中のCOP13で2013年以降の枠組み構築のための新たな議論の場の立ち上げを提案しているので協力をお願いしたい旨述べた。ラフモン大統領より、タジキスタンも氷河の融解や降水量の減少など温暖化の影響を受けており、この分野でも日本と協力していきたい旨述べた。

(ロ)北朝鮮については、福田総理より、非核化措置の実施、拉致問題の早期解決、日朝関係の進展に努力していく旨述べ、ラフモン大統領より、朝鮮半島の問題につき日本が果たしている役割を評価する旨述べた。

(ハ)ラフモン大統領より、水問題に関する国連特別総会の開催についてのタジキスタンの提案に、日本政府の支持をいただきたい旨述べたのに対し、福田総理より、水問題の重要性につき認識を共有しており、ご要請は承ったので検討したい旨述べた。

3.高村外相によるラフモン大統領表敬(於:飯倉公館)

(1)二国間関係

(イ)高村大臣より、アフガニスタンに隣接するタジキスタンの安定は中央アジア地域の安定の鍵を握ると認識しており、その安定的発展のため種々の分野で支援を継続していく旨述べるとともに、タジキスタンが民主化・市場経済化の路を引き続き力強く前進することを期待する旨述べた。

(ロ)ラフモン大統領より、日本からの復興・開発支援に対する謝意を述べるとともに、金融制度の改善、教育、保健、道路整備、給水等の諸分野での更なる支援への期待が表明された。

(2)「中央アジア+日本」対話

 ラフモン大統領より「中央アジア+日本」対話に係る日本のイニシアティヴを高く評価する旨述べ、高村大臣より、本件対話の枠組みの下、中央アジア諸国の地域協力促進のため、タジキスタンと密接に協力していきたい旨述べた。

(3)国際場裡の協力

(イ)高村大臣より我が国の安保理常任理事国入りに対する支持に謝意を表明し、ラフモン大統領より、タジキスタンは常に日本の立場を支持している旨述べた。

(ロ)ラフモン大統領より、大分での第1回アジア・太平洋水サミットにおいても提案した「水問題に関する国連特別総会」の開催に日本の支持をいただきたい旨述べたのに対し、高村大臣より、我が国は水問題の重要性につき認識を共有しており、御提案を検討したい旨述べた。

4.評価

(1)我が国は内戦(1992~97年)で疲弊したタジキスタンへの復興・開発支援を通じて良好な関係を保ってきたが、今般のラフモン大統領の訪日は、両国間の友好の絆と相互の信頼関係を再確認し、両国関係を更に発展させる契機となった。

(2)我が国が推進する「中央アジア+日本」対話の枠組みの下での協力に対し、改めて大統領の高い評価と支持を得た。

(3)タジキスタン側より、国際社会における我が国の役割の増大を強く支持すると共に、気候変動を含む諸問題につき日本と協力していくとの姿勢が示された。

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る