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台湾における台風8号による災害に対する
国際緊急援助隊・専門家チームの活動概要
平成21年8月31日
【今次活動のポイント】
事前調査チームを派遣し、現地ニーズを踏まえ、専門家チームによる感染症防止
のための調査を実施し、中央及び地方の衛生当局に対して提言を行った。
1.メンバー
- (1)小川正史 外務省アジア大洋州局中国・モンゴル課日中経済室長(団長)
- (2)金川修造 国際医療センター 疾病対策センター 医師
- (3)山本佐枝子 国際医療センター 国際医療協力局 看護師
- (4)細見秀和 独立行政法人JICA 国際緊急援助隊事務局
- (5)岡崎裕之 独立行政法人JICA 国際緊急援助隊事務局(兼先遣隊)
2.派遣目的
台風8号による被害について、台湾当局他と協力し、被災地において感染症防止のための公衆衛生及び地域保健に関する助言を行うこと。
3.活動概要
21日(金曜日)台北に到着。22日(土曜日)から27日(木曜日)までの間、最も被害の大きかった高雄県、屏東県の衛生当局との協議、両県の被災地の実情視察、避難所6か所訪問などの活動を行った。27日(木曜日)、これら調査結果を踏まえて、感染症蔓延防止のための公衆衛生及び地域保健に関する助言・指導、報告を作成し、両県衛生局に提出。また、28日(金曜日)、台北において、衛生署長(保健大臣に相当)に手交。また、27日(木曜日)には現地のニーズを踏まえ、屏東県に対して感染症の検査キットの提供を行った。28日(金曜日)に記者会見を実施。
4.報告書のポイント
(1)疫学的リスク評価
- (イ)台風8号によって台湾南部で起こった災害は、大別して以下の2タイプ。
-山間部の被災地では、土砂崩れ、土石流により多くの住民が住居を失い、避難所での長期生活が予想される。災害による環境汚染は少ない。
-河口部の被災地では、住宅破壊の規模は小さいが、泥水による冠水被害 がひどい。環境汚染が大きい。
- (ロ)今後、生ずる可能性のある感染症(新型インフルエンザなど新興感染症、赤痢などの腸管感染症、人畜共通感染症、節足動物媒介感染症)を指摘。
(2)提言
- (イ)避難所生活者全員に対し、個々人の健康管理手帳を作成し、過去の予防接種、慢性疾患の有無等の情報を記載。
- (ロ)受診者の統計方法を現状の病名による分類のみならず、病状による分類を加える。
- (ハ)避難所内において、患者隔離、接触者管理の必要な疾患を判断し、患者の早期発見、迅速な対応が可能な体制を整備する。
- (ニ)デング熱、レプトスピラ症のような早期確定診断と発生地域の特定が不可欠な疾病には、県レベルの検査機関による迅速な確定診断体制を整えることが必要。
- (ホ)避難民約6000人に対する新型インフルエンザワクチンの優先投与。