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平成20年8月4日
(1)8月2日から3日、スリランカの首都コロンボにおいて、第15回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が開催された。今次首脳会議には、SAARCに加盟する8ヶ国(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、ブータン、モルディブ、アフガニスタン)の首脳の他、オブザーバーとして日本、米国、中国、韓国、EU、イラン、モーリシャスが参加した。(日本からは小原アジア大洋州局参事官が出席し、SAARC加盟国やスリランカ政府の関係者及びオブザーバー国代表等と意見交換した。)
(2)開会セッション(8月2日午前)では、SAARC各国首脳がそれぞれステートメントを行った他、オブザーバー国より、イラン、韓国、モーリシャスがステートメントを行った(オブザーバー国は閣僚レベルの出席者のみステートメントを行うことができる)。
(3)SAARC首脳会議は、8月3日、加盟国首脳のみによるリトリート会合を行い、同日午後、「人民の成長のためのパートナーシップ」と題するSAARC首脳会議宣言及び「食料安全保障に関するコロンボ声明」を採択して閉幕した。
我が国からは、概要以下の高村外務大臣メッセージをスリランカ政府要人やSAARC加盟国・オブザーバー国関係者に直接手交した他、会場にてプレス等に配布した。
(1)民主化・平和構築支援
我が国は「平和協力国家」として、南アジアにおける平和の構築・定着を支援するとともに、民主主義の定着に向けた南アジアの努力を後押しする。具体的には本年実施された選挙への選挙監視団を派遣(パキスタン、ネパール、ブータン)した他、本年バングラデシュ及びモルディブで予定されている選挙への支援を実施。また、アフガニスタン・パキスタンへの支援やスリランカ和平プロセスへの支援を継続する。
(2)域内連携(コネクティビティ)促進支援
SAARCはエネルギー分野において多大な潜在力があり、その潜在力を開花させるためにはコネクティビティ(域内連携)の強化が必要。我が国は、本年6月に「エネルギーと域内連結性」をテーマとする第2回日・SAARCシンポジウムを開催。同シンポジウムの提言を踏まえ、同様のシンポジウムの開催を継続する。
(3)日本とSAARCとの人的交流促進支援
コネクティビティの強化を阻む障害は1人1人の「マインドセット」(固定思考)。この障害を低くするために、日本にSAARC各国の実務家や将来のSAARCリーダーを招聘し、SAARCの人々に日本を舞台として「アラムナイ(同窓)意識」を持ってもらうよう協力を一層進める。具体的には、資源・エネルギー分野の専門家招聘(20-30名)、日本語教師・日本語学習者の我が国での研修(約70名)、理工系大学院生の我が国研究者との交流支援(約30名)、大学生・大学院生の我が国企業・大学でのインターン(約80名)、SAARC高校生招聘(本年は昨年から倍増となる80名を招聘)を実施する。
(1)今次首脳会議は、「人々のためのパートナーシップ」(Partnership for Our People)とのテーマの下で議論が行われた。採択された「人民の成長のためのパートナーシップ」と題する宣言では、人々の幸福、生活の質の向上に資する地域協力(人々を中心とする地域協力)の重要性が確認された。
(2)我が国を含むオブザーバー国との関係では、「オブザーバー国との協力に関するガイドライン」が承認された。また、今次首脳会議では、豪州及びミャンマーのオブザーバー参加が承認された。
(3)食料問題については、首脳宣言とは別途「食料安全保障に関するコロンボ声明」が採択され、SAARC食糧銀行の早急な活動開始(設立は第14回首脳会議で合意)が合意された他、2008年11月にニューデリーにてSAARC緊急農業大臣会合を開催することとなった。
(4)エネルギー価格高騰について議論され、従来型エネルギー及び水力、太陽光、風力、バイオ燃料といった再生可能エネルギーの開発の必要性が確認された。
(5)気候変動に関しては、本年7月に行われた気候変動に関するSAARC閣僚会合において、SAARC行動計画及び気候変動に関するダッカ宣言が採択されたことが歓迎された。また、首脳宣言では、気候変動の対処にあたっては歴史的責任、1人当たり排出量及び各国の能力が考慮されるべきとされた。
(6)南アジア自由貿易地域(SAFTA)へのアフガニスタンの加盟に関する議定書が署名された。また、SAARC開発基金(SDF)実現に向け、SDF憲章への署名が行われた他、SDF事務局をブータンに設置することとなった。
(7)SAARC域内のテロ・組織犯罪に関する協力に向け、SAARC犯罪共助条約へ署名が行われた。
(8)その他、南アジア地域標準機関(SARSO)の設立協定への署名が行われた他、南アジア大学(ニューデリー)の2010年までの開校について合意された。
(9)なお、次回の第16回SAARC首脳会議はモルディブにて開催される予定。