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ロシアにおける対日世論調査(概要)
平成17年8月
平成16年9月、ロシアにおける対日世論調査を行ったところ、主要ポイントは以下のとおり。なお、本件世論調査は2001年3月に続いて実施したものであり、調査結果の信頼度は95%、サンプル・エラーは±4.1%。
1.結果概観
本件調査においては、37%の者が日本が好きと回答し、日本が嫌いと回答した者(3%)を大幅に上回った。国別でみると、日本を好きと回答した者の比率は、仏、独に次ぎ、米と同率の3位である。また、32%の者が日本を信頼できると回答した。
前回調査との比較では、信頼度は前回とほぼ同率(前回は34%)であるが、日本が好きと回答した者は、前回の45%から低下している。また、日本に関心を有するとした回答が48%から40%に低下し、全く関心がないとした回答が27%から40%に増加した。
日露関係については、89%(前回94%)が重要であると認識し、63%(前回61%)が現在の関係を良好であると評価している。関係を評価すべき分野としては、特に外交・安保及び科学技術を挙げる回答者が多かった。
日本は、軍事的脅威とは考えられておらず(41%)、しかし、脅威になりうる(34%)との見方がある。また、モスクワ市・州の住民は、前回(41%)同様、日本が軍事的脅威ではないと考えている傾向が最も強い(46%)。ただし、ハバロフスク地方及びサハリンでは脅威と考える住民が多く、特にハバロフスク地方では、「脅威」または「脅威となりうる」との回答があわせて69%となった。
領土問題が存在することについては、ロシア人の多く(67%)が知っている。交渉による領土問題解決につき39%の国民が理解を示すものの、48%の国民は、四島は現在も今後もロシアに帰属すると考えている。
「ロシアにおける日本文化フェスティバルー2003」は、ロシア国民に広く(36%)認知された。
日本のイメージは、先進技術超大国、伝統文化豊かな社会。日本人のイメージは勤勉。
2.各論 数字は、全回答者のパーセンテージであり、主要設問、主要回答のみを記載(括弧内は前回2001年3月の数値)。
(1)対日関心
- 日本への関心を示すロシア人は、前回(2001年3月)に比べ低下(48%→40%)。「関心なし」は増加(27%→40%)。関心度が高いのは、30-50歳代で高学歴、高収入のグループ。日本に対する関心の高い分野は、産業・技術、歴史・伝統文化、自然・風土・観光。
- 日本に関する主要な情報源は、前回同様、全国版のテレビ。6割以上が日本に魅力を感じつつも、「旅行したい」は2割。主に経済的理由による。
(イ)関心の有無(問1)
- 関心を有する
- 40% (48%)
- 全く関心がない
- 40% (27%)
(ロ)関心の分野(問2)
- 産業技術
- 25% (35%)
- 歴史・伝統文化
- 24% (27%)
- 自然・風土・観光
- 16% (20%)
- 料理
- 14% (前回、この選択肢なし)
- ファッション・風俗・道徳
- 14% (17%)
(ハ)日本情報に接する頻度(問3)
- 月数回以上
- 29% (42%)
- 年数回以下
- 59% (46%)
(ニ)日本に関する情報源(問4)
- 全国版のテレビ
- 69% (87%)
- 全国版の新聞
- 15% (19%)
- 全国版のラジオ
- 12% (20%)
(ホ)訪日歴(問6)
- 訪日歴あり
- 1% ( 1%)
- 親戚が訪日
- 4% ( 3%)
(ヘ)日本の魅力、訪日の希望(問7) (前回、この設問なし)
- 魅力があり、訪日したい 23%
- 魅力があるが訪日できない 40%
- 魅力がなく、訪日希望なし 31%
(ト)日本の魅力(問8) (前回、この設問なし)
- 神社仏閣・茶道・花道等歴史・伝統文化 35%
- 先進的科学技術及び製品 22%
- 自然景観 22%
- エキゾチックな雰囲気 19%
(チ)訪日しない理由(問9) (前回、この設問なし)
(2)対日親近感
- 日本は親近感において、仏(25%)、独(17%)に次ぎ、米国と同率の第3位(10%)。
(イ)日本が好きか(問10)
- 好き
- 37% (45%)
- 部分的に好きで部分的に嫌い
- 24% (24%)
- 嫌い
- 3% ( 2%)
- 無関心
- 30% (24%)
(ロ)親近感を持つ国(問11)
- フランス
- 25% (19%)
- ドイツ
- 17% (14%)
- 日本
- 10% (11%)
- 米国
- 10% (12%)
- 中国
- 4% ( 5%)
(3)信頼度
- 日本を信頼できると考える者は3人に1人。特に18歳-30歳代の高歴の人に多い。
(イ)信頼度(問12)
- 信頼できる
- 32% (34%)
- できない
- 32% (29%)
(ロ)信頼の理由(問13)
- 長い交流の歴史
- 11% ( 9%)
- 共通の利益
- 10% (13%)
- 日本人の国民性
- 8% ( 9%)
(ハ)信頼できない理由(問14)
- 日本人の国民性
- 13% (10%)
(4)日本・日本人のイメージ
- 日本のイメージは、先進技術超大国、伝統文化豊かな社会。日本人のイメージは、勤勉。
(イ)日本の国家体制は、いずれに近いか(問15)
- 立憲君主国
- 25% (前回、この選択肢なし)
- 民主主義国
- 17% (36%)
- 大統領制
- 11% (前回、この選択肢なし)
(ロ)日本社会のイメージ(問16)
- 先進技術超大国
- 41% (51%)
- 伝統文化豊かな社会
- 31% (30%)
(ハ)日本人の性格(問17)
- 勤勉
- 68% (75%)
- 狡猾
- 9% ( 8%)
- 名誉を重んじる
- 6% ( 7%)
- 集団主義
- 5% ( 4%)
(ニ)日本人とロシア人の国民性(問18) (前回、この設問なし)
(5)日露関係
- 9割以上が日露関係を重要と認識。6割以上が現在の関係を良好であると評価。
- 「日本は軍事的脅威ではない」とする見方は、「脅威である」との見方を大きく上回る(それぞれ41%、13%)。しかし、「将来脅威となる可能性」を挙げる者は34%。ハバロフスク地方やサハリンでは警戒感が強い。
- 関係を強化すべき分野では、外交・安保が第1位(40%)。
(イ)日露関係の重要性(問19)
- 絶対に重要
- 31% (31%)
- 重要
- 58% (63%)
- 重要でない
- 3% ( 2%)
- 全く重要でない
- 1% ( 0%)
(ロ)日露関係の評価(問20)
- とても良好
- 2% ( 1%)
- 良好
- 61% (60%)
- 悪い
- 8% (11%)
- 非常に悪い
- 0% ( 0%)
(ハ)協力関係を強化すべき分野(問21)
- 外交・安保
- 40% (34%)
- 科学技術
- 23% (25%)
- 貿易・投資
- 19% (25%)
- 文化交流
- 5% ( 5%)
(ニ)日本の軍事的脅威度(問22)
- 脅威でない
- 41% (42%)
- 将来脅威となりうる
- 34% (35%)
- 脅威である
- 13% (12%)
(6)領土問題・平和条約問題
- 領土問題の存在について67%が知っている。半数近くが北方四島はロシア領と主張。特に極東地域(65%)やサハリン(84%)でこの傾向が目立つ。一方、領土問題を両国の合意により解決すべきとの立場(39%)は、18歳-30歳代の若い世代に多い。
(イ)平和条約が結ばれていない事実(問28)
- 知っている
- 33% (38%)
- 知らない
- 63% (58%)
(ロ)四島帰属に関する交渉(問29)
- 知っている
- 67% (82%)
- 知らない
- 29% (15%)
(ハ)この問題についての両国の立場(問30)
- 双方とも知っている
- 38% (44%)
- 双方とも知らない
- 15% (17%)
- 露側主張のみ知っている
- 4% ( 5%)
- 日本側主張のみ知っている
- 2% ( 5%)
(ニ)四島帰属問題に関する考え方(問31)
- 現在も今後もロシアに帰属
- 48% (48%)
- 両国が相互に合意すべき
- 39% (42%)
- 日本に属すべき確かな根拠があり日本に属すべき
- 3% ( 3%)
- その他
- 1% ( 0%)
(7)文化
- 「ロシアにおける日本文化フェスティバル-2003」は、ロシア国民に広く(36%)認知された。
(イ)「ロシアにおける日本文化フェスティバル-2003」(問32) (前回、この設問なし)
(ロ)日露文化交流の評価(問33) (前回、この設問なし)
(ハ)関心のある日本文化 (前回、この設問なし)
3.調査概要
(1)実施機関:世論基金
(2)実施時期:2004年9月9-29日
(3)実施地域及び対象者数
モスクワ市・州(600人)、中央欧州部(920人)、ウラル・シベリア(600人)、極東(900人)、サハリン(600人)、合計3,620人(18歳以上)
(4)実施形式:調査員によるインタビュー
(5)調査の信頼度:調査結果の信頼度は95%。サンプル・エラーは±4.1%。