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平成21年3月26日
3月26日、帯広市役所において、外務省主催、北海道及び帯広市後援により、第5回・島サミット・シンポジウムin帯広が開催され、キノ・カブア・マーシャル諸島共和国外務次官、小林泉大阪学院大学大学院国際学研究科教授(太平洋島嶼国支援検討委員会座長)、岩間公典外務省アジア大洋州局大洋州課長がパネリストして出席し、100人以上の聴衆が参加しました。また、砂川敏文帯広市長より開会の挨拶を頂きました。シンポジウムの概要は以下の通りです。
(太平洋島嶼国の全般的な情勢を説明の上)島嶼国は、ライフスタイルの変化に伴い、種々の困難に直面しています。この地域は日本にとって漁業資源の供給元、親日的な国が多く、日本にとって重要な地域です。日本はこれまで島嶼国の首脳を集めた4回の首脳会議を開催しており、これは画期的なことです。今後も日本として支援を継続すべきで、そのためには中央政府のみならず地方政府を含め国民全体でその支援を盛り上げていくべきと考えます。
日本がマーシャルや他の島嶼国に多大な支援を頂いていることに深く感謝しています。3年に1度の島サミットは、この地域が抱える問題や日本との関係強化を協議する有益な機会です。島嶼国自身も「パシフィック・プラン」を策定し、自助努力を行っていますが、直面する困難は深刻であり、域内での協力のみならず、日本等からの支援を必要としています。特に、昨年の資源価格高騰により、島嶼国は大きな負担を受けています。日本の支援へのお返しとしては、マグロなどの漁業資源の供給と日本の国際平和への貢献に対する支援があります。太平洋戦争の歴史もありますが、日本はマーシャルに教育、商業、電力インフラ等を導入してくれました。我々は、日本が島嶼国のみならず世界の経済発展、教育向上、平和の達成に主導的な役割を果たすことを期待しています。
今回の島サミットは「We are islanders-エコで豊かな太平洋」としましたが、同じ島国として、島嶼国が直面する環境問題(気候変動による海面上昇、ゴミ・廃棄物)や感染症、水、教育と言った問題に日本として何が出来るか共に考えていくこととしました。また、ミクロネシア3国等、日本との歴史的な関係も深い国がありますが、世代交代によりその関係も薄まっている中で、人的交流も強化していきたいと思っています。今まで4回開催した島サミットですが、認知度が今ひとつ低いのも事実であり、こういったシンポジウムを通じて広報活動を強化していきたいと思います。5月の島サミットでは、北海道、帯広の方々に島嶼国の方々を暖かく迎えていただければ幸甚です。
引き続き行われた質疑応答では、参加者より今回の島サミットのテーマである環境問題を中心に活発な質問、意見交換がありました。中でも、再生可能なエネルギーの利用、固形廃棄物の処理、上下水道の整備、安全な水の確保などについて質問があり、カブア次官よりは、それぞれに重要かつ深刻な問題であり、島嶼国側でも出来るだけの努力は行っているが、現状ではこういった問題への対応は十分出来ていない、日本などのパートナー国から技術面でのノウハウ等を得たいと説明がありました。また、JICA帯広センターよりは、同センターでは毎年約10人の技術研修員を島嶼国より受け入れており、島嶼国の人材育成を支援し、また、研修員を通じて日本との関係強化に努めていると紹介がありました。