大洋州

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「対太平洋島嶼国支援に関するNGOと政府の意見交換会」・議事要旨

1.日時:

 平成21年3月13日(金曜日)15時~17時

2.場所:

 外務省内会議室(中央151号室)

3.参加者:

(1)NGO 8団体(別添参照(PDF)PDF

(2)外務省 岩間大洋州課長、日田国別開発協力第一課企画官、保坂大洋州課地域調整官

4.議事次第:

(1)開会、会合趣旨説明

(2)外務省によるプレゼンテーション

1)太平洋島嶼国支援検討委員会(有識者会合)による提言

2)島サミットのキャッチフレーズ及び基本コンセプト

3)今後のスケジュール

(3)意見交換

(4)閉会

5.議事概要:

(1)会合趣旨の説明

 岩間課長より、昨年から、本年5月に開催する第5回日・PIF首脳会議(通称:太平洋・島サミット、またはPALM:Pacific Islands Leaders’Meeting)に向けた準備を進めてきたが、開催まであと2ヶ月となり、有識者会合での提言がまとまり、同サミットの基本コンセプトも固まるなど準備が整ってきたところである旨、本日はそういった準備状況をご報告するとともに、皆様からのご意見をいただき、今後の準備を進める上で参考とさせていただきたい旨発言。

(2)外務省によるプレゼンテーション

(イ)有識者会合による提言

 岩間課長より、昨年11月に立ち上げた有識者会合が今月最終会合を開催し、提言骨子がまとまった(提言本文は現在最終調整中)旨説明し、別添「提言骨子」に沿い、その内容を説明した。

(ロ)島サミットのキャッチフレーズ及び基本コンセプト

 岩間課長より、有識者会合での議論の内容も踏まえ、島サミットのキャッチフレーズ及び基本コンセプトについて以下のとおり説明した。

 島サミットのキャッチフレーズを「We are islanders - エコで豊かな太平洋」とした。このキャッチフレーズの言葉それぞれは次のとおり、島サミットの基本コンセプト、日本の島嶼国に対する支援の柱を示している。

 「エコ」は「太平洋環境共同体」構想。これは、日本と島嶼国は太平洋を共有する対等なパートナーとの認識に立ち、環境・気候変動分野においてビジョンを共有し、共通の利益を実現していく関係を作ることを目指している。日本からの支援に加え、例えば環境の分野で、廃棄物処理の問題や珊瑚礁の保全等、島嶼国側にもできる範囲で協力してもらおうというものである。

 「豊かな」は人間の安全保障分野における支援を強化し、島嶼国の持つ脆弱性を克服することを目指すもの。能力強化を通じた人づくりを重視しながら、保健、水供給、教育等の分野における支援を強化していくことを考えている。

 「We are islanders」は日本と島嶼国の人々は同じ島国の国民であるという意識の下、人的交流の活性化を図るというもの。太平洋島嶼国は歴史的に親日的な国家郡ではあるが、世代交代により、その繋がりや親しみが薄れてきているのも事実。人的交流を拡充し、次世代の日本シンパを育成していくことが重要。

 なお、ここに挙げた3点は、あくまでも、援助の「選択と集中」を考える際に重視すべき分野として挙げてあるものであり、支援をこの分野のみに絞るというものではない。

(ハ)今後のスケジュール等

 島サミットの本番まであと2か月近くなった。今月下旬、島嶼国からの参加者も得て、準備会合を開催し、首脳会議に向けた調整を行っていく。

 また、広報番組、パンフレットやポスターの作成等、広報も進めていく。NGOの皆様の方でも、イベントやパンフレットの配布等、広報にご協力いただけるところがあればお願いしたい。

(3)意見交換

(イ)参加団体による活動内容紹介(今回新規参加の団体のみ)

  • 財団法人オイスカ

     1961年に設立。本部を日本に置き、現在26の国と地域に組織を持つ国際NGO。人材育成を目的として、太平洋島嶼国での農業指導、環境保全活動やJICAからの受託事業として訪日研修員の受け入れ等を実施している。

  • 国際ロータリー第2650地区

     京都、奈良、福井、滋賀4県にある合計96クラブ、5000名以上の会員により構成。WHO西太平洋地域事務局(WPRO)との関係が深く、ポリオワクチン投与、医療廃棄物焼却炉寄付等の保健衛生分野、並びに小学校教材支援等の教育分野を中心に太平洋島嶼国への支援活動を行ってきた。

  • 太平洋諸島研究者フォーラム

     日本在住の太平洋島嶼国出身の留学生(大学院生)が中心となって結成。日本の政府・社会に対し、島嶼国からの声を伝えるべく活動をしている。

  • 特定非営利活動法人 ツバル・オーバービュー

     地球温暖化による海面上昇の影響によって国土が沈むとされているツバル。そのツバルの現状を人々に伝える写真展等の広報活動や、エコツーリズム等の環境教育を実践している。また、官民を問わず無償援助などのプログラムをコーディネートする事業などを通じて、地球温暖化を防止し持続可能な社会の実現に寄与することを目的としている。

(ロ)意見交換

(a)環境分野における支援に関する意見

  • 「太平洋環境共同体」構想は、島嶼国へ事務的な負担をかけないように進めていく必要がある。規模の小さい国は政府も小さいので、アクション・プランの策定等も負担になる。

    (外務省コメント)「太平洋環境共同体」構想は、島嶼国の各国が、身近なところでやれることをやってもらおうという考え方で、事務的に負担を強いるものは想定していない。島嶼国の中でも、規模の大きい国、小さい国と違いがあるので、それぞれの国ができる範囲で取り組んでもらうというものである。

  • 太平洋島嶼国への援助を考えるとき、環境難民に対する支援も考慮すべき。
  • 今、「エコ」という言葉は一種のファッションのようになっている。エコバッグも普及しているが、洋服に合わせて変えるため、いくつも持っている人もいると聞く。本末転倒にならないよう、本来の意味を人々に伝える必要がある。

(b)人づくりにおける支援に関する意見

  • 現地では、日本の海外青年協力隊(JOCV)が各地で活躍している姿を見る。人材育成を考えるときに、島嶼国の若者だけでなく、日本の若者も同時に育てるという視点も必要。日本が島嶼国の若者から教えられることも多く、謙虚さを持ちながら、日本と島嶼国の若者の交流を深めていくべきと考える。
  • 人づくりには長期的な視点が必要。また、一国だけでなく複数の国もあわせての対応や、リージョナルベースでの能力開発ができると良い。協力可能な国際NGOも存在する。

(c)太平洋島嶼国自体のPRに関する意見

  • 太平洋島嶼国に対するメディアの関心は低いのが現状。「島が沈む」という取り上げ方以外、なかなかメディアで扱ってもらうのが難しい。
  • 日本の教育の中でもっと太平洋島嶼国のことを取り上げてほしい。
  • 日本の若者に島嶼国について教えることは重要と考える。そのための教材もなかなか無いので、自分たちで作成しているところ。
  • 島嶼国を身近に感じてもらうには、文字だけでなく、写真や映像等で視覚化して示すのが有効。

(d)支援全般に関する意見

  • 島嶼国の人と触れ合っていると、物質的には決して豊かとは言えなくても、精神的な豊かさを持っていると感じる。日本人は物質的には確かに豊かだが、精神的な豊かさを失っている部分もあるのではないか。物はなくても純粋で豊かな暮らしをしている島嶼国の人々から学ぶことも多い。
  • 支援を行う際に、援助される側、当事者の声はとても強いものがある。島嶼国が十分に自分達の意見を言える、声を上げてもらう機会を提供するべき。
  • 太平洋島嶼国への支援は、現地の価値観、固有文化と日本のそれとの乖離から、難しい面もあるが、それらを理解することも重要。支援をしても、元々そこに住んでいた人には裨益しにくいという現状もあり、そういう人たちを引き上げることが重要。支援の在り方としては、現地の固有文化を守りながら、物質的、人的な支援をしていくことが望ましい。コンセプトは、現地の人々の思想観に訴えるようなものが必要。

(e)NGO同士の連携に関する意見

  • 太平洋島嶼国を対象としたNGOは決して多くなく、また一団体で活動していても、活動の幅に限界がある。NGO同士も連携を進め、各団体のネットワークをお互いに活用することで、より良い活動に繋げることができる。

(f)外務省に対する質問

  • 今回の島サミットでも、前回と同じように、支援の内容として、具体的な数値目標を打ち立てるのか。

    (外務省コメント)現在調整中であり、今後準備会合等を通じて決定していく所存。

  • 有識者会合では、環境難民はいない、という意見も出されていたが、環境難民についての外務省の考え方はどうか。

    (外務省コメント)「環境難民」という言葉の定義は難しく、政府としてこの言葉の意味を定義したものはない。ただ、環境の変化によって影響を受けている人々がいるということは事実であり、それに対して必要な支援を行っていくというのが政府の考え方である。

(4)閉会

 岩間大洋州課長より、本日頂いたご指摘やご意見を踏まえ、本番の準備を進めていきたい旨述べた。

 また、留学生・有識者・NGOのネットワークを島サミットを超えて維持していただくことが重要である旨、政府とNGOの対話を今後も続けていきたい旨発言し、閉会。

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