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「太平洋島嶼国支援検討委員会」(第5回太平洋・島サミット)第6回会合・議事要旨
1.日時:
平成21年3月5日(木曜日)15時00分-18時30分
2.場所:
グランドプリンスホテル赤坂旧館2階「サファイアホール」
3.出席者
委員:小林座長、草野委員、千野委員、鴇田委員、中野委員、野田委員
ゲストスピーカー:タランギPIF議長
外務省:小原亜洋局参事官他
オブザーバー:関係省庁(内閣府、国交省、環境省等)及び関係団体(JICA等)
4.議事次第
(1)座長による開会、タランギPIF議長の紹介
(2)タランギ議長によるプレゼンテーション
質疑応答
コーヒーブレイク(タランギPIF議長退席)
(3)提言案に関する議論
(4)閉会
5.議事概要
(1)小林座長の冒頭発言
第6回(最終)の検討委員会を始める。最初に、タランギPIF議長にPIF概説、PIF諸国共通の喫緊の課題、第5回太平洋・島サミットに対するPIFとしての期待などについてプレゼンテーションをお願いする。
(2)タランギPIF議長によるプレゼンテーション
(イ)概要
5月に開催される島サミットの議題について考えを分かち合う機会を得られてうれしく思う。次回の島サミットにおいて、様々な問題点に対する実際的な解決策を見出せるよう期待している。太平洋島嶼国と日本の関係、人間の安全保障や人的交流など個々には非常によいトピックであるが、広範囲であるためその中から1つか2つ特定な問題を選ぶことも重要。昨日麻生総理にお会いし、ご提案された太平洋環境共同体構想を歓迎したい。
また現在の金融危機の日本経済における影響は、今後島嶼国の経済にも関係することなので関心を持っている。
(ロ)島サミットにおける太平洋環境共同体構想に関する要望と期待
- 太平洋環境共同体構想を通し、太平洋島嶼国と日本との協力を強化したい。
- 構想内容における議論には、実際的な解決策が見出せるよう学究的な見地からのアプローチも必要。
- 環境分野は、太平洋の海と資源という各国に共通する問題点である。
- 従来の「海への依存」より資源利用による「海の活用」という観点から、太平洋共同体が便益を得ることができるような経済成長や持続的開発にすべき。
- 年間13万人の日本人観光客が太平洋島嶼国を訪問している。より一層相互のパートナーシップを促進し、観光分野を強化したい。
(ハ)タランギPIF議長への意見・質問
- 麻生総理から太平洋環境共同体構想の話が出て、議長の賛同を得られたことを感謝したい。
- 総理との会話の一端と、太平洋環境共同体構想が議長と議長の国々の方々に如何に受け止められたのか伺いたい。
- 過去4回のPALMについて、PIF議長あるいはニウエの代表という立場で良かった点や改善すべき点を教えていただきたい。
- 島嶼国の人々が長年積み上げてきた先祖や文化があり、急な開発よりも経済発展と心の発達を上手に調和させながらゆっくり開発していくことが総合的な繁栄に結びつくと思うが、いかが思われるか。
- 太平洋環境共同体での環境は、漁業支援や産業に結びつく問題や文化的な問題をも含む大変広範囲な意味を持つ。環境は、気候変動などに矮小化するのではなく大きな産業開発まで結びつく問題であり、将来イコール・パートナーとして関わっていくために重要なコンセプトである。PIF諸国は大小様々な国が14カ国集まっており、実際的な話を進めると各国で全く異なる。そのため、総論と具体的な解決策に違いが生じる。PIF諸国が一団として日本などのドナー国に接するとき、どのような整理をしているのか教えて欲しい。
- 各々固有の文化社会・伝統があるPIF14カ国は、環境・経済に対する脆弱性や食糧価格の高騰という共通の課題を有している。西洋の繁栄とは違う、太平洋の資源や自然とともに生きるという「太平洋の繁栄」があるのではないか。地域開発により自助努力で食糧を自給できるよう、日本は人的交流の援助してきた。今後も大事だと思われるが、それについてどう考えられるか伺いたい。
(ニ)上記(ハ)の質問等に対するタランギPIF議長の答え
- 帰国後、各国のリーダーに報告してからでないと反応は分からないが、環境共同体構想について今後も話し合いを進めるよう提言したい。またこの検討委員会のレポートも5月のサミットの論点において重要な要素になると考えている。私とすれば、持続可能な開発が太平洋の資源の鍵となるであろう。
- 過去のPALMで評価すべき点は、日本と島嶼国の双方がこれまでの関係を継続することができた点で、そこから様々なアイデアを開発できた。ただこれまでは学究的な論点に終始しがちであったため、今後はより実際的な解決策が打ち出されるようになることを期待する。
- 中野委員の意見は大変面白い指摘で賛同する。ただ日本がそうであったように文化も変容するものであり、必要に応じて変化することも想定しなければいけない。アイデンティティーとなる哲学自体は変わらないが、取り入れねばならない文化の要素もある。日本の財政的な資源、ノウハウを活用し援助いただくことで、将来において依存を少なくしたい。
- 小林座長の質問は大変良い質問である。重要なのは、われわれは異なる16の国々であることで、それを認め、ご理解いただきたい。パシフィックプランの4つの柱についても、これを島嶼国の各国別に扱い、各国別にアプローチされることが重要で、それぞれの国が独自の個別な要求を持つことを理解して頂くことが、環境共同体をより有意義な枠組みとすることに繋がると思う。
- 援助は施しではなく、島嶼国において雇用を生み出す機会や開発の機会を与えるものだと考えている。そのため日本と島嶼国は一緒に開発の機会を作り出すべきで、そういった投資により共にリターンを得ることができると考えている。日本とのパートナーシップにより太平洋島嶼国の支援への依存度を少なくしたい。
(3)提言案に関する議論
(イ)冒頭の小林座長の発言
11月から始まったこの委員会も、今日6回目の最終会を迎えた。タランギPIF議長のお話を伺い、それぞれにご感想を持ったと思う。
前回最終提言書案を提出し、その後貴重な意見やコメントをいただき感謝している。それらをまとめ、現段階の提言案とその骨子を配布した。私自身としては、骨子版を主にし、提言書を従にしたい。できれば細かな修正を行い、これが最終提言にできるようご協力をお願いしたい。
(ロ)外務省からのコメント
(小原参事官からの感想)
骨子と提言書という2本立ての形でわかり易くかつ中身の濃い提言をまとめていただき、外務省として感謝申し上げる。「基金」については、現時点でその可能性を云々できないが、PIFからの要請もあり、検討していきたい。広域案件の形成は、PIF諸国の置かれた状況が必ずしも同じでなく難しい面もあり、いろいろとお知恵を借りたい。他ドナーとの援助協調、特に中国の援助との関係なども重要な要素である。なお、広報の重要性との関係で、昨日、総理からタランギ議長に対して「We are islanders」というキャッチフレーズを紹介されたので、今後これを広めていきたい。
(日田企画官からの感想)
提言骨子を見て大変示唆に富む提言だと感じた。島サミットに向けてこれを具体化していくことも大事だが、サミット後のフォローアップも大事。今後島嶼国との間で援助政策協議等がある場合、パートナーや途上国の意見を聞きながら提言を反映させていきたい。
(4)閉会
(各委員からのコメント)
- 会議を立ち上げて、それだけで終わらないよう注意願いたい。この地域の専門家としての小林座長の力量には感心した。
- 大変勉強になった。一般の人には関心が薄いが、「環境共同体」と総理が指摘されたことに勇気を与えられた。自分としても、日本とこの地域との関係の重要性を広めていきたい。島サミットの成功を祈っている。
- 企業という立場で参加したが、大変参考になった。
- 太平洋島嶼国評価に参加し、その成果を島サミットにフィードバックするために参加したが、政策のPDCAに関わり、委員全体の意見を反映することができてうれしい。2カ月後の島サミットをぜひ盛り上げて欲しい。
(小林座長)
皆さんのご協力に感謝する。これを機会にぜひ太平洋島嶼国に関心を持ち、太平洋グループの一員として引き続きご尽力をお願いしたい。外務省にもいろいろご尽力いただき感謝している。