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平成18年5月27日
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第4回日本・PIF首脳会議により採択された「首脳宣言:より強く繁栄した太平洋地域のための沖縄パートナーシップ」を受け、日本は、ここに記す支援策を活用して、太平洋島嶼国・地域(以下、「太平洋島嶼国」)の自助努力を支援する。日本は、これまで一貫して、太平洋島嶼国の良きパートナーであり、これまで多くの支援を実施してきた。第4回日本・PIF首脳会議で明らかにされる日本の支援策は、太平洋島嶼国の繁栄と安定に対する日本のコミットメントを、改めて具体的に示すものである。
日本は、太平洋島嶼国のオーナーシップの表れとしてパシフィック・プランを評価し、「経済成長」、「持続可能な開発」、「良い統治(グッド・ガバナンス)」、「安全確保」の4つの重点事項を明らかにした同プランに沿って、太平洋島嶼国が個別及び共同の努力を行うことを期待する。日本の支援策は、そのような太平洋島嶼国の努力とともに、日本とPIFメンバー国の新たな協力枠組みである「沖縄パートナーシップ」を支える二本の柱を構成するものである。
我が国は、パシフィック・プランが示した重点事項を踏まえ、経済成長、持続可能な開発、良い統治、安全確保及び人と人との交流の5つを重点課題として設定する。
具体的な支援事業は、日本の支援が最も効果的なものになるよう、計画され、実施される。また、日本は支援の実施にあたって、地域協力や、太平洋島嶼国の支援について目標を共有するドナーやNGO等の民間団体といった開発パートナーとの協力に留意する。この関連で、今次首脳会議に際して発出された「日豪NZ共同声明」を踏まえ、豪NZとの協力も強化していく。
(1)日本は、太平洋島嶼国に対し、当面の目標として、向こう3年間で総額450億円規模のグラントを中心とした支援を行うことを目指す。本件支援は、二国間及び多国間のスキームを用いて行われる。二国間スキームによる支援の国別の金額は、具体的案件の積み上げ等により決定される。また、本件支援は、下記II.1.~4.の重点課題を中心に実施される。
(2)上記支援の実施のためには、太平洋島嶼国の国家計画及びニーズを踏まえた優良案件が積み上がること、実施体制に問題がないこと等の太平洋島嶼国側の協力が得られることが不可欠である。日本は、今後とも太平洋島嶼国と緊密に協力していく考えであり、また、これら諸国の協力を期待する。
(1)上記1.の支援の一環として、日本は、JICAスキーム等を活用して、向こう3年間で4000人以上の行政官の人材育成を中心とした協力を行うことを目指す。この支援によって、下記II.1.~4.の重点課題に取り組む太平洋島嶼国のキャパシティーが一層強化されることが期待される。
(2)また、太平洋島嶼国の人材育成にきめ細やかに対応するために、幅広い技術や豊かな職業経験を有する、シニア海外ボランティアの一層の活用を図る。
日本は、「人と人との交流」が、いかなる協力関係の基本をなすものであるとの認識を踏まえ、上記1.及び2.とは別に、太平洋島嶼国との間のこのような交流を推進していく。具体的には、向こう3年間で1000人以上の青少年交流を行うことを目指す他、文化交流・文化保存の事業を進めていく(詳細は、下記II.5.参照。)。
以下に記される支援は例示であり、他の支援とともに、今後フォローアップ過程でより具体的な内容(どの国にどのような具体的支援を行うかを含む。)が決定される。
「より強く繁栄した太平洋地域」のための前提条件の一つは、太平洋島嶼国の経済成長である。太平洋島嶼国が、人口・国土・国内市場の小ささと国土の拡散等に直面しつつも、経済的自立のために努力していることを認識しつつ、小泉総理が発表した「開発イニシアティブ」に基づくものを含め、日本は、貿易と投資、インフラ整備、漁業、観光等に焦点をあてた支援を実施する。
(1)貿易・投資
(イ)「一村一品運動」への支援等。
(ロ)JICAを通じた技術協力による支援(専門家、ボランティア派遣、研修等)。
(ハ)国際機関・太平洋諸島センター(PIC)を通じた支援(太平洋諸島展(2006年5月:JETROと共催)、貿易/投資促進ミッションの派遣、本邦開催の外国物産展参加等)
(ニ)JETROによる支援
太平洋諸島展(2006年5月:PICと共催)、専門家派遣等。
(2)インフラ整備
(イ)情報通信技術(ICT)に係る支援
(ロ)運輸インフラ整備
(ハ)エネルギー・インフラ整備
(3)漁業
(イ)JICAを通じた技術協力による支援(研修、専門家派遣等)
(ロ)水産基盤施設の整備(無償資金協力)
(ハ)OFCF(海外漁業協力財団)による支援(漁業技術、資源管理等に関する研修、沿岸漁業、養殖業開発指導等)
(二)かつおまぐろ資源の持続的利用に関する支援(中西部太平洋マグロ類条約を通じた島嶼国のキャパシティビルディング)
(4)観光
(イ)JICAを通じた技術協力による支援(研修等)
(ロ)国際機関・太平洋諸島センター(PIC)による観光促進事業支援
日本は、太平洋島嶼諸国が、「環境問題」、「保健の改善」、「水と衛生」、「教育と訓練の改善」等の課題に取り組むことに対し、以下の支援を行う。
(1)環境
(イ)廃棄物処理マスタープランの大洋州域内への普及・実施
(ロ)自然環境保全
(ハ)気候変動対応
(ニ)地球環境基金を通じた協力
(2)保健
(イ)感染症対策の推進
(ロ)基礎保健サービスの改善
(3)水と衛生
(4)教育/職業訓練
(イ)基礎教育の強化
(ロ)高等教育の強化
(ハ)職業・技術教育の強化
(二)国連持続可能な開発のための教育の10年の推進
(フィジーの南太平洋大学と連携した小中学校のカリキュラム改善・大学院コース開設)
「良い統治」が、太平洋地域の安定の確保、更には「より強く繁栄した太平洋地域」の 達成のための基礎的な条件であることは、日本と太平洋島嶼国の間の共通認識である。日 本と太平洋島嶼国は、第3回太平洋・島サミットの「沖縄イニシアティブ」に基づき、こ の分野での協力を積み重ねてきた。日本は、太平洋島嶼国が、パシフィック・プランに沿 って「良い統治」のために努力していくことを支援することを、今回改めて表明する。
(1)行政能力強化
(2)制度整備
(3)ソロモンにおけるガバナンス向上努力の支援
日本は、「安全確保」が「より強く繁栄した太平洋地域」の前提であることを認識しつつ、太平洋島嶼国が、自然災害や組織犯罪を含む安全確保のための課題に取り組むことに対し、以下の支援を行う。
(1)防災対策
(2)組織犯罪対策
人と人との交流は、いかなる協力関係の基本をなすものである。日本は、太平洋島嶼国との間の友好関係促進と相互理解のため、青少年交流を一層積極的に進めていくとともに、文化交流事業を進めていく。
(1)青少年交流
「高校生交流」、「子供交流」、「世界青年の船事業」等を通じて、向こう3年間で1000人以上の青少年交流を行うことを目指す。
(2)文化交流・文化保存