9月22日(水曜日)午前11時10分(米国東部時間。日本時間23日午前0時10分)から約30分間,国連総会出席のためニューヨークを訪問中の前原誠司外務大臣は,クレーシ・パキスタン外相と会談を行いました。会談の概要は次のとおりです。
1.冒頭・パキスタン洪水災害
- (1) 前原大臣より,就任早々クレーシ外相から祝意の書簡をいただいたことに謝意を述べるとともに,洪水災害による犠牲者に哀悼の意を表するとともに,被災者の方々へのお見舞いを述べました。また,我が国として,テロ対策や政治経済面でパキスタンとの協力を密接に続けていきたい旨述べました。さらに,今般の洪水被災に際して,資金的,物的援助の他,(国際緊急援助隊としての)自衛隊ヘリコプター部隊及び医療チームの派遣について,特に医療チームは一次隊と二次隊合わせて3420名の患者を治療した旨説明し,今後も必要な支援をしていきたいと述べました。
- (2) クレーシ外相より,前原大臣の外務大臣就任に祝意を述べるとともに,洪水被災に対する日本の支援,特に日本の自衛隊ヘリコプター部隊及び医療チームが素晴らしい活動を行っていることに謝意を述べるとともに,日本の支援は初めてではなく,2005年のカシミール大地震をはじめ様々な事態で支援をいただいている旨述べました。
2.二国間関係
クレーシ外相より,良好な二国間関係をさらに発展,深めていきたいとして,両国の外交関係樹立60周年を迎える2012年が節目になると述べました。また,貿易,投資面で,パキスタンは特別経済特区の設立等によって,日本の企業にエネルギー,機械,製造業等様々な機会を提供したい,同国は西アジアや中央アジア向け輸出の中継地となる旨説明がありました。これに対して前原大臣より,パキスタンとの二国間関係は重要であるとして,貴大臣とよく議論していきたい旨述べました。
3.対パキスタン支援
- (1) クレーシ外相より,昨年4月に東京で開催したパキスタン・フレンズ閣僚会合と支援国会合等の我が国の貢献に謝意が表明され,10月中旬にブラッセルで開催されるパキスタン・フレンズ閣僚会合でお会いしたいとして,同会合の説明がありました。
- (2) 前原大臣より,同会合には然るべきレベルの参加を検討したい旨述べるとともに,日本としても経済協力を進めていきたいとしつつ,洪水による窮状はあるも,パキスタンの強固な経済基盤を構築するために,パキスタン政府自身が経済改革に迅速に取り組んでいくことへの期待を表明しました。
4.核軍縮・不拡散
前原大臣より,軍縮会議の機能が停滞している現状が極めて遺憾であるとし,カットオフ条約交渉の早期開始に向けたパキスタンの建設的な対応を要請しました。クレーシ外相より,パキスタンは同交渉を阻んでいる訳ではなく,核軍縮に建設的なアプローチをとっていることを保証する,個別の問題のみに焦点を当てるのではなく軍縮会議のすべての課題に取り組むべきとの立場について説明がありました。
5.国連安保理改革
前原大臣より,日本は安保理改革について早期に具体的な結論を得るべく,パキスタンとは大所高所に立って意見交換,協力をしていきたい旨述べたところ,クレーシ外相より,パキスタンとしても公平,包括的かつ民主的な改革を望んでおり,建設的な対話を行っていきたい旨説明がありました。