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第5回AU首脳会議における小泉総理メッセージ

オルシェグン・オバサンジョ・ナイジェリア大統領、第5回アフリカ連合(AU)首脳会議議長、
アルファ・ウマール・コナレAU委員長、
ムアンマル・アル・カダフィ・リビア革命指導者、
AU加盟国元首・代表団長、

 第5回AU首脳会議の開催にあたり、心よりお祝いを申し上げます。

 今回の首脳会議では、アフリカにおける平和・安全保障、政治・経済、開発、社会・文化について、さらに、国際社会における重大な課題であるとともにアフリカにとっても極めて大きな意味を持つミレニアム開発目標や国連・安保理改革についても、議論されると聞いております。AUがこのように幅広い分野で活発に活動されていること、特に去る3月に経済・社会・文化理事会を設立して活動の幅を一層広げられたこと、さらに、アフリカ諸国がAUと「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)を核として、地域統合と経済社会開発を積極的に推進されていることに敬意を表します。

 我が国は、冷戦終結後、国際社会に「援助疲れ」が見られた1993年に、国際社会のアフリカ開発への関心を呼び戻すことを目的として、アフリカ開発会議(TICAD)を開始しました。それから10年以上にわたり、我が国はこのTICADを基軸として、一国で世界全体のODAの5分の1を担う主要援助国としてアフリカを積極的に支援するとともに、アフリカ支援、特にNEPAD支援に対する国際的な気運を高めるよう努めてきました。その意味で、近年アフリカ開発への関心が世界的に高まっていることは我が国にとっても大変喜ばしいことです。

 本年は、アフリカ開発に国際的に特に高い関心が集まる「アフリカの年」です。この機会に我が国としても、アフリカ支援に今後一層力を入れていくことを決定しました。4月のアジア・アフリカ首脳会議には私自身が出席し、2008年の第4回アフリカ開発会議(TICADⅣ)の開催やアフリカ・アジア協力の強化などに加え、今後3年間でアフリカ向けODAを倍増することを表明しました。また、2月に我が国は、アフリカにおける人命への最大の脅威の一つであるマラリアへの対策として、2007年までに長期残効型蚊帳計1000万帳をアフリカに供与することや、人間の安全保障の概念に基づき地方農村共同体一つ一つの発展と能力強化に焦点を当てた「アフリカン・ビレッジ・イニシアティブ」(AVI)を積極的に推進していくことを発表しました。3月には、アフリカ14ヵ国における平和の定着を促進するため、計6,000万ドルを超える支援を実施しました。さらに先月、我が国は、アフリカ開発銀行と共同で、5年間で最大12億ドルに及ぶ、アフリカの民間部門開発支援のためのイニシアティブをとりまとめました。また、先月末には、アフリカにも深刻な被害をもたらしているHIV/エイズ対策など保健関連のミレニアム開発目標(MDGs)達成のため、世界・エイズ・結核・マラリア対策基金に対する拠出を増額し、当面5億ドルを拠出することを発表しました。また、これに加えて、新たな「保健と開発」に関するイニシアティブに基づき、今後5年間で50億ドルの包括的な協力を行うことも発表したところです。さらに、我が国は、国連ミレニアム・プロジェクト代表ジェフリー・サックス教授の提案による、農業を軸にコミュニティの能力開発を目指す「アフリカン・ミレニアム・ビレッジ」に協力していくことを決めました。

 G8の場においても、先月のG8財務大臣会合では、重債務貧困国(HIPCs)の国際金融機関に対する債務の100%の削減が合意されました。我が国は、2003年のエビアン・サミットにおいて、HIPCイニシアティブの推進にあたりアフリカ諸国に対し約 49億ドルの債務削減を行うことにコミットしており、これはG8中最大級の貢献となります。また、開催が2日後に迫ったグレンイーグルズ・サミットではアフリカが主要議題の一つとなりますが、私はアジアの経験と我が国の実績に基づき、アフリカ自身の開発のための努力を支援するため、積極的に議論に貢献する考えです。

 国連・安保理改革もアフリカにとって非常に重要です。この問題は、今まさに正念場を迎えています。我が国は、殆どのアフリカ諸国が独立するよりも前に創設された国連が、現実を踏まえて改革され、アフリカの声が安保理の議論に適正に反映されるようになるため、アフリカも安保理常任議席を占めるべきだと考えています。我が国が志を同じくする国とともに作成した枠組み決議案は、アフリカへの常任2議席の付与を盛り込んでおり、他の如何なる提案よりも、アフリカ諸国が求める安保理改革の姿と軌を一にしていることを強調したいと思います。改革を実現するこれほどの好機は今をおいてないと考えます。我が国は、本枠組み決議案をアフリカ諸国とともに実現したいと考えており、この点につき、この首脳会議に参加されている全てのアフリカ諸国首脳の支持をいただければ誠に幸いです。

 2002年のAU発足以来、我が国はAUと協議を重ね、その中で日・AU関係は着実に深まってきました。そして先般、我が国政府は、初のAU常駐代表を任命するという画期的な決定を行いました。これは、日・AU関係の重要さを象徴する記念碑的な決定であるとともに、実質的にも、日・AU関係の一層の緊密化に大きく資することは間違いありません。さらに、今後、日・AU間での戦略的政策対話の開始も予定されており、日・AU関係がより幅広く且つ深いものになることを期待しております。

 最後に、今次首脳会議の成功とAUの更なる発展及びアフリカ統合の更なる進展、そして、皆様の益々の御健勝をお祈り申し上げます。

平成17年7月4日
日本国内閣総理大臣
小泉 純一郎

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