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日ニュージーランド共同プレスステートメント(仮訳)
2008年5月14日
(英文はこちら)
- 福田康夫日本国内閣総理大臣とヘレン・クラーク・ニュージーランド首相は、2008年5月14日東京にて会談し、両国が関心を有する幅広い問題について協議した。
- 両首脳は、日本とニュージーランドがアジア太平洋地域において民主的価値を共有する自然なパートナーであることについて留意し、2005年の共同プレスステートメントに基づく両国関係の進展を歓迎し、日NZ関係の強化にむけて取り組む決意を新たにした。
- 両首脳は、長年にわたる貿易投資関係、アジア太平洋地域の平和と安定に対する共通の利益及び人的交流によって二国間の関係が支えられているということを認識し、共通の課題に対処するため、二国間関係を促進する決意を表明した。
I. 二国間関係
経済関係
- 両首脳は、前向きかつ包括的なアプローチが、二国間関係の全ての分野でモメンタムを生み出すことを認識し、貿易及び経済関係を前進させることを再確認した。両首脳は、貿易及び経済関係を維持・強化していくために高級事務レベル経済協議(JEC)が果たす中核的な役割を認識した。
- 両首脳は、50年以上にわたる両国の経済関係の発展と強化に向けた努力に留意し、JECに対し、将来の経済関係のための協力枠組みのあり得べき選択肢を2008年中に提示するよう指示した。
- 両首脳は、経済関係強化のための作業部会から得られた前向きな進展を歓迎した。両首脳は、作業部会に対し、最終報告を2008年後半に開催される次回JEC会合に提出するよう指示した。
- 両首脳は、2008年5月15日に東京においてインターナショナル・ビジネスフォーラムが主催する日NZパートナーシップフォーラムを歓迎し、両国の要人が参加する経済界主導のイニシアティブが、二国間関係の重要性に対する認識とその更なる進展に向けたモメンタムを生み出す一助となるとの認識を共有した。
- ニュージーランド側は、日本による若手社会人招聘計画を、両国のビジネス上の関係を強化するための現在進行中の貢献として歓迎した。
- 両首脳は、認定された経済事業者(AEO)プログラムについての相互承認に係る日本税関とNZ税関の間の取決めの署名を歓迎した。同取決めは、二国間の物品貿易の流れを促進するとともに、サプライチェーンの安全を高めることを目的としたものである。
安全保障及び防衛協力
- 両首脳は、アジア太平洋地域の平和と繁栄に対する共通の利益とコミットメントを認識し、日本とニュージーランドが、高級事務レベル政務協議や防衛当局間協議等を通じて、安全保障・防衛問題に関する二国間対話を強化することを確認した。両首脳は、非伝統的な安全保障上の課題について両国の実際的な協力が可能な分野を探求していくことを確認した。
- 両首脳は、国際的なテロとの闘いへの両国のコミットメントを再確認し、テロ対策海上阻止活動に従事するニュージーランドのフリゲート艦に対する日本の補給支援活動等を通じ、日本とニュージーランドが互いに協力していくことを確認した。また、両首脳は、アジア太平洋地域でのテロ対策について協力を促進することの重要性に留意した。
- 両首脳は、軍縮・不拡散に向けた国際的な努力を促進していく決意を新たにした。両首脳は、大量破壊兵器、その運搬手段及び関連物資の拡散と戦うためにも、関連する国際的枠組みを強化していくことが重要であることを確認した。核兵器不拡散条約(NPT)の一貫性と権威を強化する必要性を認識し、両首脳は、2010年のNPT再検討会議の成功を確実にするために、個別に、また、団結して努力していくことを再確認した。
- 日本側は、G8グローバル・パートナーシップの下でのロシアの退役原子力潜水艦の解体協力事業に対して、ニュージーランドが今後資金を供与することを歓迎した。
- 両首脳は、生物兵器禁止条約(BWC)及び化学兵器禁止条約(CWC)への包括的な支持を得ていくことの重要性を強調した。
- 日本側は、ニュージーランドが、拡散に対する安全保障構想(PSI)訓練 “Maru”を主催し、同訓練に参加するよう日本を招待したことを歓迎した。ニュージーランド側は、日本が同訓練に装備・人員面で貢献する考えであることを歓迎した。
環境
- 両首脳は、日本とニュージーランドが、地球環境問題への対処や環境持続可能性の達成に向けて、二国間及び多国間の枠組みで協力していくことを確認した。
- この文脈において、両首脳は、日NZ環境ワークショップの成功を歓迎し、エネルギー効率性並びに農業及び林業を含む気候変動分野において、より緊密な環境協力を構築するための方法を探求していくことを確認した。
エネルギー安全保障
- 両首脳は、グローバルな石油の安全保障を向上させていくための相互のコミットメントにかんがみ、日NZ石油備蓄協力協定の締結を歓迎した。
- 両首脳は、エネルギー効率性の目標の達成に向けた進捗を確認するためのAPECエネルギー・ピア・レビュー・メカニズムが、エネルギー安全保障のための取り組みの強化とアジア太平洋地域における環境目標の達成に貢献するとの認識を共有した。
食料供給
- 両首脳は、日本が食料の純輸入国であり、ニュージーランドが重要な食料供給国であることを認識し、食料の安定供給の重要性を再確認した。両首脳は、食料価格の高騰傾向について、特に途上国による貧困克服及びミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた努力に対して深刻な影響を与えているとの観点から、強い懸念をもって留意した。また、両首脳は、現在のWTOドーハラウンド交渉が各国による食料輸入の安定化に向けたより良い環境を作り出す可能性について強調した。
科学技術分野における協力
- 両首脳は、科学技術協力協定の締結の可能性を含め、二国間の科学技術協力を強化する方途に関する協議を事務レベルで開催することを決定した。
人的交流
- 両首脳は、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(JETプログラム)における日本語教育等を通じ、より緊密な二国間関係構築のために人的交流を促進していくことが重要であることを認識した。さらに、両首脳は、政治指導者間の交流の促進の必要性について強調した。
- 両首脳は、首脳、閣僚、その他政府関係者による相互訪問が二国間関係の発展に貢献するという認識を共有し、右を拡大させる意図を表明した。また、福田総理は、ニュージーランド首相からのニュージーランドへの招待について感謝の意を表明した。
II. 地域的課題
- 両首脳は、北朝鮮の非核化がアジア太平洋地域の平和と安定を確保するために必要不可欠であることを認識し、北朝鮮が、「完全かつ正確な申告」についての規定を含め、「2005年9月19日の共同声明実施のための第二段階の措置についての合意」(2007年10月3日)を遵守することを求めた。
- 両首脳は、拉致問題を含め、北朝鮮における人権状況について深い懸念を表明し、北朝鮮に対してこの問題を解決するための行動をとることを求めた。
- 両首脳は、太平洋島嶼国地域の平和と繁栄を促進するため、太平洋島嶼国を支援していくことを再確認した。両首脳は、二国間のみならず、豪州や米国のような同地域における他の主要なプレイヤーとの間でも対話や協力を強化していくことの重要性につき強調した。両首脳は、第5回太平洋・島サミット(PALM5)に向けて、緊密に協力していくことについても確認した。
- 両首脳は、東ティモール及びアフガニスタンを含め、アジアにおける平和と安全を促進するために協力していくことを再確認した。
- ニュージーランド側は、東アジア首脳会議(EAS)への参加に対する日本の支持に対し改めて感謝の意を表明した。東アジアにおける長期的な安定と繁栄を実現するため、両首脳は、開放性の原則と普遍的な価値観に基づき、エネルギー安全保障や環境、気候変動、文明間対話、青少年交流といった分野における具体的な協力を促進することによって、EASを発展させていくことを再確認した。また、両首脳は、東アジア包括的経済連携(CEPEA)の民間研究を含め、地域経済統合の進展に向けた協力を歓迎し、右イニシアティブを支持する中で、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)に対するコミットメントを確認した。
- 両首脳は、APECにおける協力の優れた実績にかんがみ、日本とニュージーランドが日本の主催するAPEC2010に向けて、地域経済統合や貿易・投資の自由化、構造改革アジェンダを含む地域的な課題について、緊密な協力を続けていくことを確認した。
- 両首脳は、アセアン地域フォーラム(ARF)を強化していく意図を表明し、効果的な地域的安全保障協力を構築するためにARFが果たしている重要な役割を強調した。
III. 地球規模の課題
国連改革
- 両首脳は、常任理事国及び非常任理事国の拡大を含め、21世紀の現実をよりよく反映するための国連安全保障理事会改革の早期実現に向け、積極的に作業していく決意を確認した。日本側は、拡大された安全保障理事会に日本が含まれること、また、2009-2010年における安保理非常任理事国への日本の立候補に対するニュージーランドの支持に感謝の意を表明した。
気候変動
- 両首脳は、気候変動問題において緊密に力を合わせていく決意、及び、バリ行動計画を含むバリ・ロードマップに基づき気候変動に関する国際交渉を2009年末までに終了させる決意を改めて表明し、全ての主要排出国が意味ある形で参加する実効的な国際的枠組みを構築することの必要性を強調した。両首脳は、新興経済国がそれぞれの責任と能力に応じて適切な貢献をしていくべき旨強調した。
- ニュージーランド側は、日本の「クールアース50」及び「クールアース推進構想」の気候変動問題に対するグローバルな取り組みへの貢献を歓迎し、包括的な2013年以降の国際的な気候変動枠組みにおいて、セクター別アプローチが果たしうる有用な役割を認めた。両首脳は、協力的セクター別アプローチを探求するため、日本とニュージーランドがともに緊密に作業していくことを確認した。両首脳は、革新的なエネルギー技術の研究開発が気候変動問題に対処していく手段として必要であることを認識した。さらに、ニュージーランド側は、気候変動の課題を前進させるためには、本年のG8議長国としての日本のリーダーシップが重要である旨強調した。日本側は、農業分野における排出量削減を促進するため、「家畜からの温室効果ガス排出削減のための国際研究ネットワーク(LEARN)」の創設において、ニュージーランドが果たしている主導的役割を評価した。
WTO
- 両首脳は、日本とニュージーランドがWTOドーハ開発アジェンダ(DDA)交渉において本年中に早期かつ前向きな妥結を追求することを確認するとともに、野心的でバランスのとれた包括的な成果を達成することの重要性について強調した。
知的財産権
- 両首脳は、模倣品及び海賊版との戦いにおいて国際的に協調していくことの必要性について認識し、模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA)交渉の早期締結のために、引き続き協力していくことを確認した。
- 両首脳は、知的財産権の実効的な保護が、イノベーションが牽引する世界経済の成長のために必要不可欠であることを強調した。両首脳は、日本とニュージーランドが特許審査結果の相互利用や実体特許法条約の実現に向けた努力を含め、特許取得及び保護の向上のために協力していくことを確認した。
結論
- 両首脳は、ハイレベルでの対話を行うことの重要性を認識し、二国間の協力分野における成果をレビューし、かつ、二国間関係を強化するための更なる方途を特定するために、ハイレベルでの対話の機会を引き続き探求していくべきであるとの認識を共有した。