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日朝実務者協議の概要

2008年6月

 6月11日午後及び12日、北京にて日朝実務者協議が開催されたところ、概要以下のとおり。(我が方:齋木アジア大洋州局長、先方:宋日昊外務省朝日会談担当大使。)

1.日程

6月11日
午後3時から午後5時半 (於:北朝鮮「大使館」)
6月12日
午前9時半から正午 (於:日本大使館)
午後3時から午後5時45分 (於:北朝鮮「大使館」)

2.概要

(1)拉致問題

 日本側より、1)すべての拉致被害者の帰国、2)真相究明、3)被疑者の引渡し等を改めて要求し、日本側の立場を詳細に説明。拉致問題の最終的な解決に向けた北朝鮮側の具体的な行動なしに日朝関係を前進させることはできないとして、未解決の懸案である拉致問題の最終的な解決に向け、北朝鮮側があらためて決断し、具体的行動をとることを強く要求。

(2)「よど号」関係者の問題

 日本側より、「よど号」ハイジャック犯5名及びその妻2名の引渡しを改めて要求(:5名のうち1名及び妻2名は拉致事案の容疑者。また、5名のうちの1名については死亡情報あり。)

(3)その他の懸案事項

 日本側より、核問題、ミサイル問題等の懸案事項を取り上げ、北朝鮮側に解決に向けた行動を要求。

(4)不幸な過去の清算

 北朝鮮側より、1)国交正常化後の経済協力、2)文化財、3)在日朝鮮人の地位の問題を取り上げ、不幸な過去の清算にはこれらの問題の解決が必要と主張。日本側より、従来の立場(「一括解決・経済協力方式」等)を丁寧に説明。

(5)拉致問題の最終的な解決に向けた行動

 日本側よりは、本年4月の対北朝鮮措置の継続を発表した際の官房長官発表を引用しつつ、北朝鮮側が拉致問題を含む諸懸案の解決に向けた具体的行動をとる場合には、我が国としても現在北朝鮮に対してとっている措置の一部を解除する用意がある旨を改めて説明し、北朝鮮側の具体的行動を要求。

 北朝鮮側は、当初、日本側要求を本国に伝達する等の対応にとどまったが、改めて北朝鮮側の具体的行動を厳しく要求した結果、下記(イ)のとおり、「拉致問題は解決済み」との立場を変更し、具体的行動をとることを約束。

(イ)北朝鮮側の行動

1)北朝鮮側は、「拉致問題は解決済み」との従来の立場を変更して、拉致問題の解決に向けた具体的行動を今後とるための再調査を実施することを約束。

 日本側より、「再調査」は、「生存者を発見し、帰国させるための調査である必要がある」旨を明確に指摘し、先方も同意。今後、調査の具体的態様等につき日朝間で調整していくこととなったが、迅速な調査が行われ、拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の最終的な解決に向け、早期に具体的な結果が得られることが重要。

2)北朝鮮側は、「よど号」関係者(ハイジャック犯及び妻2名)の問題の解決のために協力する用意を表明。容疑者の引渡しのための具体的な取り進め方については、今後、北朝鮮側と協議していく考え。

(ロ)日本側の行動

 北朝鮮側が上記のとおり具体的な行動をとることを表明したことを受けて、日本側も下記の措置をとることを表明。

1)人的往来の規制解除

2)航空チャーター便の規制解除

 また、北朝鮮からの輸入禁止措置や北朝鮮籍船の入港禁止措置は維持するが、人道的な観点から、民間の人道支援物資輸送のために北朝鮮籍船舶を我が国の港に入港させたいとの希望が表明される場合には、人道支援物資の積み込みに限り認めることとした。(積み込まれる物資は、民間の人道支援物資に限られ、現時点で日本政府として人道支援を行う予定はない。入港時に、乗客の乗下船、貨物の積卸し、人道支援物資以外の貨物の積込みを行うことは認められず、厳しくチェックする。)

 なお、これらの措置の実施については、今後、北朝鮮側が約束したことについて真摯に対応するかも見極めていきたいと考えており、現時点で実施の具体的時期が決まっているわけではない。(具体的時期は、改めて明らかにする予定。)

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