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平成17年9月
7月26日(火曜日)から8月7日(日曜日)にかけ中国・北京(釣魚台)で行われた第4回六者会合の概要と評価は以下のとおり。
(1)第4回六者会合では、六者会合の目指すべき「大きな目標」につき合意文書を作成することを念頭に、精力的な議論が行われた。文書作成の過程では、連日に亘る米朝協議、従来以上に頻繁な南北接触、議長国・中国の役割等もあり、相当実質的な議論が行われた。
(2)北朝鮮による原子力の平和的利用といった核心的課題では、北朝鮮は一切譲歩の姿勢を示さず、立場の隔たりを埋めることが出来ず。合意文書の作成は先送りし、六者会合の今次会期は8月末まで一時的に休会とせざるを得なかった。各国は、北朝鮮に対し、「全ての核兵器及び核計画の検証可能な廃棄」を求めたが、今回の会合では、北朝鮮より明確なコミットメント、戦略的決断は行われなかった。
(3)共同声明作成の過程では、朝鮮半島の非核化、日朝・米朝の国交正常化、経済・エネルギー支援、「安全の保証」といった文書の大枠、主要な構成要素について関係国の意見の一致を見ることができたことは一定の前進。
(4)主要な争点として残ったのは以下の2点。
(イ)原子力の平和的利用:北朝鮮は、主権国家として、原子力の平和的利用の権利を主張し、軽水炉の建設再開を要求。これに対し、日米は、北朝鮮は先ずは検証可能な核計画の廃棄、NPT上の義務の完全遵守等を行うべしと主張。
(ロ)ウラン濃縮計画:北朝鮮は引き続きウラン濃縮計画を正面から否定。
最終日(8月7日)に日朝二国間協議を実施(その他に6回接触)。我が方から、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致といった諸懸案を包括的に解決し、日朝国交正常化を図るという日本政府の立場に変更のない旨伝達の上、特に、拉致問題に関連し、生存者の帰国、真相の究明、拉致容疑者の引渡しを求めた。先方からは、我が方の発言は正確に本国に伝えるとの回答。政府としては、政府間協議を通じた具体的進展に向け引き続き働きかけていく方針。