アジア

日・ミャンマー首脳会談(概要)

平成24年4月21日

  • (写真)日ミャンマー首脳会談に臨む野田総理
    (写真提供:内閣広報室)
  • (写真)日ミャンマー首脳会談
    (写真提供:内閣広報室)

 本21日(土曜日),午後17時30分から約60分間,野田佳彦内閣総理大臣は,テイン・セイン・ミャンマー連邦共和国大統領(H. E. Mr. Thein Sein, President of the Republic of the Union of Myanmar)と東京・迎賓館において会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

  1. 総論
     野田総理は,ミャンマーの国家元首としては28年ぶりの公式訪日である今回のテイン・セイン大統領の訪日を歓迎する旨伝えました。また,この1年間,テイン・セイン大統領が民主化・国民和解・経済改革を精力的に推進したことに敬意を表明し,4月に行われた議会補欠選挙も重要な一歩であると評価しつつ,二国間協力の枠組み強化について幅広く意見交換し,今後の日・ミャンマー関係の強固な基礎を築きたい旨述べました。
     これに対し,テイン・セイン大統領は,今回の訪日は,日・ミャンマー関係の歴史の新しい1ページを開く非常に良い機会である旨述べ,日本によるこれまでの支援及び協力に対する感謝の意を表明しました。
     引き続き,野田総理は,ミャンマーの改革は着実に成果を挙げつつあると評価すると同時に,ミャンマー国民が経済面での具体的果実を求めつつあり,改革を進めるために正念場を迎えているとの認識を述べました。また,少数民族との和平や更なる民主化に向けた進展を期待したい旨述べ,このような状況の下,二国間関係を強化し,テイン・セイン大統領の改革努力をより強力に支援できるよう,日本としていくつかの新たな取組の実施につきテイン・セイン大統領の賛同を得たい旨伝えました。
     これに対し,テイン・セイン大統領は,ミャンマー政府として,国民の権利の保障や国民和解に向けて注力しており,国民生活の向上を目指しつつ,環境にも配慮している旨説明しました。さらに,同大統領は,ミャンマーにおける民主化は一定程度進展しており,国内において各層の政治参加を促しているが,その一部は既に実現している旨述べました。

  2. 経済協力
     野田総理は,ミャンマーに対する経済協力方針を根本的に見直し,国民の生活向上支援,経済・社会を支える人材の能力向上や制度の整備支援,持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備支援といった3つの柱を中心に幅広い支援を行っていくとの考えを伝えました。また,二国間で延滞債務問題の解決に向けた全体的な道筋について合意できたことを喜ばしく思う旨述べました。

  3. 経済関係
     野田総理は,二国間経済の関係強化について,ティラワ開発の全体像策定を日・ミャンマー協同事業と位置づける覚書が取り交わされたことを歓迎し,ミャンマーと緊密に連携しながら官民挙げて取り組みたい旨述べました。また,我が国企業は製造業・農業分野に加え,鉱物・エネルギー開発の投資に関心が高く,民間投資を促すには法制度の整備や適切な運用,一層の透明性の向上が必要であるとしつつ,ミャンマーが外国投資法の改正や経済特別区法の整備に尽力するよう求めるとともに,二国間投資協定の協議を加速させたい旨述べました。
     これに対し,テイン・セイン大統領は,日本からの投資及び更なる支援に関し,これまでの日本からの支援に再度感謝を示しつつ,今後の協力を期待したい旨述べました。

  4. 文化・スポーツ交流
     野田総理は,再調整している文化・スポーツ交流ミッションの派遣を両国で良いものにしていきたい旨述べました。また,同ミッションのメンバーは各分野の第一線で活躍する方々であり,日本国内での発信力は大きく,テイン・セイン大統領の協力を期待する旨伝えました。
     これに対し,テイン・セイン大統領は,ミャンマーは2013年に東南アジア競技大会をホストする予定であり,ミャンマーのスポーツのレベルを上げる良い機会としたい旨述べました。

  5. 人的交流
     野田総理は,人的交流の強化も重要であると述べ,今後,鉄道大臣,国家計画・経済開発大臣に加え,若手政党関係者を日本へ招へいしたい旨述べました。また,毎年400名規模の留学生,研修員等の招へいを今後も継続していきたいと伝えつつ,これまでに育成された人材がミャンマーの国づくりと両国関係を支えていくことを期待する旨述べました。
     これに対し,テイン・セイン大統領は,人材育成は国家にとり重要であり,ミャッ・エー教育大臣が日本留学経験者で,このように日本との人的交流、人材育成は既に効果を上げつつある旨述べました。

  6. 長井健司氏死亡事件
     野田総理は,長井氏の死亡事件に関し,昨年12月に玄葉外務大臣がミャンマーを訪問した際に捜査状況や捜査結果について説明を求めており,ミャンマー政府による前向きな対応をお願いしたい旨述べました。

  7. 国際情勢
     両首脳は,午前中の日メコン首脳会議における国際情勢に関する議論と同様に,北朝鮮等について意見交換を行いました。
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