12月17日(木曜日)及び18日(金曜日)の2日間、中東・北アフリカ駐在大使等が参加し、外務省において平成21年度中東・北アフリカ大使会議が開催され、各任国の情勢や二国間関係について、概要以下のとおりの説明、議論が行われました。
1.日本のハイレベルによる中東・北アフリカ地域訪問
日本と地域の関係発展のため、また、地域には日本の閣僚級の訪問が極めて稀な国が存在することに留意しつつ、首脳及び閣僚級の要人往来(特に日本からの訪問)が必要。下記2.及び3.の役割を追求する上でも、こうした政治関係が基本。
2.中東・北アフリカ地域の平和と安定
(1)中東・北アフリカは、中東和平、イラン、イラク、アフガニスタン等難しい問題を抱えており、そのいずれもが世界の平和と安定のために重要。最近ではイエメン情勢も要注意。我が国として一層の政治的役割を果たしていくべき。その際、地域を面として捉える視点を持つことが重要。
(2)域内の同志国とパートナーを組むことにより、中東の平和・安定のための日本外交の幅を広げることを検討すべき。
(3)中東・北アフリカはテロとの闘いの最前線であり、アフガニスタンから北アフリカまでの全域が影響を受けている。テロとの闘いのため、国際社会との連携を志向する域内穏健国とのパートナーシップの強化に引き続き取り組むべき。
(4)日本の対中東・北アフリカ政策に関し、中東和平に関する立ち位置を含め改めて検討すべき。発信の場として国連を活用すべき。
(5)中東和平等、各問題について、米国との調整を一層図っていくべき。
3.重層的関係の構築
(1)科学技術、教育、社会・文化面、更には日本人の規律、生活態度といった日本の強みを活かして、総合的な「日本力」を売り込むことがこれまで以上に重要。中東・北アフリカ諸国も、これらの分野での日本との協力の発展に期待している。
(2)中東・北アフリカ各国は再生可能エネルギーに高い関心を有する。
(3)重層的関係の深化に関する4、5年先の目標を定め、それをテコとして、ハイレベル外交を推進することを検討すべき。
(4)積極的にアラブ人観光客を誘致することによって、日本の魅力を積極的にアピールすべき。また、日本からの観光客の増加も重要。
(5)租税協定、FTA等の早期締結により、アラブに対する日本企業の投資の容易化・促進を図るべき。
(6)日アラブ経済フォーラムは、単独では日本企業を誘致できない経済小国も含め、アラブ各国との重層的関係を進めるのに有益な場であり、フォローアップが必要。
(7)有償技術協力、三角協力等の経済協力ツールは、湾岸を含む中東・北アフリカ地域で有用。