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平成20年5月23日
5月23日、福田内閣総理大臣は、15時50分から約50分間、来日中のアブドゥラ・マレーシア首相と会談を行ったところ、概要以下のとおりです。
(1)二国間関係一般
(イ)福田総理より、概要以下のとおり述べた。
「東方政策」をはじめ、日本に対し特別な政策をとってきたアブドゥラ首相との会談が実現したことを嬉しく思う。ASEAN共同体の実現するためにもマレーシアとの協力が不可欠である。また、両国の経済連携協定(EPA)の下で貿易・投資が増大し、マラッカ海峡の安全確保での協力が進展していることを嬉しく思う。良好な二国間関係を一層発展させるため、また、アジア・太平洋の将来ビジョンを分かち合うパートナーとして一層協力していくため、貴首相との対話を続けていきたい。今後双方の都合の良い適当な時期にアブドゥラ首相が訪日されることを歓迎する。
(ロ)これに対し、アブドゥラ首相より概要以下のとおり述べた。
お忙しい中、お会いいただき感謝する。二国間の協力関係は良好で、特にEPAを締結して以来、日本からの投資が増えた。貴総理のリーダーシップを生かして、両国間の協力をより強化したい。貴総理にも機会があればマレーシアを訪問して頂きたい。自分が先に訪日するか、貴総理がマレーシアを訪問するのか、いずにせよまたお会いしたい。
(2)マレーシア日本国際工科大学(MJIUT)
福田総理より、早期開設を実現すべく、マレーシア側具体案の早期提示に向けた一層の努力を希望する旨述べた。
これに対してアブドゥラ首相より、本件はとても重要なプロジェクトであり、その実現にコミットしてきており、その実現に向け努力したい。
(1)ミンダナオ和平問題
福田総理より、ミンダナオ和平におけるマレーシアの貢献を評価するとともに和平プロセス促進におけるマレーシアの役割は引き続き重要であると考える、日本としてもミンダナオ和平支援とIMTへの貢献を更に強化することを検討しており、マレーシアと協力して取り組んでいきたい旨述べた。
これに対してアブドゥラ首相より、我々としては本件について進展を目にしたいと思っている、ミンダナオ和平におけるマレーシアの役割に対する日本側の評価に感謝する、マレーシアとしても、日本が果たしている役割、特に経済開発面での役割を評価している旨述べた。
(2)北朝鮮
福田総理より、非核化と拉致問題を含む日朝関係が共に前進するよう、米国を始めとする関係国と連携しつつ粘り強く取り組む考えであり、北朝鮮とも友好的な関係を有する貴国とも協力していくことを希望する旨述べた。
これに対してアブドゥラ首相より、我々としても北朝鮮の核問題の解決が重要と考えており、6カ国協議のプロセスを支持している、何か助けになることがあれば言って欲しい旨発言。
(3)気候変動
福田総理より、気候変動問題の解決のため、2050年までに世界全体の排出の半減という長期目標の共有、セクター別アプローチの更なる検討、2013年以降の実効的な枠組みへの全ての主要経済国の責任ある形での参加につき、更に貴国の理解を得て協力を進めたい旨述べた。
これに対してアブドゥラ首相より、気候変動はあらゆる国がコミットしている問題であり、この問題の解決を引き続き支持する、本件について、二国間及びマルチの場で解決策を探るための話し合いをしていきたい、これに関連して、日本との間でエネルギー効率向上等のための協力を推進したい旨発言。
(4)テロ・海賊対策
福田総理より、テロ・海賊対策は両国間の重要な協力分野であり、ともに取り組んでいくことを希望する、その観点からマレーシアには海上警備強化のための無償資金協力を行ってきており、本日(23日)、税関の密輸取締のための機材供与を決定した旨述べた。
これに対してアブドゥラ首相より、日本の支持に感謝する、我々はテロや海賊を減らすだけでなく撲滅することにコミットしている、マラッカ海峡の問題については、シンガポール、インドネシアとも話し合いをしている、サイバーテロ対処も重要と認識しており、今後とも日本と協力していきたい旨発言。
この他、先方より、(1)食糧安全問題に言及しつつ、日本との間でのバイオテクノロジー協力や日本からの農業分野、食品加工分野への投資を歓迎する、(2)マレーシアが進める地域開発計画への日本からの投資を歓迎するといった発言がなされた。