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【要旨】
【今次サミットの概要】
(1)今次サミットでは、米州地域における経済社会問題への対応として雇用の創出が大きく掲げられ、議題として「然るべき雇用の創出」、「貧困に立ち向かうための雇用」及び「民主的ガバナビリティー強化のための雇用創出」が予定された。マルデルプラタ宣言もこれを踏まえる形で、以下のような構成となっている。
1)雇用を伴う成長
2)貧困に立ち向かうための雇用
3)労働力の育成
4)雇用創出の原動力としての零細中小企業の育成
5)雇用創出のための枠組み形成
6)民主的ガバナビリティー強化
(2)同宣言では、雇用問題について、不平等の削減及び貧困撲滅には総合的な政策が必要であるとし、民主的安定を確保する主な課題の一つは国民が経済的繁栄の恩恵を受けることができるよう雇用を創出することであると位置づけている。また、雇用問題と関連づける形で、FTAA、先住民問題、性差別、移民問題、児童労働、感染症(HIV、鳥インフルエンザ等)、職業訓練、零細中小企業の育成強化、テロ対策等の幅広いテーマにも言及がされている。
(1)マルデルプラタ宣言では、米、加、墨、中米・カリブ諸国、アンデス共同体(除くベネズエラ)、チリの29カ国の意向を踏まえ、2006年前半にFTAA交渉を開始するよう交渉担当者に指示するとの記述がされる一方、メルコスール4カ国、及びベネズエラの立場を反映し、平等的均衡のとれた協定を達成する条件が整っていないとする意見が併記されている。
(2)さらに、同宣言では、12月に開催されるWTO香港閣僚会合の結果を踏まえて、この2つの異なる立場について探求することに意見が一致したとして、今後コロンビア政府がFTAA交渉責任者の会合開催に向けて協議を行うことが明記されている。
(1)米州の地域情勢に関しては、今後大統領選挙・総選挙が予定されているハイチ情勢について、「行動計画」において言及がなされるとともに、別途コミュニケが発出され、米州諸国のハイチ情勢に対する関心の高さが伺われた。
(2)そのほか、大統領権限を制限する動き等党派対立が続くニカラグア、和平への努力が続いているコロンビア、本年6月に反政府抗議行動の高まりから前大統領が辞任したボリビアについて、それぞれコミュニケが発出された。
(1)今次サミットと並行し、1日から5日までマルデルプラタ市において、反米州サミットを唱える「第3回ピープルズ・サミット(Cumbre de los pueblos)」が開催された。4日には4万人規模の集会が行われ、チャベス・ベネズエラ大統領も参加し、反FTAA、反米を訴える演説を行った。また、同集会には元サッカー選手のマラドーナ、ボリビアのエボ・モラレス社会主義運動等(MAS)党首等も参加した。
(2)また、同市内で極左過激派グループが、反米、反ブッシュ大統領を唱えデモ行進を行い、一部が暴徒化して付近の商店等が破壊された。また、首都ブエノスアイレス市内においても、米国系企業等が一部グループの攻撃の対象となった。
【参考】米州首脳会議(米州サミット)
第1回会合を1994年12月、マイアミにおいて開催、その後、第2回(1998年、サンティアゴ(チリ))、第3回(2001年、ケベック(加))と開催され、FTAA交渉、民主主義の維持・強化、貧困と差別の撲滅等を中心に議論が行われてきた。