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福田康夫日本国内閣総理大臣とクルマンベク・バキーエフ・キルギス共和国大統領は、
日本国とキルギス共和国との友好・パートナーシップ関係が良好に発展してきたことに満足の意を表し、
外交関係樹立15周年に当たる2007年11月14日~16日に行われたバキーエフ大統領の訪日が、今後の両国間の友好と協力の一層の発展に資する重要な契機となることを確信して、
以下のとおり声明した。
双方は、両国間に存在する友好の絆と相互の信頼を再確認しつつ、両国関係の更なる強化を図るため、様々なレベルにおける両国政府間の対話を強化するとともに、両国民の代表たる両国議会の議員間の交流の拡大を含む政治対話を促進する重要性を指摘した。
双方は、国家の安定と繁栄のために、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済といった基本的価値の定着が重要であるとの認識で一致した。
日本側は、政治的・経済的改革の実現に向けられたキルギス共和国の努力を高く評価しつつ、同国による民主主義の進展と経済改革に向けた取組への支持を表明した。
この関連で、日本側は、自らの経験をキルギス側と共有することを通じキルギス共和国における民主主義の一層の成熟を支援することを目的として、キルギス共和国の国会議員や政党・国会事務局関係者を対象としたセミナー及びキルギス公務員を対象とした地方自治制度の在り方を含む研修を実施する意図を表明した。キルギス側は、これらの支援策に対し感謝の意を表明した。
双方は、貿易・経済関係の強化のために必要な環境整備に努める意図を表明するとともに、キルギス側の一層の日本企業を誘致するための努力及びそのような努力への日本側の協力の重要性を指摘した。
この関連で、双方は、両国の貿易・投資関係の拡大に資する日本貿易振興機構(JETRO)及びロシアNIS貿易会(ROTOBO)の取組の有効性を確認した。
双方は、キルギス経済の持続的な発展にとってキルギスの鉱物資源の開発が有する重要性を指摘した。この関連で、キルギス側は、キルギス共和国における鉱物資源鉱床の共同開発に関心を有する日本企業の誘致に努力する意向を表明した。これに対し日本側は、そのようなキルギス側の意向を歓迎した。
さらに、キルギス側は、同国で徐々に生まれつつある小規模起業家を始めとした日本企業の努力を高く評価しつつ、そのビジネスの展開において生じる様々な問題を積極的に解消することを約した。
キルギス側は、日本国政府がキルギス共和国の民主化、経済発展及び移行期の社会的困難の緩和のため一貫して実施しているODAに対し感謝の意を表明するとともに、協力を継続することへの期待を表明した。
日本側は、ODAにつき、今後5年程度の期間を想定した「対キルギス国別援助計画」が策定される予定であり、同計画に基づき、キルギス共和国の民主化及び市場経済化の促進や経済発展に資する適切な支援を継続する意向を表明した。
双方は、ユーラシア大陸の中心に位置し、海港を有さないキルギス共和国にとって、運輸・交通インフラの整備及び道路行政の強化が同国の持続的・自立的発展及び国際協力の促進にとって不可欠であるとの認識を共有した。この関連で、日本側は、「ビシュケク-オシュ道路改修計画」及び「マナス空港近代化計画」(有償資金協力)並びに「ナリン州道路維持管理用機材整備計画」(無償資金協力)の実施に続き、2007年度無償資金協力として「チュイ州橋梁架け替え計画」の実施を決定した。また、同年度技術協力として道路維持管理能力向上のためのプロジェクト及び道路行政に関するアドバイザーの派遣を実施する意図を表明した。
また、日本側は、キルギス共和国の経済成長及び貧困削減のモデル構築に資するとの認識の下、イシククリ州を中心とする地域において、一村一品運動を通じた地域振興の枠組み作り、バイオガス技術の普及等の支援を実施していくこと、さらに、障害者の社会進出を促進するプロジェクトを実施する意向を表明した。
双方は、人材育成がキルギス共和国の国づくりにとって極めて重要であるとの認識の下、日本国政府の支援により1995年から活動しているキルギス共和国日本人材開発センター(キルギス日本センター)及び2004年に設置された国立ITセンターがビジネス及びITの分野でキルギス共和国の人材育成に大きく貢献していることを評価した。また、キルギス側は、日本側が実施している国費留学生受入れ、人材育成奨学計画その他のスキームでのキルギス国民の人材育成支援に感謝の意を表明しつつ、その継続と拡大への期待を表明した。
キルギス側は、キルギス共和国で活動する青年海外協力隊員及びシニア・ボランティアの活動を評価した。
双方は、両国間の人的交流及び文化交流の拡大が、相互理解の増進及び相互信頼の強化にとって重要であるとの認識を共有した。
この関連で日本側は、キルギス共和国が日本国民に対し査証免除措置を実施していることを、両国民の交流の促進の上で肯定的な意義を有するものとして評価した。
双方は、キルギス共和国における日本国の文化、伝統音楽、武道等の紹介、日本国におけるキルギス共和国の文化、伝統音楽の紹介を目的として、外交関係樹立15周年に当たって実施されている各種の文化事業を、両国民間の相互理解の更なる増進に資するものであるとして評価した。
また、双方は、キルギス共和国における日本語教育が充実していることを評価した。日本側はキルギス共和国における日本語教育に今後とも協力する意図を表明した。
双方は、ビシュケク人文大学と北海道教育大学及び国士舘大学との間の協力など、両国の高等教育機関の間で学術交流・学生交流が進展していることを歓迎しつつ、今後の学術・教育交流発展への期待を表明した。
双方は、2004年8月に開始された「中央アジア+日本」対話が日本国と中央アジア諸国との間の協力及び中央アジアの地域内協力の促進に資する有益な枠組みであるとの認識で一致し、2006年6月に東京で開催された「中央アジア+日本」対話第2回外相会合において採択された「行動計画」に基づく協力を着実に実施していくとの意思を確認した。
双方は、安全保障、持続的な発展及び世界の平和と安定に対する新たな脅威との闘いのため、国際連合(国連)を包括的に改革する必要性につき認識を共有しつつ、特に、常任理事国及び非常任理事国の拡大を含む早期の国連安全保障理事会の改革を含め、この面で共同して取り組んでいく用意がある旨を表明した。この関連でキルギス共和国は、日本国が国連安全保障理事会常任理事国となることに対する力強い支持を再確認した。
双方は、国際社会を不安定化させている「テロとの闘い」を今後も各国が協力して行うことの重要性を共有した。この関連で、キルギス側は日本の海上自衛隊によるインド洋での給油活動を高く評価し、日本側は、国際反テロ連合空軍の活動に対するキルギス共和国の貢献を高く評価した。
双方は、六者会合における「共同声明実施のための第二段階の措置」の採択を歓迎しつつ、この文書が完全に実施されることが重要であることを確認した。その上で、2005年9月19日の「第4回六者会合に関する共同声明」の完全な実施に向けた努力の継続が重要であることを確認した。キルギス側は、日本国民の拉致問題に対する日本側の立場への支持を表明し、双方はこの問題が早期に解決されることを求めた。
双方は、人間の安全保障の実現に向けて、国際社会において協力していくことを確認した。
双方は、地球環境問題、特に気候変動問題の重要性を再確認した。キルギス側は、5月に日本国政府が行った気候変動問題についての提案「美しい星50」を支持し、世界全体の温室効果ガスの排出量を現状に比して2050年までに半減するとの長期目標を世界共通目標とする考えを共有した。双方は、この提案に沿って、すべての主要排出国が参加する2013年以降の温暖化対策の効果的な国際的枠組みを構築するため、積極的に協力することで一致した。
日本側は、「ビシュケク山要綱」に示された2002年ビシュケク世界山サミットの決定に基づき、ニューヨークにおける第62回国連総会の際に提案された、2009年10月第2回世界山サミットのビシュケク市における開催に関するキルギス側のイニシアティブを歓迎した。
2007年11月14日、東京