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平成22年3月30日
3月23日~25日、サウダバエフ・カザフスタン国務長官兼外相は、外務省賓客として日本を訪問しました。日本滞在中、サウダバエフ国務長官兼外相は、岡田外務大臣との外相会談を行ったほか、鳩山総理、横路衆議院議長及び江田参議院議長への表敬、直嶋経済産業大臣との会談、日カザフスタン経済委員会会員企業との懇談会等を行いました。
3月24日、岡田外務大臣とサウダバエフ国務長官兼外相は、二国間関係及び国際情勢につき意見交換を行い、会談終了後に「日・カザフスタン外相会談に関する共同プレス発表」(和文全文(PDF)・骨子(PDF)
)を発出しました。
(1)両外相は、資源の豊富なカザフスタンと先進技術を有する日本との間には互恵的な協力を進めていく余地が大きいとの認識で一致しました。岡田外務大臣は、日本にとって重要なパートナー国であるカザフスタンが、2010年のOSCE議長国として、国内の更なる民主化とOSCE地域の安定と発展に向けイニシアティブを発揮することに期待を表明しました。サウダバエフ国務長官兼外相は、カザフスタンにとっても日本は「戦略的パートナー」であり、OSCE議長国としても、アジア・パートナー国である日本との協力強化を図りたいとの意向を表明しました。
(2)岡田外務大臣は、「CAREC物流回廊(ジャンブル州)整備計画」について、63億6,100万円の円借款を供与する決定を伝え、この道路整備が、カザフスタン南部の物流回廊の輸送力増強と、地域経済の発展及び地域間の経済格差の是正につながることへの期待を表明しました。サウダバエフ国務長官兼外相から、日本の支援に対する謝意が述べられました。
(3)両外相は、日・カザフスタン原子力協定の署名を歓迎し、同協定の早期発効に向けて協力していくことで一致しました。サウダバエフ国務長官兼外相は、両国の貿易・投資の拡大への期待を表明し、岡田大臣は、投資協定の締結に向けた作業の進展を含め、両国の投資の促進及び投資環境の整備についても重視していると述べました。両外相は、原子力分野を含め両国の経済関係の更なる緊密化に向けて協力していくことで一致しました。
(4)さらに、両外相は、気候変動、核軍縮・不拡散、アフガニスタン支援についても意見交換を行い、それぞれの分野において両国が協力していくことで一致しました。
(5)両外相は、国連安全保障理事会における常任・非常任双方議席の拡大を含む改革の早期実現の必要性につき一致し、サウダバエフ国務長官兼外相から、日本の安保理常任理事国入りに対する支持が改めて表明されました。
豊富なエネルギー・鉱物資源を持つカザフスタンは、地政学的な重要性に加え、資源外交上の観点からも、我が国にとって重要な国です。また、同国領カスピ海のカシャガン油田や、同国南部のウラン鉱山には我が国企業が開発権益を有しており、昨年12月の日・カザフスタン租税条約の発効、本年3月の日・カザフスタン原子力協定の署名及び日・カザフスタン投資協定の交渉開始など、同国との経済関係の強化に向けた法的基盤の整備も進められています。さらに、 2010年の欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国に就任した同国の国際的な存在感は、近年顕著に高まっており、そうした中、サウダバエフ国務長官兼外相の今次訪日は、両国間の政治対話を深化させたことはもとより、我が国の政財界、有識者を含めた幅広い関係者との懇談・意見交換等を通じて様々な分野における二国間関係の強化を図る上で有意義でした。
また、外相会談後には共同プレス発表を発出するなど、更なるパートナーシップの発展を図る重要な機会となりました。さらに、アフガニスタン支援を含め地域情勢・国際情勢に関して、意義深い意見交換が行われ、それぞれの立場に対する理解と支持が得られました。
さらに、気候変動、核軍縮・不拡散を含む国際場裡における協力、我が国が推進する「中央アジア+日本」対話の下での協力、国連安保理改革の必要性及び同改革の早期実現に向けた双方の協力などについて確認することができました。