アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成21年10月10日
10月10日、午前9時15分より約2時間、中国・北京市において第2回日中韓サミットが開催された(出席者:中国:温家宝・国務院総理(議長)他、日本:鳩山総理、岡田外相、直嶋経産相、松野内閣官房副長官他、韓国:李明博・大統領他)。三首脳は、10周年を迎えた日中韓協力のこれまでの進捗状況を確認し、将来の展望を示すとともに、共に関心を有する国際・地域情勢について率直な意見交換を行った。
会議の成果として次の2つの共同声明を採択・発表した(仮訳別添)。
(1)日中韓協力10周年
(イ)温家宝総理から、今年は日中韓が協力を開始して10年の節目であり、今回の会議では、今後の協力の方向性を見出したいと発言。これに対し鳩山総理から、日本外交について、日本はアジアの一員であり、日米関係を重視しながらも、アジア重視の政策を進めていく、日中韓で実際の協力を進め、開放性、透明性、包含性という考えの下に三国を核として地域協力を進め、その先に東アジア共同体を構想していくと発言。李明博大統領は、三国協力は重要、持続可能な開発など多くの分野で協力を進めたいと発言。
(ロ)三首脳は、三国間協力の推進が、地域や世界の安定と繁栄にも貢献するとの認識で一致し、相互信頼、平等、共益、開放性、透明性、多様な文化の尊重が協力の基礎であることを確認。その上で、三国が、貿易、投資、環境保護、学術交流、人の往来など多くの分野で協力を進め、また、地域・国際の諸問題について連携を強化していくことで一致。また、韓国の発案により、協力を体系的に進めるため、サイバー事務局を設置することとなった。鳩山総理からは、様々な良い提案が行われていることを評価するが、重要なことは実行であり、三国で更に努力したいと指摘。
(2)今後の協力分野
(イ)環境・気候変動
環境保護と経済成長の両立を目指す持続可能な開発が議論され、循環型社会の構築や環境・省エネルギー分野の協力、気候変動における連携について議論された。
気候変動について、鳩山総理は、日本が表明した約束(1990年比で2020年までに25%削減)に触れながら、すべての主要排出国が次期枠組に能力に応じた責任ある形で参加する必要があるとの強い期待を伝え、COP15の成功に向け三国で連携したいと発言し、温総理及び李大統領から賛意が示された(この点、共同声明で明記)。温総理は、国連気候変動枠組条約及び京都議定書等との連続性、共通だが差異のある責任、途上国の開発支援、各国による国内削減目標が重要である旨、李大統領は、各国に国内削減目標を国際機関に登録させる方式の導入を提案。
(ロ)大学間交流
鳩山総理から、今後の人と人との協力として大学間交流が重要であり、三国の大学の間で単位の互換や交流プログラムなどの質の高い交流を行うために有識者会議を設置する提案、さらにはアジアで大学間交流を強化するため国際会議を共催するという提案を行い、中韓の賛同を得た。また、この構想の名称を一緒に考えていくことになった。
(ハ)経済分野の協力
鳩山総理から、日中韓投資協定の早期妥結への期待、ビジネス環境改善の推進、日中韓FTAに関する民間研究の結果を政府間で議論する必要性について発言。これに対し、李大統領は、民間研究の成果を学識者で更に検討することが適当であると述べ、温総理は、産官学で検討を進めたいと発言。
(ニ)その他分野の協力
鳩山総理から、11月に日本で開く三国保健大臣会合で新型インフルエンザ対策に関する連携などを強化すること、今月末神戸で開く三国防災担当閣僚級会合で防災協力を強化したいと発言。
(1)北朝鮮情勢
温総理から、自身の訪朝の際に、金正日国防委員長は温総理に対し、朝鮮半島の非核化という目標に向けて努力すること、また、米朝協議の状況を見つつ、六者会合を含む多国間協議を行うことを望むと述べた旨紹介。また、温総理から、朝鮮半島の非核化という目的に向けて、米朝、日朝、南北などの二者会談と六者会合を含む多国間協議は相互に補完しあう等発言。
これに対し、鳩山総理から、中国の外交努力を評価した上で、北朝鮮の狙いをしっかりと見極めながら、北朝鮮から六者会合への復帰と2005年9月の六者会合共同声明の完全実施への約束、また、拉致問題を含む人権状況への対応を含めて、前向きで具体的な対応を求めていくことが重要である旨発言。また日朝関係について、鳩山総理から、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決する必要があることを指摘。温総理及び李大統領から支持と理解が表明された。
三首脳は、北朝鮮から前向きで具体的な対応を引き出すために引き続き緊密に連携することで一致。
(2)国際経済・金融情勢
各国が成長力の強化と内需拡大に努めること、保護主義と闘い、WTOドーハ・ラウンドの2010年の妥結に努力すること、アジア諸国の成長支援で一致。また、経済危機に対する出口戦略を考えるのは時期尚早であるとの考えで一致。
(3)東アジア協力
鳩山総理から、東アジア地域協力を友愛精神で推進したい、互いに相違を認め合いながら一歩一歩積み上げていくことが重要であり、日中韓で協力を進めたい旨述べた。