4月7日(土曜日)16時15分(現地時間)から約40分間,玄葉外務大臣は,日中韓外相会議のため訪問中の中国・寧波において,金星煥(キム・ソンファン)韓国外交通商部長官と日韓外相会談を行ったところ,概要以下のとおり(同席者:日本側から,杉山アジア大洋州局長ほか,韓国側から,趙世ヨン(チョ・セヨン)東北アジア局長ほか)。会談では多くの時間が北朝鮮問題に割かれ,基本的な認識で一致した。
1.北朝鮮問題
- (1)金長官から,5月の日中韓首脳会談の成功のため,北朝鮮問題等について良い意見交換をしたい,3月のソウル核セキュリティ・サミットでは,多数の首脳が積極的な意見交換を行い,核セキュリティ等の問題に加えて北朝鮮問題についても意見交換を行ったので,国際社会のメッセージが北朝鮮にも伝わっていると考える旨述べた。
- (2)玄葉大臣から,ソウル核セキュリティ・サミットの成功に祝意を述べ,同サミットでは国際社会に核セキュリティ,原子力安全のみならず,北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイル発射について明確なメッセージを出すことができた,今後も日韓関係の一層の強化のため共に努力したい旨述べた。
- (3)両外相は,北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイルの発射予告は米朝合意を含む対話の流れに逆行するものであり,強く懸念する,日韓,日韓米,さらには中国を含む関係国と緊密に連携し,北朝鮮が発射を自制するよう働きかけを継続していくことで一致した。その一環として,今回の日中韓外相会議の場でも,中国を交えて,本件につきしっかり話し合うこととなった。
- (4)更に,双方は,仮に発射が強行された場合には,関連の国連安全保障理事会決議の明白な違反であることで一致し,玄葉大臣から,仮に発射された場合,国連安保理を含む国際社会が適切な対応をとる必要があることを述べ,金長官も同様の認識を示した。
- (5)玄葉大臣より,拉致問題への韓国側の支持と協力に感謝し,双方は韓国の離散家族の問題も含め人道的な問題でも引き続き協力していくことで一致した。
2.日韓関係
- (1)玄葉大臣から,日韓の二国間協力に関し,特に,安保協力,日韓EPA交渉再開に向けての協力を進めたい旨述べ,双方で引き続き協議を行っていくこととなった。
- (2)また,玄葉大臣から,東日本大震災からの復興を更に加速させるためにも,渡航制限の解除・緩和,輸入規制の見直し・緩和を要請した。
- (3)以上に加え,竹島問題,慰安婦問題,日中韓FTA交渉を含む日中韓の経済関係についても取り上げられた。