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日本・メコン地域諸国首脳会議
(第1セッション:概要)
平成21年11月6日
11月6日(金曜日)17時30分過ぎから18時50分まで、総理官邸において、日本・メコン地域諸国首脳会議(以下「日メコン首脳会議」と表記)の第1セッションが開催されたところ、概要は以下のとおりです(出席者:鳩山総理(議長)、フン・セン・カンボジア首相、アピシット・タイ首相、ズン・ベトナム首相、テイン・セイン・ミャンマー首相、ブアソーン・ラオス首相)。
【ポイント】
- 総合的なメコン地域の発展のため、ハード及びソフト両面でのインフラ整備を整合性のとれた形で進めること、また、官民の協力・連携の強化が重要との認識で一致。
- 鳩山総理から、メコン地域の安定の発展に従来以上に積極的に貢献する、開発、環境・気候変動、脆弱性克服支援といった分野での協力を一層推進するため、メコン地域を我が国ODAの重点地域として、地域全体及びカンボジア、ラオス、ベトナムに対するODAを拡充し、地域全体で今後3年間で合計5000億円以上のODAによる支援を実施する旨表明。
- メコン地域各国首脳から、今回の首脳会議の開催や、メコン地域を重視し今後一層の貢献をしていくとの日本の方針を高く評価。また、地域全体で今後3年間で合計5000億円以上のODAによる支援を実施するとの鳩山総理の表明に深い謝意。
1.冒頭発言
(1)鳩山総理から冒頭、概要以下のとおり述べました。
- (イ)初めての日・メコン首脳会議を主催できて嬉しい。
- (ロ)メコン地域は、様々な争いや違いを乗り越え、国として、また地域全体としての安定と発展を目指してきた。これは、自分(総理)が唱える「友愛」の精神と大いに共鳴するものである。
- (ハ)メコン地域の安定と発展は、域内の格差是正につながり、ASEAN統合を促進するもの。その意味で、メコン地域は、自分(総理)の東アジア共同体構想の鍵を握る重要な地域である。
- (ニ)日本として、メコン地域の安定と発展に従来以上に積極的に貢献し、共通の繁栄する未来のための「架け橋」としての役割を果たしていきたい。
(2)メコン地域各国首脳から概要以下のとおり述べました。
- (イ)初の日メコン首脳会議の開催という日本によるイニシアティブを高く評価。本年の日メコン交流年の締めくくりとして、本首脳会議は時宜にかなった、かつ、日本とメコン地域のパートナーシップを更なる高みに持っていくもの。
- (ロ)日本によるこれまでの対メコン地域支援に感謝。2015年のASEAN共同体の発足という目標に向け、ASEAN域内の格差是正は極めて重要。インフラ整備や人材育成の分野における支援は引き続き必要。日本による一層のリーダーシップを期待。
2.第1セッション
第1セッションでは、「総合的なメコン地域の発展」という議題の下、概要以下のとおり議論が行われました。
(1)鳩山総理から、下記3つの柱に基づき、日本としての協力として概要以下のとおり述べました。
- (イ)ハード及びソフト両面でのインフラ整備支援
- ハード面では、東西及び南部経済回廊の残りの部分の早期完成を図る。また、港湾、空港、送電線及び通信網の整備にODA等を通じた協力を推進する。
- ソフト面では、通関に係る技術支援、物流及び経済特区関係者への研修を実施する。また、地域の日本センターを活用した共通研修を実施する。
- カンボジア、ラオス、ベトナム国境の「開発の三角地帯」への支援を継続していく。
- (ロ)官民協力・連携の強化
- ベトナムのラックフェン港開発など官民連携案件を今後一層推進。また、日本企業による鉱物資源開発の推進のため、周辺インフラの整備等でODAを活用。
- 二国間で行われている官民合同対話を、他のメコン地域各国の日本企業関係者も参加する形で拡充。日本アセアンセンターによる投資促進のための活動を推進。
- メコン地域側の日本企業による貿易・投資の促進に向けた協力を要請。
- (ハ)地域横断的な経済面での制度整備支援
- 地域全体の物流円滑化のため、越境交通協定(CBTA)の全面的な締結を要請。
- 知的財産制度整備のための人材育成、各国における経済関連制度整備を支援。
(2)また、鳩山総理から以下の発言がありました。
- (イ)メコン地域開発に関与する多くの国や国際機関、地域協力枠組みとの間での連絡、連携が必要。連結性向上のために東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)を活用、開発パートナーとしてのタイの役割への積極的な評価。日中メコン政策対話の推進、米国のメコン地域への関与強化への歓迎等に言及。
- (ロ)更に、開発、環境・気候変動、脆弱性克服支援といった分野での協力を一層推進するため、メコン地域を我が国ODAの重点地域として、地域全体及びカンボジア、ラオス、ベトナムに対するODAを拡充し、地域全体で今後3年間で合計5000億円以上のODAによる支援を実施。我が国の官民の知見及び資産を動員して、この地域への協力を強化。
(3)以上に対し、メコン地域各国首脳から、概要以下のとおり述べました。
- (イ)日本がメコン地域を重視し、今後一層の貢献をしていくとの方針を高く評価。鳩山総理が発表された今後3年間で5000億円以上のODAによる支援に深く感謝。
- (ロ)東西経済回廊、南部経済回廊をはじめ、道路、橋梁等ハード面のインフラ整備が引き続き重要。日本の協力に期待。
- (ハ)税関手続などソフト面のインフラ整備がハード面の整備と整合性をもった形で行われることが重要。人材育成面での日本の知見をいかした貢献に期待。
- (ニ)バランスのとれた経済成長を達成する上で、官民協力の一層の推進も重要。
- (ホ)貿易促進のため中小企業育成の努力も必要。
- (ヘ)このほか、特にタイからは、開発パートナーとして人材育成等の面で日本と協力していきたい旨表明。
(明7日(土曜日)は、引き続き、日メコン首脳会議第2セッションが行われ、環境・気候変動、脆弱性克服、協力・交流の拡大について議論が行われる予定です。)