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メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム全体会合議長総括(仮訳)

平成22年12月14日
於:東京

  1. 日本政府は,2010年12月14日に東京においてメコン地域における官民協力・連携促進フォーラム会合を開催した。同フォーラム全体会合には,日本に加え,カンボジア王国,ラオス人民民主共和国,ミャンマー連邦,ベトナム社会主義共和国,関係国際機関,開発パートナー及び21世紀東アジア青少年交流計画(JENESYS)により訪日している若手実務者が参加した。
  2. 徳永久志外務大臣政務官が開会のスピーチを行い,その中でメコン地域開発に対する日本のコミットメントに言及した。続いて,藤田純孝伊藤忠相談役より,メコン地域諸国にて活動している日本企業の視点より,同地域の経済成長を促進するためには,官民協力を一層強化する必要性がある旨強調した。
  3. メコン地域における官民協力・連携促進フォーラムのコンセプトは,2009年の第1回日本・メコン地域諸国首脳会議において日本より提案されたものである。同首脳会談で表明されたコミットメントのフォローアップ,また,メコン地域における官民協力の重要性にかんがみ,日本はこれまで同フォーラムの日本側作業グループ会合を10回開催してきた。同作業グループにおいては,日本政府及び民間企業関係者がハード及びソフト・インフラ,物流,中小企業,サービス,新産業,エネルギー,天然資源,水ビジネス,環境及び気候変動等の分野における官民協力を促進するための方法について議論した。
  4. 同フォーラム全体会合において,参加者は,日本のイニシアティブ及びメコン地域における官民協力を推進するための取組に謝意を表明した。参加者は,日メコン協力の強化及び地域の経済発展のためには,官民協力が必要であることを再確認した。また,参加者は,メコン地域における貿易及び投資を促進するため,各国における既存の官民の対話の強化に努める意思を表明した。さらに,参加したメコン地域の民間企業関係者は,汚職対策,企業の社会的責任,透明性,コーポレート・ガバナンスの重要性を再確認した。参加者より,日本・メコン地域諸国首脳会議開催と同時に日メコン官民対話を実施するとのアイディアが提案された。
  5. 参加者は,日メコン産業政府対話等の既存の対話の重要性を認識した。日メコン産業政府対話においては,産業界が政府に対して提言を行い,メコン地域における経済活動の促進及び開発格差を是正するための日メコン経済産業協力イニシアティブ(MJ-CI)行動計画を策定した。また,参加者は,官民政策対話における日本企業の積極的な参加を歓迎し,そのような対話は同地域のビジネス環境を更に改善させることになるとの期待を表明した。
  6. 参加者は,東西・南部経済回廊のインフラの「ミッシング・リンク」を解消し,本格的な経済回廊にする必要性を強調した。また,参加者は,越境交通及び貿易円滑化の実施,また,メコン地域諸国の人々の能力開発及び人材育成強化の必要性を強調した。参加者は,経済発展の基盤となる基礎的な物理的インフラ建設の重要性を認識した。この文脈において,参加者は東西・南部経済回廊の開発に対する日本の支援に感謝しつつ,同地域に対する支援が引き続き実施されることを期待した。
  7. 上記を踏まえ,日本は,民間企業の積極的な参画がメコン地域の持続可能な発展に不可欠であるとの認識の下,官民協力の可能性をさらに探求する意思を表明した。日本は,日本の民間企業によるメコン地域に対する投資を国際協力銀行等の金融措置を通じ,個別案件毎に支援していく意思を表明した。また,日本はPPPインフラ事業及びBOPビジネス連携促進に係る協力準備調査及び民間投資ファイナンス等の措置を活用して,官民協力を加速していく意思を表明した。
  8. 最後に,参加者は,メコン地域の包括的開発の重要を確認し,メコン地域の開発が,地域統合を強化し,環境保全と両立する持続可能な開発を達成する開発のモデルとなるべきことを認識した。また,日本は,メコン地域におけるバランスのとれた開発を達成するため,貧困削減,経済格差の是正,食料安全保障の推進及び公衆衛生の改善に積極的に貢献する意思を確認した。
  9. 本フォーラムの成果は,2011年に予定されている日本・メコン地域諸国首脳会議,日メコン外相会議及び日メコン経済大臣会合に報告されるとともに,日本及びメコン地域諸国間の関連のフォーラムでフォローアップされることになる。

 

分科会:議論概要


 5つの分科会では,メコン地域での官民連携強化に向けて,以下の内容が確認された。

(1) 物流

  • メコン地域における物流を促進するため,ハード面のインフラ整備のみではなく,ソフト面の取り組みを強化していくことの重要性が議論された。
  • 人材育成が重要であることが強調された。また,日本が物流サービス提供者の育成を支援していることが評価された。
  • 東西・南部経済回廊の整備はメコン地域の連結性を強化すること,また,これら経済回廊は,ASEANの連結性を補完するものであることが確認された。この観点から,東西経済回廊のミッシング・リンクを整備することの必要性が再確認された。

(2) エネルギー

  • メコン地域諸国は,化石燃料等の伝統的天然資源以外の再生エネルギー開発に取り組んでおり,エネルギー安全保障を確保するという観点から官民協力が重要であることが同意された。
  • エネルギー効率,環境に優しい技術,環境保護意識の強化,民間セクターとの協力促進という観点から,エネルギー部門の発展に係る日本の経験は,メコン諸国にとって良い例となるとの見方が共有された。
  • エネルギー部門におけるインフラ整備と人材育成は,メコン地域における埋蔵天然資源の可能性を拡大することが認識された。

(3) インフラ整備

  • メコン地域の連結性向上は域内の格差是正のために重要であることが認識された。かかる観点から,日本はメコン地域の連結性向上に資するインフラ(ハード面・ソフト面)整備支援を強化していく。また,インフラ整備を効果的に促進するため,官民協力活用の必要性が強調された。
  • 民間企業のリスクを低減させる仕組みの重要性が再確認され,また,制度的枠組みを強化すべく協力することが同意された。
  • 「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」を設置して海外インフラ開発に向け努力するという日本政府の取組みが評価された。

(4) 中小企業・裾野産業

  • メコン地域における中小企業促進に関する現在の制度的枠組について議論され,各国政府が国内の中小企業を強化する努力を続けていくことが確認された。
  • 日本企業が過去に行ったように,メコン地域諸国は中小企業からスタートし,将来大企業に成長することが出来るということが認識された。
  • 資金調達の重要性が認識され,マイクロファイナンス・スキームが大規模に制度化されるべきであることが強調された。
  • ビジネス・リンケージ,技術移転,雇用創出の観点から,直接外国投資は中小企業・裾野産業育成に重要な役割を果たしていることが確認された。発達した裾野産業は,直接外国投資を惹きつけることが合意された。

(5) 観光

  • 世界的な経済危機やインフラの未整備等の課題が認識され,持続可能な観光開発を促進する措置の採用や観光の質の改善の必要性が確認された。
  • 観光分野での官民協力の必要性と支援サービス,施設,情報共有,能力開発等の改善の重要性が認識された。
  • ユネスコ認定の世界遺産を含む文化及び自然遺産への訪問ツアー,共同の観光促進資料作成,仏教寺院めぐり・巡礼ツアー,クルージングやエコツアー等,メコン地域諸国には,共同して域外国からの及び域内各国相互間の観光を促進する豊富な機会があることが確認された。
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