2月19日,三田共用会議所において,メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第3回日メコン全体会合が開催されたところ,概要は以下のとおりです。我が国より,鈴木俊一外務副大臣を始めとする政府関係者,民間企業関係者,また,メコン地域諸国(タイ,ベトナム,カンボジア,ラオス,ミャンマー)よりカン・ゾー・ミャンマー国家計画・経済開発大臣を始めとする政府関係者,商工会議所幹部等の経済関係者及び専門家(合計約200名),さらに国際機関関係者が出席しました。
1.全体会議の概要
- (1)冒頭,鈴木俊一外務副大臣が冒頭挨拶を行い,メコン5カ国からの政府・民間代表者の訪日に感謝の意を述べ,ASEAN目指す2015年までのASEAN共同体構築に対し,メコン連結性強化等を通じ引き続き支援を行う,また,メコン地域開発支援及び日メコン協力について日本企業の活動を支援するために政府として取り組んでいく旨述べました。また,渡邊康平日本商工会議所大メコン圏ビジネス研究会会長(伊藤忠相談役)より,成長著しいアジア諸国を中心とした需要を取り込み,ともに成長していくために日本企業の海外展開を促進する必要があること,また,日本の経済は高い技術を有す中小企業が支えており,メコン地域内の産業基盤を強化していく上でも大きな可能性を持つ日本の中小企業の進出を促す環境作りを進めることをメコン諸国に望む旨述べました。
カン・ゾー・ミャンマー国家計画・経済開発大臣より,本フォーラム開催についての歓迎の意が表されるとともに,これまでの日本の支援に感謝が述べられ,加えて,ティラワ,ダウェー及びチャウピューの特別経済区(SEZ)を含むビジネス環境整備についての説明とともに日本からの更なる投資の増加の呼びかけがありました。 - (2)次いで,メコン地域諸国の政府代表者より,これまでの日メコン協力に謝意が表明されるとともに,メコン地域諸国のインフラ整備や投資環境整備に係る現状説明がなされた官民一体となった支援の必要性が強調されました。また,メコン地域諸国代表として参加したメコン地域の商工会議所関係者等より,官民が連携してメコン地域を発展させていくため,南部経済回廊のミッシングリンクとなっているミャンマー部分の連結性を完成させること,ハード・インフラを活用するため,越境交通協定の適用拡大や労働力の確保といったソフト面のインフラ整備が必要であること,日本からの一層の投資が必要であること等の提言が述べられました。
2.分科会概要
全体会合に引き続き行われた3つの分科会では,メコン地域での官民連携強化に向けて,以下の内容が議論されました。
(1)環境分科会:「都市環境整備」・「上下水道整備」
日本の地方自治体及び民間企業から,スマート・コミュニティ及び上下水道設備の整備に関する技術及びそのメコン地域での適用について紹介があり,官民連携のアプローチによる日本の経験をもとにした技術アドバイザリー業務が,メコン諸国の都市環境及び水資源の改善に寄与していることが確認されました。また,メコン側からはバンコクやビェンチャンといった都市開発の取組についての紹介がありました。
(2)インフラ分科会:「メコン地域の経済特区」
日本企業の関心の高いメコン地域におけるインフラ整備について意見交換され,メコン側から経済特別区(SEZ)等の取組について紹介あるとともに,日本からの投資が呼びかけられました。特に周辺国での労働賃金の上昇やその他のリスクの存在により,その生産を補完する工場の設置を検討することの重要性が強調されました。加えて,メコン地域の連結性向上に資する物理的及び制度的インフラ整備は,ASEAN共同体構築に資するとともに,域外国との連結性を強め,安定的で強固な生産ネットワークや域内市場の構築に寄与するといった議論が行われました。
(3)文化・クリエイティブ産業振興分科会:「外食産業」
外食産業をテーマとしたセッションでは,日本企業から実際に海外展開を行う日本の企業の経験や,海外展開における課題についての紹介があり,メコン側からはメコン諸国の外食産業の概況及び日本の外食産業の展開についての展望について発表されました。
(4)文化・クリエイティブ産業振興分科会:「コンテンツ産業」
コンテンツ産業をテーマとしたセッションでは,日本政府及び企業のコンテンツ海外展開についての取組紹介やメコン諸国におけるコンテンツ産業をめぐる現状についての説明が行われました。メコン側からは,日本コンテンツへの期待もある一方,複雑な権利関係等海外展開における課題についての指摘もありました。