12月14日,三田共用会議所において,メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム全体会合が開催されたところ,概要以下のとおり。我が国より,徳永久志外務大臣政務官を始めとする政府関係者,民間企業関係者,国際機関,また,メコン地域諸国より政府関係者,実務家及び専門家(合計約200名)が出席した。
1.全体会議の概要
- (1)冒頭,徳永久志外務大臣政務官が基調講演を行い,我が国のこれまでのメコン地域開発に対する支援を振り返り,今後も官民が連携して同地域の開発に共に取り組んでいく旨述べた。また,藤田純孝伊藤忠相談役より,メコン地域諸国にて活動している日本企業の視点より,同地域の経済成長を促進するためには,官民協力を一層強化する必要性があり,我が国企業が他国企業と公平な競争をすることがメコン地域の発展にも資すると考える旨述べた。
- (2)メコン5カ国政府代表者より,これまでの日メコン協力に謝意が表明されるとともに,メコン地域諸国のインフラ整備に係る官民一体となった支援の必要性が強調された。メコン地域諸国の民間代表として参加したメコン地域の商工会議所関係者より,官民が連携してメコン地域を発展させていくため,東西・南部経済回廊を完成させること,行政機関の汚職・賄賂を撲滅すること,中小企業の育成を支援すること,人材育成を強化すること,メコン地域諸国の日本人商工会議所が連携するべきであること,等の提言が述べられた。
- (3)日本側からは,官民協力・連携に関する我が国の取組の現状と新しいスキームについて紹介を行った。また,参加者は,日メコン産業政府対話等の既存の対話枠組の重要性を認識し,日メコン経済産業協力イニシアティブ(MJ-CI)行動計画の策定に歓迎の意を表明するとともに,このような対話は同地域のビジネス環境を更に改善させることになるとの期待を表明した。さらに,日本側の参加者は,民間企業の積極的な参画がメコン地域の持続可能な発展に不可欠であるとの認識の下,メコン地域における貿易及び投資を促進するため,各国における既存の官民対話枠組を強化することに努める意思を表明した。
2.分科会概要
全体会合に引き続き行われた5つの分科会では,メコン地域での官民連携強化に向けて,以下の内容が議論された。
- (1) 物流
メコン地域におけるソフト面の取組を強化すること,物流分野における人材育成が重要であること,東西・南部経済回廊の整備は,メコン地域の連結性向上に直結しており,交通回廊を経済回廊に進化させる努力を行うこと,また,東西経済回廊のミャンマー部分の早期に完成する必要があること,等が確認された。
- (2) エネルギー
エネルギー分野における官民協力は,エネルギー安全保障の確保に貢献すること,また,持続可能な資源開発を行う上で,長期的なエネルギー需給の見通しを踏まえ,良好な投資環境を保つ必要があることが確認された。
- (3) インフラ整備
メコン地域の連結性向上に資するハード及びソフト面のインフラ整備は,ASEAN共同体の実現に資すること,効率的なインフラ整備には官民の協力が欠かせず,民間企業のリスクを低減させる仕組みを整備する必要があること等が確認された。また,日本政府は,「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」を立ち上げ,官民の協力による海外のインフラ整備支援を強化していく旨説明。
- (4) 中小企業・裾野産業
中小企業・裾野産業育成において,外国企業を惹きつける良好な投資環境を育むことが重要なこと,外国企業の直接投資によって,雇用創出,技術移転の効果があること,各国は国内事情を考慮した効果的な中小企業・裾野産業の育成方法を生み出す必要があることが確認された。
- (5) 観光
持続可能な観光開発,観光の質の改善の必要性を認識し,観光分野での官民協力の可能性について議論し,メコン地域には,域内の世界遺産を巡るツアー等について共同で観光を促進する豊富な機会があることを確認した。
3.本フォーラム全体会合の成果は,2011年に予定されている日本・メコン地域諸国首脳会議,日メコン外相会議及び日メコン経済大臣会合に報告されるとともに,日本及びメコン地域諸国間の関連枠組でフォローアップされることになる。