中東

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第2回イラク国民融和セミナー
最終声明(仮訳)

平成20年4月

 日本政府及び日本国際協力機構の招待により、11名から成るイラク代表団は2008年3月20日から28日まで行われた第2回国民融和セミナーに参加した。セッションは東京と広島で分けて行われた。代表団のうち9名は国民議会議員であり、国民議会の派閥や委員会の長も含まれていた。

 代表団一行は、日本の専門家と世界の幾つかの国の平和構築モデルにつき意見交換した。また、紛争解決、安全と安定の実現のために、イラクにとって有益な国際社会の情報や経験を交換した。

 代表団は広島の平和記念公園と原爆資料館を訪問し、平和構築と復興の現場における日本の経験を学習した。国際広島センターでは、代表団は日本の市民社会組織の代表者に会い、イラク情勢と今後の見通しにつき発表し、彼らと意見交換を行った。

 東京では、代表団は日米関係及び日米安保条約をテーマとした講義を聴講した。また、メンバーの間で、イラク人にとって重要な2、3の問題、すなわち「連邦制」、「憲法修正」、「石油・ガス法案」について議論した。また、日・イラク友好議連代表団や経団連の代表と会合した。両会合では、イラク情勢や特に経済分野の相互協力を扱った。

 代表団一行は以下の点につき合意した。

(1)国民和解プロセスを前進させるため一層努力し、それを継続すること。全ての当事者が、国民融和前進に向け根本的かつ新たな進展を成し遂げるために、柔軟性を見せ、勇敢さとギブ・アンド・テイクの精神を持つことの必要性を確認。

(2)イラクの統一のため、憲法に従った全てのイラク国民の間の平等原則を確立する必要性、そのため、政治プロセスの全ての当事者の意思決定-特に国家の重要な問題における-への参加の保証に努めること。

(3)長期間待たされている憲法修正の実現を確実に行うこと。憲法修正の更なる延期は、政治を覆っている麻痺の状況を打開する試みをもストップさせることになる。同時に、不当で有害で性急な憲法修正を避けるよう努める。

(4)国民融和達成と政治プロセスの安定の保証のためには、女性の役割が実行的であり必要である。

(5)復興プロセスの始まりと経済成長を兼ね備えたイラクには新たな石油・ガス法の遅滞なき作成が必要であること。同法の作成は財政収入を保証する上で不可欠な石油の富からイラクが利益を得ることを可能にするが、先ずは、イラク国民の国民融和を維持するため、同法案の内容を詳しく調査すること。

(6)復興分野における日本の経験は学習に値する。日本の様々な側面を視察し、二国の関係機関の間で一般的なデータや経験を交換するために更なる訪問、視察、会合をアレンジする必要がある。日本の経験には様々な分野での人材育成、労働者の訓練、スキルの向上が含まれる。

(7)日本はイラクにおける復興や包括的な成長に直接的で重要な役割を果たすことが出来る。日本の企業が今後このプロセスに参加することが求められている。イラクの企業や他の現地業者を通じたり、あるいは、相対的に治安が安定しているクルド地域への投資を通じてである。

 加えて、イラク代表団は、高村外務大臣、木村外務副大臣及びJICA代表者と会談した。会談では、国会議員との会談と同様、イラクの現状について意見交換を行った。イラク代表団は日本の対イラク支援に謝意を表明した。また、今次セミナーを賞賛するとともに、今次セミナ-が有益であることを確認し、今後も同様のセミナーを実施して欲しいとの希望を表明した。日本政府代表者は、日本政府が、この声明で述べられた論点を含め、イラクの国民融和の進捗状況のフォローを継続し、進捗状況をイラク側から定期的に情報収集するよう努める旨明らかにした。

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