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日・イラク外相共同声明(仮訳)
平成21年6月18日
(英文はこちら)
2009年6月18日、中曽根弘文外務大臣閣下とホーシュヤール・マフムード・ズィーバーリー・イラク共和国外務大臣閣下は、ズィーバーリー外務大臣が2009年6月17日から22日にかけて訪日した機会を捉え、日・イラク外相会談を行った。
両外相は、両国間関係に関する以下の点について幅広く議論を行い、日・イラク戦略的パートナーシップの発展及び国際社会の平和と安定のために、協力して取り組むことを決意した。
両外相は、イラクにおける治安状況の改善と、政治・経済分野での前向きな進展を歓迎した。同時に、進展を継続し、地域の平和と安定を確固たるものとするためのイラク及び国際社会による努力継続の重要性を再確認した。
両外相は、日本とイラクの関係が新たな段階に入ったこと、また、日・イラク外交関係樹立70周年である本年、特にこの関係を強化するためにさらに弾みをつけるべきであることを確認した。両外相は、2009年1月28日、安倍晋三元総理大臣閣下のバグダット訪問の際に発出された「日本国政府とイラク共和国政府の間の包括的パートナーシップ構築の宣言」へのコミットメントを強調した。
ズィーバーリー外務大臣は、日本がイラク及びイラク国民に対し、政治、経済、社会分野において提供してきた幅広い復興支援に対し、イラク政府を代表して深い感謝の意を表明した。同外務大臣は、特に、自衛隊がイラク国民のために5年間にわたり行った素晴らしく記憶に残る活動に対し、また日本政府が開催した国民融和セミナーについて、感謝の意を表明した。
中曽根外務大臣は、イラク政府が国際社会と協力して根気よく治安改善に努めてきたこと、また、同国に前向きの進展をもたらしてきたことが、地域の安全と安定に貢献する民主的、多元的かつ統一的イラクにつながるものであるとして賞賛した。
また、中曽根外務大臣は、1月に地方議会選挙が成功裡に実施されたことを歓迎し、2010年1月に予定されている国政選挙が平穏、公正、透明な形で実施されることを確保することの重要性を強調した。
政治分野での協力について、両外相は、以下の点で協力する意思を共有した。
- 地域情勢及び安全保障に関する意見交換を活性化
- 地域の平和と安定のための緊密な協力を維持。この点に関し、日本側は、地域にわたる性質のエネルギーやインフラ分野への支援を通じて、イラクと近隣諸国との信頼醸成促進と地域的関係強化を支援する。
- 2009年3月に第1回会合が実施された日・イラク・ハイレベル政策協議を今後、年に一度、原則として東京又はバグダッドにおいて開催する。
両外相は、経済及び経済協力に関する議論を行い、以下の点に向けて協力する決意を確認した。
- 石油・ガスをはじめとするエネルギー分野での相互協力の重要性を認識し、協力を強化する。
- 双方は、石油・ガス分野や電力分野における日本企業の活動の拡大を期待する。日本側は、イラク側による治安改善努力の継続を期待する。イラク側は、日本企業のもつ技術力とイラクにおける過去の実績及び協力に関し、民間部門の活動を円滑化する措置を実施する。日本側は、政府及び民間部門のリソースを効果的に組み合わせてイラクを支援する考え。双方は、可能な限り、民間部門に関連の情報と支援を提供する。
- 双方は、経済分野での関連するイニシアティブに向けて共に取り組む。特に、対イラク投資誘致ミッションの日本への派遣、第2回日イラク・ビジネス・フォーラムのバグダッドにおける開催、日・イラク合同経済委員会の再開後第一回会合の開催に向けた作業を行う。この点に関し、イラク側は、2009年3月の日本側経済ミッションのイラク派遣を歓迎した。
- イラク側は、依然必要とされている日本政府による復興支援を評価し、これらの開発プロジェクトの円滑な実施のために、幅広い円滑化措置を提供し、日本側は、更なる公的な支援については、今後ともODAや他の適切な形態による支援を検討する。
- 双方は、現在策定中の新イラク5カ年計画を考慮に入れ、経済協力政策協議を開催する。
- イラク側は、JICAのイラク事務所の設置を高く評価し、必要な手続きを迅速化することを約束する。
- 日本側は、WTO加盟に向けたイラクの努力を支援する。
- 双方は、イラク・コンパクトの着実な実施の重要性を強調し、本年秋以降に開催される同コンパクト閣僚会合の成功裡の実施に向け協力する。
文化協力については、両外相は以下の協力分野を確認した。
- 文化分野での協力を進める。これには、日本がユネスコと協力して行っている文化遺産保護に向けたイラク側の努力への支援が含まれる。
- イラクの大学が有する日本語学習及び日本研究に対する関心は歓迎される。日本側は、留学生派遣に関するイラクの計画を評価し、日本の大学への派遣を積極的に支援する。
- 日本側は、2009年2月のイラク政府科学技術調査団の派遣を評価する。
- 双方は、両国の大学間をはじめとする双方の学術交流の活発化を期待する。