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査証手続の簡素化に関する日本国政府とインド共和国政府との間の覚書

平成22年10月25日
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 インド共和国政府と日本国政府は、両国の友好関係を強化するとの両国の希望を考慮し、両国の国民の間の接触を容易にすることを希望して、それぞれの国の法令に従い、それぞれの査証手続を簡素化するために次の措置をとり又は維持する意図を相互に確認した。

  1. インドにおける商用査証及び日本国における商用訪問者のための短期滞在査証に関する措置
    1. (a) 双方は、それぞれの国の正当に認められた企業若しくは雇用者からの要請書の受領に基づき、又はインド産業連合会(CII)、インド商工会議所連盟(FICCI)、ソフトウェア・サービス企業全国協会(NASSCOM)、インド合同商工会議所(ASSOCHAM)及びインドにおいて政府が認めた商業貿易促進委員会並びに日本国における日本経済団体連合会その他それぞれの国の認められた商工会議所及び商業組織からの要請に基づき、商用目的で一時的に滞在するために自国を訪問する相手国の商用訪問者に対して、次の条件に従い、最長五年間有効な数次入国査証を発給することができる。
      1. (i) 各訪問中のインドにおける滞在期間は、継続して百八十日を超えてはならない。
      2. (ii) 各訪問中の日本国における滞在期間は、継続して九十日を超えてはならない。
    2. (b) 双方は、(a)の措置の対象とならない相手国の商用訪問者に対して、次のとお り入国査証を発給することができる。
      1. (i) インド側は、産業上若しくは商業上の事業を設立するため、産業上若しくは商業上の事業を設立する可能性を検討するため、工業若しくは商業製品の購入若しくは販売のため、又は貿易及び他の短期の商用活動(雇用される場合を除く。)のために一時的に滞在する目的でインドを訪問する日本国民に対して、継続して最長百八十日間滞在可能である最長六箇月間有効な数次入国商用査証を発給することができる。
      2. (ii) 日本側は、貿易、短期商用事業及び他の短期商用活動(雇用される場合を除く。)その他商用目的で一時的に滞在するために日本国を訪問するインド国民に対して、継続して最長九十日間滞在可能である三箇月間有効な一次短期滞在査証を発給することができる。
    3. (c) 日本側は、(a)に掲げるインド国民の商用訪問者の家族(配偶者及び子)に対して、各訪問期間において継続して最長九十日間滞在可能である最長三年間有効な数次 短期滞在査証を発給することができる。
    4. (d) 申請者が自国に帰国し、相手国の大使館又は領事館に申請する場合を除き、特別のやむを得ない理由によらない場合には、インドにおいて商用査証を就労査証 に変更すること又は短期滞在査証で日本国に入国した者の在留資格を変更するこ とは認められない。
  2. インドにおける就労査証及び日本国における就労のための入国査証に関する措置 双方は、次のとおり、インドにおいては就労査証を、日本国においては就労のための入国査証を発給することができる。
    1. (a) (i) インド側は、インド共和国政府及び日本国政府の間の二国間の取決め又はインド共和国政府によって承認されている文化若しくは学術交流に関する取決めを含む非政府機関の間の取決めに従ってインドを訪問する日本国民の技術者又は専門家に対して、当該取決めに記載されている期間又は五年間のうちいずれか短い方の期間滞在することのできる数次入国就労査証を発給することができる。
    2. (ii) インド側は、インドに所在するITソフトウェア及びIT活用分野の企業、組織又は産業によって雇用されている者であって、高い技術と能力を有する専門家である日本国民の申請者((a)(i)の措置の対象となる者を除く。)にに対して、当初三年間有効な数次入国就労査証を発給することができる。申請者は、インドにおける又はインドにおいて事業の展開を予定している企業、組織又は産業による自身についての雇用契約又は採用の証明を提出しなければならない。申請者は、当該企業、組織又は産業のインドの国内法令に基づいて行われる登録の証明の提出を求められることがある。インド側は、インド共和国政府の決定する手続に従い、この(ii)に掲げる査証によりインドに入国する日本国民の申請者に対して、当初の三年間を超えて、更に二年間の滞在期間の延長を、一年を単位として認めることができる。これに関連して、インド共和国政府は当該手続をできる限り速やかに完了することを確保する。
    3. (iii) インド側は、インドの企業、組織若しくは産業によって雇用されインドを訪問する、又は契約に基づいてインドにおける事業に従事している者であって、高い技術と能力を有する専門家である日本国民の申請者((a)(i)及び(a)(ii)の措置の対象となる者を除く。)に対して、最長三年間又は契約期間のうちいずれか短い方の期間有効な数次入国就労査証を発給することができ る。インド側は、必要な書類が提出されることを条件として、この(iii)に掲げる査証によってインドに入国する日本国民の申請者に対して、当初の三年間を超えて、更に二年間の滞在期間の延長を、一年を単位として認めることができる。
    4. (iv) インド側は、(a)(i)、(a)(ii)及び(a)(iii)に掲げる日本国民の家族(申請者の扶養を受け、同じ世帯を構成する配偶者及び子)に対して、その関係を示す証拠及び雇用者からの保証書が提出されたときは、当該日本国民に発給された就労査証と同じ期間有効な数次入国査証を発給することができる。
    5. (b) (i) 日本側は、日本国の地方入国管理局が交付する適切な在留資格認定証明書を所持するインド国民に対して、インド国民が予定する日本国での滞在期間に応じて、三年間又は一年間滞在可能である三箇月間有効な就労のための一次入国査証を発給することができる。日本に到着した後当該インド国民は、地方入国管理局から、入国港で受けた上陸許可の証印に記載されている在留期間に応じ、最長三年間有効な数次再入国の許可を取得することができる。日本国政府は、申請日からできる限り速やかに当該査証申請を処理するよう努める。
    6. (ii) 日本側は、(b)(i)に掲げるインド国民の扶養を受け、同じ世帯を構成する家族(配偶者及び子)に対して、日本国の地方入国管理局がその家族に対して交付した適切な在留資格認定証明書が提出されたときは、当該家族の日本国での予定滞在期間に応じて、当該インド国民に発給された査証と同じ期間滞在可能である三箇月間有効な一次入国査証を発給することができる。日本に到着した後、当該家族は、地方入国管理局から、入国港で受けた上陸許可の証印に記載されている在留期間に応じ、最長三年間有効な数次再入国の許可を取得することができる。
    7. (iii) 日本側は、(b)(i)に掲げるインド国民の扶養を受けていない家族(配偶者及び子)及び(b)(i)に掲げるインド国民の扶養を受けているが同じ世帯を構成しない家族(配偶者及び子)に対して、当該インド国民との関係を示す証明及び当該インド国民の日本における雇用の証明が提出されたときは、それぞれの滞在につき最長九十日間滞在可能である三年間有効な数次入国査証を発給することができる。
    8. (iv) 日本側は、(b)(i)に掲げるインド国民の両親又は(b)(i)に掲げるインド国民の配偶者の両親に対して、関係の証明、旅行の予約に関する文書及び当該申請者の渡航経費を支弁する申請者本人又は前記のインド国民の能力を証明する書類が提出されたときは、継続して最長九十日間滞在可能である三箇月間有効な一次短期滞在査証を発給することができる。
    9. (c) (a)に掲げる日本国民及びその家族は、インドの関連規則に従い、インドに到着した後十四日以内にインド内務省の下にある外国人地域登録事務所(以下「FRRO」という。)に申請することにより滞在許可に関する手続を完了する。インド共和国政府が発給する滞在許可は、毎年更新される必要がある
  3. インドにおける観光査証及び日本国における観光目的のための短期滞在査証に関する措置

     双方は、次のとおり、インドにおいては観光査証を、日本国においては観光目的のための短期滞在査証を発給することができる。

    1. (a) インド側は、日本国民に対して、継続して最長九十日間滞在可能である最長五年間有効な数次入国観光査証を発給することができる。観光査証に関して、イン ドへの各訪問の間に少なくとも二箇月の間隔を置くことが求められる。ただし、真正な旅行者に影響が及ぶことのないようにする観点から、観光査証を所持する 日本国民は、最初にインドに入国してから、最後にインドを出国するまでに、主として近隣国を観光することを目的として第三国を訪問することができ、六十日 以内にインドに再入国することが必要となることがある。インドの大使館又は領事機関は、当該旅行者に対して、詳細な旅程及び切符の予約に関する文書その他 補助的な書類が提出されることを条件として、必要に応じて最大三回の再入国を 認めることができる。
    2. (b) (i) 日本側は、公認の証券取引所上場企業の社員、国営企業及び公営企業の社員、政府職員、文化人並びに在外公館長が信頼し得ると判断する他の人物その他一定の基準を満たすインド国民及びその家族に対して、旅行の予約に関する文書が提示されたときは、継続して最長九十日間滞在可能である三箇月間有効  な観光目的のための一次短期滞在査証を発給することができる。
    3. (ii) 日本側は、旅行の予約に関する文書及び自身の渡航経費を支弁する申請者の能力を証明する書類が提出されたときは、(i)に掲げる者以外の者に対して、  継続して最長九十日間滞在可能である三箇月間有効な観光目的のための一次短期滞在査証を発給することができる。
    4. (iii) インド国民が、インド共和国政府において登録され、かつ日本側が指定した  旅行業者が計画した団体旅行に参加する場合は、日本側は、旅行業者により必要な書類が提出されたときは、継続して最長九十日間滞在可能である三箇月間  有効な観光目的のための一次短期滞在査証を発給することができる。
  4. インドにおける学生査証及び日本国における留学のための入国査証に関する措置 双方は、次のとおり、インドにおいては学生査証を、日本国においては留学のための入国査証を発給することができる。
    1. (a) インド側は、認められた教育機関からの入学許可書並びに渡航経費及びインド滞在中の他の経費を支弁する財政的証明が提出されたときは、日本国民の申請者 に対して、最長五年間又は課程の期間のうち、いずれか短い方の期間有効な学生査証を発給することができる。インド側は、一学年の間に最大三回の再入国を認 めることができる。インド側は、緊急の場合には、追加的な再入国を認めることができる。日本国民の申請者は、インドに到着した後十四日間以内に、滞在許可 を得るため、所轄のFRROに自身を登録することが求められる。日本国民の学生が一又は複数の教育機関で受講する課程の数は、教育機関が認定されていると きは、制限はない。日本国民の学生が課程の途中で課程を変更し、他の課程に参加をすることを希望する場合は、滞在許可の有効期間は、後者の課程の期間に応 じて調整される。
    2. (b) 日本側は、日本の大学、高校若しくは同等の教育機関において教育を受ける、又は他の同等の教育学校で日本語その他の課程を受講するインド国民の学生に対 して、最長二年三箇月間滞在可能である三箇月間有効な一次入国査証を発給することができる。インド国民の学生は、入国港で受けた上陸許可の証印に記載され た在留期間に応じ、最長二年三箇月間有効な数次再入国の許可を地方入国管理局から取得することができる。日本国政府は、必要な場合には、日本での就学のた めに許可された在留期間を超えた在留期間の更新に係るインド国民の学生からの申請を、申請日からできる限り速やかに処理するよう努める。
    3. (c) 双方は、文化交流計画、教育交流計画又は相互に認められた両者間の計画の対象となる申請者に対して、相手国の関連する政府機関からの認定書が提示された ときは、関係する査証を発給することができる。
  5. 短期査証(インド)及び短期滞在査証(日本)

     双方は、それぞれの国内法令で規定された適用可能な手続に従い、会議、セミナー及び他の短期学術交流のために自国を訪問する相手国の国民に対して、関係する入国査証を発給することができる。

    1. (a) 双方は、自国の国内法令の下で入国査証の発給申請が完了したと認められると きから五労働日を超えない合理的な期間内に、当該申請に関する決定を申請者に 通知する。双方は、申請者から要請があった場合は、不当に遅滞することなく、 申請の状況に関する情報を提供するよう努める。
    2. (b) (a)に掲げる期間は、申請者から提出された書類についての追加的な検討が必要 な場合は、延長することができる。
  6. 双方は、外交上の経路を通じた他方に対する通告により、安全、公の秩序、又は公衆衛生の理由で、前記の諸措置の全部又は一部の実施を一時的に停止する権利を 留保する。
  7. 前記の諸措置は、外交上の経路を通じて双方により相互に決定される日から実施される。これらの諸措置は、両政府により発出された適用可能な現行の指示にあるその他の全ての査証の発給に関する条件に従うものとする。当該現行の指示は、それぞれの国の適用可能な法令に従って発出される。
  8. 双方は、必要に応じて、前記の諸措置に関して生じたあらゆる問題に対処するために、外交上の経路を通じて協議を行うことができる。
  9. 双方は、前記の諸措置の全部又は一部を終了する場合には、他方に対して、外交上の経路を通じて、書面による一箇月の予告を与える。
  10. 双方は、査証手続の更なる簡素化のための措置を検討するための協議を継続する。

 二千十年十月二十五日に日本国東京で、原本二通に署名した。

日本国政府のために
   別所浩郎

インド共和国政府のために
   ニルパマ・ラオ

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