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第3回日印外相間戦略対話(結果概要)

平成21年7月3日

 7月3日(金曜日)、中曽根外務大臣は、来日したクリシュナ・インド外務大臣との間で、第3回日印外相間戦略対話を行ったところ、概要以下の通り。

:日印外相間戦略対話は、2006年1月に麻生外務大臣(当時)が訪印した際に両国が開始に合意したもの。第1回は2007年3月(於:東京)、第2回は2008年8月(於:デリー)に開催)。

1.二国間関係

(1)政治、安全保障
 中曽根大臣より、「戦略的グローバル・パートナーシップ」のもと、日印関係が飛躍的に発展しており、今後ともハイレベルの交流の継続等関係を強化していきたいと述べるとともに、今後予定されている総理訪印の際は、「日印間の安全保障協力に関する共同宣言」の「行動計画」の成果を上げるべく協力していきたい旨述べた。クリシュナ外相より、昨年10月のシン首相の訪日は大変な成功であった、インドは日本との戦略的パートナーシップに高いプライオリティーをおいており、先月のシン首相と麻生総理との首脳電話会談でもそのことが確認できた旨述べるとともに、毎年の首脳の相互訪問は日印間のパートナーシップの上で極めて重要であり、日本の総理の訪印を楽しみにしている旨述べた。更に、「行動計画」については、内容に関し具体的なものを盛り込みたい旨述べた。また、スリランカ等南アジアの地域情勢に関する意見交換を今後日印間で強化していくことで両者一致した。

(2)防衛当局間の交流
 中曽根大臣より、日米印の海上共同訓練である「マラバール2009」の実施や5月の海上自衛隊練習艦隊のゴア寄港等防衛当局間の交流が進展しており喜ばしい旨述べたところ、クリシュナ外相より、本年2月に予定されていた印国防大臣の訪日が延期になったことは残念であったが、双方の都合のいい時期に訪日を実現させたい旨述べた。

(3)経済、経済協力
 中曽根大臣より、日印両国の経済関係は順調に拡大していると述べるとともに、経済連携協定(EPA)交渉が再び軌道に乗るよう、インド側の積極的かつ具体的な対応を期待する旨述べた。また、貨物専用鉄道建設計画(DFC)を日本の優れた技術を活用して実現すべく引き続き協力していくこと、及びデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)の実施促進のためのプロジェクト開発基金に関する交渉が着実に進展しており、両国の協力を継続したい旨述べた。
 クリシュナ外相より、日本のODAはインドの経済開発に大いに役立っており、ODAは日印二国間のパートナーシップの中核となるものである旨述べるとともに、EPAについては、論点をあげつつインド側としても次回の交渉で決着をつけたいと考えている旨述べた。DFCについては、日本への感謝を述べつつ、同案件が政治的にも重要な案件である旨述べると共に、シン首相はインフラ整備に熱心に取り組んでおり、DMICは重要な案件である旨述べた。
 また、クリシュナ外相より、エネルギー対話を強化していきたい旨述べると共に、ハイテク貿易に関しインド側としての問題点を指摘した。中曽根大臣からは、ハイテク貿易に関する日本の立場を説明した。

(4)人の交流
 クリシュナ外相より、インド工科大学ハイデラバード校(IITH)への協力につき進展があった旨述べ、中曽根大臣は、日本としてもIITHへの協力を重視している旨述べた。

2.国際的課題

(1)アジア太平洋地域における地域協力
 中曽根大臣より、インドやオーストラリアが参加する東アジア首脳会議(EAS)を重視しており、引き続き協力していきたい旨述べたところ、クリシュナ外相より、アジアの地域協力は開かれたものでなくてはならず、また、機会を阻害するものであってはならない、EASを東アジア協力の基盤としている旨述べた。

(2)国連安保理改革
 中曽根大臣より、G4及び日印間で協力して、9月までに国連の場で成果を出すべく協力していきたい旨述べたのに対し、クリシュナ外相より、国連安保理改革における日印二国間の協力を重視している旨述べた。

(3)気候変動
 中曽根大臣より、来週のイタリアでの主要経済国フォーラム(MEF)首脳会合で力強いメッセージの発出が重要であり、インドの一層の前向きで大局的な指導力に期待する旨述べた。これに対しクリシュナ外相より、この問題で途上国の成長を阻害すべきではないと述べるとともに、共通だが差異のある責任の原則にも言及しつつ本件に対するインド側の立場を説明する一方、COP15に向けて合意が得られるようインドは積極的に交渉に参加していきたい旨述べた。

(4)軍縮・不拡散
 中曽根大臣より、核軍縮に関し「11の指標」の提案を行った他、インドによる核モラトリアムの継続を評価する一方で、CTBTの早期署名、批准等世界的核軍縮への積極的な貢献を期待する旨述べた。また、カットオフ条約の実際の交渉の早期開始に向けても協力したい旨述べるとともに、10月にデリーで開催予定の核不拡散・核軍縮に関する国際委員会南アジア地域会合に対するインドの理解と支持を求めた。これに対しクリシュナ外相より、カットオフ条約については、普遍的かつ検証可能なものでなければならないが、交渉には積極的に参加する旨述べた。

(5)海賊問題
 中曽根大臣より、日印間で海上安全保障の問題につき協力していきたい旨述べたところ、クリシュナ外相も同意した。

3.地域的情勢

 中曽根大臣より、北朝鮮に関し、安保理決議1874号に基づき北朝鮮に対し真剣に対応することが必要である旨述べるとともに、スリランカについて、内戦終結後の課題である多数の国内避難民支援及び政治プロセスの進展に向けて、これまでスリランカに深く関わっていたインドとの協力を重視する旨述べた。

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