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平成23年10月23日
フランソワ・フィヨン・フランス共和国首相は、昨春、日本国を見舞った甚大な自然災害と、それによって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所における事故に関し、日本国政府及び日本国民に対する連帯を表明する。野田佳彦日本国内閣総理大臣は、被害を受けた原子力施設の安定化のためにフランスから提供された援助に対し、謝意を表する。両首相は、この事故に対する日仏間の模範的な協力を強調するとともに、この協力を必要な限り継続する意思を表明する。両首相は、この事故からあらゆる教訓を導く必要があることについて同意し、この点に関して完全な透明性を確保していくことが重要であることを強調する。フィヨン首相は、この点に関する日本の取組を賞賛する。両首相は、事故により影響を受けた地域の除染等の分野においてより一層の協力を進める意思を再確認する。
両首相は、原子力エネルギーの分野において最高水準の安全性を実現することが重要であることを特に強調する。両首相は、安全性を恒常的に再評価していくことが必要であることを確認するとともに、この分野において継続的に改善を図っていくことが必要であることを再確認する。この点に関し、両首相は、最高水準の原子力安全の維持を保証するために安全当局の独立性が重要であること及び原子力施設の安全性に関する定期的かつ体系的なピア・レビューが重要であることを強調する。両首相は、そのようなレビューを推進することに同意し、このために、特に両国の関連する機関に対して協力するよう求める。
両首相は、原子力安全の分野において、特に公的機関、産業界、規制機関、技術支援機関及び研究機関間の国際的な協力が必要であることを強調する。両首相は、規範や安全に関する行動、危機管理、人材育成、透明性に関する国際的な協力を強化することにより最高水準の安全性を世界中で推進する決意を確認する。
両首相は、本年9月の国連総会の機会に開催されたハイレベル会合において原子力安全の強化に向けた国際社会の決意が表明されたことを歓迎する。両首相は、また、世界の原子力安全の強化のためのIAEAの中心的な役割を再確認し、IAEAの下で採択された関連条約の十全な実施、締約国の拡充及び強化を呼びかける。この点に関し、両首相は、原子力安全条約の締約国による特別会合が2012年8月に開催されると発表されたことを歓迎する。両首相は、本年9月のIAEA総会の機会に原子力安全に関する行動計画が採択されたことを歓迎し、全ての関係者に対して、この計画を具体的、完全かつ迅速に実施することを呼びかける。フランスは、2012年に日本とIAEAが共催する原子力安全に関する国際会議の開催への支持を表明する。
両首相は、現行の危機管理体制に施されるべき改善に関する見解を共有し、特に、原子力安全に関する行動計画に言及された原子力事故の際の国際緊急対応チームの創設及び原子力危機管理に関する人材育成のための一又は複数箇所の国際的なセンターの創設に向けた検討を促進する意思を確認する。
両首相は、放射能の人体への影響に関して世論が抱く疑問に対し完全な透明性をもって応えることが重要であることを確認する。両首相は、これらの問題が客観的な科学的データに基づき取り扱われなければならないことを強調する。
長らく原子力エネルギーを利用することを選択してきた日仏両国は、安全性、セキュリティ、不拡散に関する約束の尊重、環境保護に関する最良の条件の下で責任をもってこのエネルギーを使用することが必要であることを強調する。両首相は、原子力エネルギーの平和目的の利用のための二国間合意に基づき原子力エネルギーの分野における協力を強化する決意を新たにする。こうした協力を行うことによって、特に両国民に対してこの利用に関する全ての問題点がよりよく説明されることになるであろう。
両首相は、原子力エネルギーに関する全ての分野における二国間協力を強化するために、両国の関係する当事者によって構成される委員会を設立することを決定する。両首相は、この協力の深化を促し多元的な性格を与えるため、両国の公的機関、産業界、研究機関、大学が関与することが重要であるとの点について見解を共有する。
より広い観点から、両首相は、今日の世界の課題に対応するため、エネルギー政策に関する日仏間の対話を最大限に深化させるという共通の意思を表明する。このような観点から、両首相は、日仏両国が協力を深化させることを約束している全ての脱炭素エネルギーの役割を認識する。日仏両国は、特に、再生可能エネルギーの分野における両国間の協力を模索する。両首相は、エネルギー政策に関する日仏エネルギー当局間の対話の設置を決定し、上記の原子力エネルギーに関する委員会とこの日仏エネルギー政策対話とが相互に貢献し合うことへの期待を表明する。
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