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原子力エネルギーの平和的利用における協力に関する宣言
平成20年4月11日
(仏語版はこちら(PDF)
)
福田康夫日本国内閣総理大臣及びフランソワ・フィヨン・フランス共和国首相は、原子力エネルギーが21世紀における繁栄及び持続的発展に顕著な役割を果たすとの同一の見解を共有する。両首相は、核不拡散/保障措置、原子力安全及び核セキュリティ(3S)の確保の重要性が増大していることで一致しつつ、原子力エネルギーに対する新たな世界的関心を認識するとともに、これは両国の国内の取組を確認するものであると考える。このような背景の下、両首相は、原子力発電の導入及び拡大を検討する国々が最善の状態において自国の能力を高めることを支援していく意図を有する。
両首相は、日仏両政府が同様のエネルギー政策を実施し、省エネルギー及びエネルギー効率の向上に重点を置く持続的なエネルギー・ミックス、可能な限り安全な状態での原子力エネルギーの利用並びに再生可能エネルギーの開発を実現してきたことを確認する。両首相は、また、原子力エネルギーは安全で、競争力があり、CO2を排出しないエネルギーを供給するものであり、エネルギー・ミックスにおいて鍵となる要素の一つとして、両国により選択されてきたことを確認する。
両首相は、日仏両政府が、使用済核燃料を再処理し、価値の高い核物質を再利用し、及び責任ある方法により廃棄物を管理することによって、核燃料サイクルを確立することについても選択し、これにより持続的な発展に貢献していることを確認する。
両首相は、両政府が、国のエネルギー政策に関し、以下の同じ目標を共有することを強調する。
- エネルギー供給を長期的に保証すること
- 安定性、安全性及び競争力を有するエネルギーを両国内のすべての者に供給すること
- 温室効果ガス排出を削減することによって気候変動のリスクを防止すること
両首相は、民生用の原子力エネルギーの世界的な拡大に関連する不拡散上の挑戦について認識を共有する。両首相は、増大する原子力エネルギー需要を満たし、核不拡散体制を強化するための核燃料供給保証に関する各種のイニシアティブについて現在行われている議論の重要性を強調する。
両首相は、原子力エネルギーの一般的かつ長期間の利用により、日本及びフランスが、産業並びに研究及び開発の双方において、両国の国際的な約束に従って、原子力エネルギーの平和的利用の分野における強固なパートナーシップを以下のとおり構築することが可能となったとの認識を共有する。
- 日本原燃株式会社(JNFL)及びアレバは、フランスのラ・アーグ再処理工場の姉妹工場である日本の六ヶ所村再処理工場の設計及び建設に関し、模範的ともいえるパートナーシップを確立した。このパートナーシップにより、最近、六ヶ所村及びラ・アーグの再処理工場の将来の操業についても協力が行われることとなった。両国は、六ヶ所村再処理工場の建設当初から、同工場に対するIAEA保障措置の確保に大きな重要性を認めてきており、両国の国際的な約束に従って必要な措置をとってきた。
- 日本及びEU加盟国であるフランスは、共に、イーター事業及び「より広範な取組を通じた活動」に主要な貢献を行い、積極的に参加している。
- 日本及びフランスは、核燃料供給保証に関する議論並びに第四世代国際フォーラム(GIF)及び国際原子力パートナーシップ(GNEP)に共に参加している。
- 研究及び開発の分野においては、日本原子力研究開発機構(JAEA)及びフランス原子力庁(CEA)は、研究者の交流並びに大規模施設、すなわち日本の高速増殖炉である「もんじゅ」及び「常陽」並びにフランスで建設中のジュールホロヴィッツ炉の共同使用を通じた二国間協力を強化しており、また、原子力エネルギーの将来に備える多くの計画に共に参加している。
- JNFL、三菱重工株式会社(MHI)及びアレバは、高速炉及び関連する燃料サイクル技術を開発するためのジョイント・ベンチャーをアメリカ合衆国において設立した。
- MHI及びアレバは、世界における原子力エネルギーに対する関心の高まりを認識し、ジョイント・ベンチャーを通じて新たな中規模の第三世代加圧水型原子炉を共同開発している。
- 日本の電力会社及びフランス電力公社(EDF)は、原子力発電所の操業者としての経験を共有している。また、東京電力株式会社及びEDFは、共通の研究及び開発計画にも参加している。
両首相は、このような緊密で恒常的な協力を背景として、また、強固で十分に確立された産業基盤及び不断に培ったノウハウをもとに、関係する国際的な約束(原子力の平和利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を含む。)の規定を遵守しつつ、以下のことを行う。
- 世界のエネルギー安全保障を強化し、地球温暖化を防止する方法としての原子力エネルギーの役割の高まりを認識する。
- 原子力エネルギーの平和的利用には、3Sの確保を含む人的資源、規制体制等の基盤を整備することが必要であるとの国際的な理解を確立するために協力する。
- 原子力エネルギーの導入を検討している他国に対し、原子力エネルギーを3Sが確保されるような方法で自国のエネルギー・ミックスに含めることを奨励し、これらの国が法律的、行政的その他の必要な基盤を整えることを支援する用意があることを確認する。
- 両国間の原子力エネルギーの平和的利用の分野における協力の象徴である六ヶ所村再処理工場において厳格な保障措置が実施されていることを歓迎する。
- 特にGIF及びGNEPを通じ、世界における原子力エネルギーの責任ある発展及び核燃料サイクルの完成を促進する二国間及び多国間のイニシアティブを支持する。
- 核燃料供給保証に関する各種のイニシアティブについて現在行われている議論を評価する。
- 原子力エネルギーの持続性を長期的に確保する上で最善の持続可能な方法としての核燃料サイクルの確立を選択することの重要性を確認する。
- 日本の高速増殖炉「もんじゅ」を利用して、高速炉サイクル技術の開発に関する更なる協力を促進する。
両首相は、ここに、両国の相互利益のため政府、産業及び研究のレベルにおける二国間協力を進めるという共通の希望を確認し、原子力エネルギーの分野における両国の関係者の間の産業上並びに研究及び開発のパートナーシップの発展を支援する意図を再確認する。
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