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福田康夫日本国内閣総理大臣とフランソワ・フィヨン・フランス共和国首相による日仏経済宣言

平成20年4月11日

仏語版はこちら(PDF)PDF

日仏外交関係開設150周年に際し、福田康夫日本国内閣総理大臣とフランソワ・フィヨン・フランス共和国首相は、日本とフランスの発展した経済が直面する共通の課題を確認し、両国間の経済関係を強化する必要性について一致した。

1-両国の輸出業者と投資家に相互のアクセスを保証する。

(a-市場アクセス)

貿易と対外投資に対してより好ましい世界経済を促進することを希望し、また、両国のビジネス環境の継続的な改善を願い、双方は、WTOドーハ・ラウンド交渉の野心的かつ包括的で均衡の取れた成果に向けて協力する両国の意思を改めて表明した。双方は、ドーハ・ラウンドを成功裡に妥結させる緊急の必要性を強調した。

両国はまた、日EU規制改革対話の一環として、両国が表明した諸要求の取扱いに新たな推進力を与えることを確認する。また、特に医薬品、食品添加物、政府調達、滞在許可証、商契約に関する制約といった分野で開放的な市場アクセスに向けて引き続き努力を行う。

双方は、日EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブル(BDRT)に集まった日欧産業界が日EU経済関係をより強固かつ均衡のとれたものとすべく提出した数多くの提言の重要性を再確認した。

(b-航空機産業)

フランスは航空機分野の欧州企業の客観的な実績と競争力は、エアバス社が世界市場で占めるシェアにより近いシェアを日本において占めることを可能とするであろうということに期待を表明し、日本はフランスが日本市場において取組を強化することを歓迎した。双方は、超音速旅客機技術に関する研究のために、両国の産業界が共同で行っている作業を歓迎する。両国は、日本のリージョナル・ジェット・プロジェクトの進展に対する共通の期待を表明する。

(c-魅力と相互投資)

フランスは、その国土をより魅力的とするために、近年講じてきた数多くの措置、すなわち、クラスターの2008年以降の存続、研究開発税額控除の改革、及び「移民・統合に関する法律」の整備に際し経済移民の特殊性を考慮することを通じて、より多くの日本人投資家を迎えるための支援を行う。

日本とフランスは、外国からの投資に対してより広く門戸を開放することが両国共通の利益であることにつき一致する。双方は、お互いの金融・資本市場が魅力ある質の高いものとなるよう、必要な取組を引き続き進めていく。

また、双方は、両国間の経済・貿易関係の更なる発展のため、貿易円滑化の基礎となる日仏税関当局間の相互支援につき協力を強化していくことを確認した。

2-日仏企業向けの積極的行動により、両国間経済関係を強化する。

(a-イニシアチブ フランス・ジャポン)

双方は、両国企業が日本とフランスの市場に関する理解を継続的に深め、相手国市場における発展を支援することを目的とした一連のイニシアチブが2008年に開始されることを歓迎する。両国外交関係150周年に際し象徴的に開始されたこの「イニシアチブ フランス・ジャポン」(※1) は、両国間の貿易、相互の投資、産業協力を強化するために、日仏企業・産業クラスター間の協力推進に携わる双方の関係機関を結集させるものである。

(※1)主要なイニシアチブの概略が、この宣言に付される。

(b -人材の移動)

日本とフランスは、両国間のビジネスマンの移動、及び外国での経験で自らの教育を完成させることを希望する若い高等教育修了者の移動を奨励する。この関係で、フランスはフランス国際企業インターンシップ・プログラム(VIE)への関心を強調する。

3-日仏クラスター間の協力を促進する。

双方は、イノベーションがもたらし得る潜在的な成長を十分に引き出すため、イノベーション促進政策について日仏間で協力を進める意思を確認した。イノベーション促進の要となるクラスターをこの目的を達成するために積極的に活用する。
クラスター、企業間での共同研究、人材交流、情報交換などにより、日仏間の協力を奨励するための方策が本宣言に別添される。

4-地球規模課題に対する共通の対処の提案

先進経済が地球規模課題への取組において多くの共通の利益を有することを認識し、G8北海道洞爺湖サミットで優先的に取り上げるテーマに関して一致し、両国は、気候変動と開発に関する問題の共通の解決策を構想し、実施するために、より計画的に協議する。気候変動対策に関しては、国連プロセスを優先し、また、二国間及び多国間融資の受益国における国内政策を促進する。

政府開発援助に関し、双方は、アフリカに高い優先度をおき、民間部門への援助の重要性について認識を共有し、援助が被援助国において、社会面・環境面で好ましい影響をもたらすような規範と実践を推進する。

5-知的財産権を保護する。

双方は、知的財産権の執行の強化を規定する新しい国際的な枠組みである模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想の早期実現を支持することを表明し、議論が始まっていることを欣快とする。双方は、この条約構想が今後の交渉を通じた内容の充実を経て実現し、各国間の連携による条約の着実な履行に伴い、知的財産権の保護のみならず模倣品・海賊版によって害される消費者の安全に対する保護が強化されることを期待する。

また、日仏両国は、世界税関機構のSECURE(※2)計画において策定が進められている基準が、水際取締りの新たな国際的基準の一つとなることを奨励することで一致した。

さらに、双方は、イノベーションの促進の重要性にかんがみ、特許権の取得と保護を世界規模で改善するため、特許制度の国際的調和の実現に向けた取組を推進することで一致した。

(※2)知的財産権強化のために税関で用いられている基準。


別添文書1:2008年の「イニシアチブ フランス・ジャポン」の主たる行事

革新的で創造的な100の中小企業のための発見と調査のミッション (6月18~20日、フランスの複数の地方、ついで日本で)

本ミッションはフランス企業振興会(UBIFRANCE)が推進する「トランポリン日本-韓国」の日本関連行事であり、100の中小企業にアジアの発達した二つの市場を実地調査する機会を与えることを目的とする。貿易担当閣外大臣の日韓両国訪問に際して行われる。それに先立ち、3月25日-28日、フランス大使館経済部及びフランス政府対外貿易顧問委員会がフランスの諸地方を回り8つの大都市を訪ねて、フランス企業の訪日準備を助け、また彼らがプロジェクトを練り上げるための助言を行った。

シンポジウム フランス-日本 2008 (12月9日、パリ)

このシンポジウムは、フランスにおける日仏外交関係150周年行事の経済関係行事部分を締めくくるものである。日仏の経済大臣によって開会され、日本の専門家(大学教授、エコノミスト)が、企業、意思決定者、オピニオンリーダーといった聴衆に対して、日本や日本の展望や経済見通しに関する見方及び輸出、投資及び産業協力の面での両国企業にとっての機会につきプレゼンテーションを行う。

感性価値創造フェア (12月12~21日、パリ)

2007年5月に経済産業省が発表した「感性価値創造イニシアティブ」は、生活者の共感・感動を得ることで顕在化する商品・サービスの価値(感性価値)を国際的に発信することを目的とする。12月にパリ市内装飾美術館において開催される本展示会では、日仏協力により、新しいインスピレーション、感性価値、技術を融合する日仏の製品やデザインを紹介する。

バイオジャパンへのフランス企業・産業クラスターの出展 (10月15~17日、横浜)

バイオジャパンは、ポテンシャルが大きいバイオテクノロジー日本市場に参入するための、最良の門戸である。

ITER計画促進のための民生用核融合技術に関するシンポジウム(10月、東京)

このシンポジウムは、ITER計画でのパートナーシップを実現させるために、日本国においてフランス企業のノウハウを宣伝し、日仏企業の関係を築くことを目的とする。

ポリューテック (国際環境展) (12月2~5日、リヨン)

環境テクノロジーに特化した欧州における主要行事である本展示会において、日本は名誉招待国となる。


別添文書2:日仏クラスター協力の促進

日仏両国政府は、

持続的な経済成長に対する挑戦に対処するため、それぞれの科学面、技術面、産業面の強みを考慮し、

企業・大学・研究機関間のシナジー促進のため、日本では産業・知的クラスター政策、フランスでは競争力拠点(クラスター)政策としてそれぞれ採用されている発展戦略を考慮し、

日仏クラスター研究機関間のこれまでの科学面での協力の歴史と質にかんがみ、

日仏クラスター間で署名された最初の協力文書、及び現在交渉中の文書の重要性を考慮し、

日本側経済産業省通商政策局及び仏側経済産業雇用省企業総局の共同主催の下で毎年日仏において交互に開催されている日仏産業協力委員会が果たしている重要な役割を再認識し、

2007年3月の日仏産業協力委員会において、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、エネルギー・環境分野の協力にプライオリティが置かれたことを踏まえ、

成長、雇用促進への影響を与えるポテンシャルを強く有する分野において、両国のイノベーションのアクター間での協力を促進及び強化するために、

日本側では総務省、文部科学省及び経済産業省、フランス側では経済産業雇用省の主導のもと、とりわけ下記の方策を通じてクラスター間の協力を推進する。

1.双方は、イノベーションに資する政策及び日本の産業・知的クラスター及び仏クラスターの発展に関するベストプラクティス及び情報の交換を強化する。

2.双方は、日仏クラスターの関係者間での協力の可能性をより明確に把握するために、日仏クラスターの間の相互理解を促進する。

3.双方は、共通の又は補完的な利益を有する優先的産業分野の特定に向けた日仏クラスター関係者間の今後の作業を奨励する。

本文書に資する2008年産業協力事業は下記のとおり。

-自動車分野

4件の仏クラスター(MOVEO, Automobile haut de gamme, Vehicules du futur, Mobilite et Transports Associes)及び関係する企業で構成される合同ミッションが、"人とくるまのテクノロジー展"(5月21~23日/パシフィコ横浜)に参加する。自動車産業の先端技術のためのこの展示会は今年で17年目であり、自動車、部品、材料などのエンジニア、技術者、買い手が集まる。

-メカトロニクス分野

フランス側は"Arve Industries"クラスターが中心となり、日仏欧産業会合(5月20~21日/アヌシー)を150周年記念事業として開催する。

-情報通信技術分野

10件程度の仏クラスターと日本の関係者を集め、日仏シンポジウム (2008年5月30日/ソフィア-アンティポリス)が、総務省と経済産業雇用省の主催により開催される。

-バイオテクノロジー分野

6件の仏クラスターの合同ミッション及び数多くの仏企業が、バイオジャパン2008(10月15~17日/横浜)に参加する予定である。

-環境技術分野

ポリューテック(12月2~5日/リヨン)で、150周年記念事業及び仏EU議長国事業として日仏欧のセミナーを開催する。日本は名誉招待国となる。

-二国間産業協力

第22回日仏産業協力委員会(5月12日/仙台)が開催され、日仏政府クラスター政策関係者間でクラスター協力を含む今後の二国間協力の可能性について意見交換が実施される。

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