2月18日~20日に開催された平成24年度欧州大使会議の概要は以下のとおり。
1.基本的価値を共有する欧州との裾野の広い関係強化
- 我が国は,自由,民主主義,基本的人権,法の支配といった基本的価値を欧州と共有。これらの基本的価値に立脚した戦略的な外交を展開し,日本の国益に適う国際秩序の維持・構築に取り組んでいく上で,欧州が有する大きな国際的発信力・影響力にもかんがみ,欧州との連携を強化していくことを確認。
- 連携強化の方策として,総理及び政務レベルの欧州訪問,欧州各国・機関要人の訪日,V4等のマルチの枠組みを活用した関係強化,議員交流,地方連携など様々なチャネルを積極的に活用し,オールジャパンの取組みを通じて裾野の広い日欧関係を構築していくことを確認。
- 日本の政策目標の実現,日本文化・ブランドの発信,市民レベルでの対日理解の促進をはかる上で,価値を共有する欧州に対する効果的な広報・情報発信や文化外交のあり方についても議論を実施。
2.グローバルな諸課題等への対応における日欧協力の強化
- テロとの闘い,エネルギー安全保障,サイバー等の課題を含むグローバルな諸課題への取組における日欧協力のあり方について意見交換を実施。これらの課題への対処において利益と責任を共有する欧州との一層の連携・協力を図ることを確認。
- 我が国を取り巻く戦略環境が変化している中,日欧間で対話を深め,アジアと欧州の安全保障環境は密接に連関しているとの共通の認識を醸成していくことの意義を確認。
- ロシアとの間では,最大の懸案である北方領土問題の解決に取り組むとともに,アジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すべく,あらゆる分野で協力を深めていくことが日露両国,さらにはこの地域の利益となるとの認識で一致。
- 中央アジア・コーカサス諸国との間では,「中央アジア+日本」対話や各種政策協議を通じて経済関係を含めた関係強化に努力していくことを確認。
3.経済外交の推進
- 日EU間の経済連携を強化し,日本と欧州双方の経済成長に資する日EU・EPAの交渉や欧州各国との経済関係につき,関係大使間及び経団連等と意見交換を実施。
- 依然として世界経済のリスク要因である欧州債務危機に関し,欧州各国の対応や経済・政治面における影響,さらに今後の欧州統合のあり方への影響について意見交換を実施すると共に,引き続き情勢をフォローしていくことを確認。
- 日本の経済成長に不可欠な資源・エネルギーの安定供給確保やインフラ事業の海外展開といった経済外交を引き続き推進していくことを確認。特に,欧州においても関心が高まっているエネルギーに関しては,北海油田やシェールガス開発の影響,原子力及び再生可能エネルギー政策の動向,地球温暖化等の多様な観点から,外部有識者も交えつつ議論を実施。