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平成19年12月
(1)日時:12月18日(火曜日)9時30分~17時30分 於:外務省
(2)日本側出席者:小田部外務省経済局長(共同議長)、松浦経済統合体課長他、12省庁の関係者(内閣官房、内閣府、総務省、金融庁、財務省、経済産業省、農林水産省、警察庁、法務省、国土交通省、厚生労働省、環境省)
(3)EU側出席者:コバンダ欧州委員会対外関係総局次長(共同議長)、ローハン同総局日本課長他、欧州委員会関係部局担当者、駐日欧州委員会代表部関係者、在京EU加盟国大使館関係者
(参考)日EU規制改革対話
参考文書:
規制改革に関するEU側提案(PDF)
規制改革に関する日本側提案(PDF)
1.冒頭発言
(1)日本側議長
日EUは改革の方向性を共有する協力パートナー。改定リスボン戦略等のEU側の取り組みを支持。福田政権は「自立と共生」の下、「改革の継続と安定した成長」のための経済諸政策を推進。グローバルな国際競争と少子高齢化への対応等の課題を共有する日EUは、規制調和・協力を進めることでグローバル経済を牽引していくべき。日本側提案書は、多数の進出日本企業、経済団体、関係省庁の意見を踏まえ作成しており、EU側が今後の改革プロセスに日本側提案を適切に反映していくことを求める。
(2)EU側議長
EU側提案書についての日本側の更なる取組みを求める。本年EU側は、在京EU加盟国大使館の参加を得て大規模な代表団で臨んでいる。近年、日EU協力が多様な分野で進展していることを歓迎。今後も規制改革を優先分野の一つと位置づけ協力を推進していきたい。他の対話枠組みとの関係の整理も含め、本対話の見直し作業を日EUで進めていきたい。
(3)我が国の規制改革に関する説明
内閣府より、我が国の規制改革への取組に関し、1)規制改革の枠組み、2)規制改革会議の構成、3)規制改革推進のための3か年計画等の説明を行った。
2.EU側提案に関する議論
今回の会合では、提出された日EU双方の提案書の内、EU側提案書を主に取り上げ、以下のEU側の要望項目に関する議論が行われた。
(1)投資
(イ)企業再編と関連措置(M&A事案)
(ロ)支店の合法性(擬似外国会社)
(ハ)人的資源(再入国許可制度、運転免許制度、年金制度等)
(ニ)透明性(パブリック・コメント手続、審議会等への外国ビジネス団体の参加、ノーアクションレター、規制影響分析)
(2)政府調達
入札制度・手続の透明性・予見性、地方の調達制度、入札情報の一元的電子化、国内外の経験の無差別取り扱い、経営事項審査に関する要望等。
(3)情報・通信技術(ICT)
(イ)電気通信市場(相互接続提供における透明性・無差別性の確保、ユニバーサル・サービス基金における客観性・透明性・無差別性の確保)
(ロ)第四世代携帯電話用周波数の世界的調和
(ハ)電気通信端末機器の市場アクセス(EUの供給者規格適合性宣言の受入等)
(4)金融サービス(銀行及び投資サービス、保険、会計監査、会計基準)
(イ)銀行・投資(ユニバーサルバンキング業務禁止規定の廃止、外国銀行支店による信託銀行業務の兼営許可等)
(ロ)保険(支払余力の算出方法の見直し、保険契約者保護機構の改定、認可共済を金融庁の監督下とすること等)
(ハ)会計監査(監査監督体制の同等性、当局間の情報交換の更なる緊密化)
(ニ)会計基準(日本の会計基準の国際会計基準との収斂の加速化)
(5)郵政民営化
民営化プロセスにおける透明性確保、郵便ゆうちょ銀行・かんぽ銀行の株式の早期上場、信書便分野の段階的開放、EMS民間事業者との公平な競争条件の確保等。
(6)運輸
(イ)航空輸送(二国間航空協定の改正)
(ロ)海上輸送(港湾事業の透明性、効率性及び公平性、競争的な港湾事業等)
(7)医療・化粧品
(イ)医薬品(新薬の登録・承認プロセスの質、効率性の改善、データ保護期間の延長等)
(ロ)医療機器(承認手続きの合理化と透明性の向上、価格設定と償還手続き等)
(8)食品安全及び農産品
(イ)食品添加物・香料認可の迅速化(国際機関による科学的評価等の受け入れ)
(ロ)牛・羊製品の輸入(日本への牛肉輸入再開申請)
(ハ)有機農産物認証認定機関(改正JAS法による再登録手続き負担の軽減)
(ニ)植物検疫(非検疫生物リストの拡大等)
(ホ)育成者権(農業者の特権免除が適用されない植物の種・属リストの拡大)
(ヘ)地域主義
(ト)輸入規制(食品検査結果に対する不服申し立て手続きの導入)
(チ)輸入規制(MRL(農薬の最大残留基準)違反時の輸出国の全企業検査の見直し)
(リ)動物衛生(「いかなる伝染病からもフリーであること」という要件の削除)
(9)木材基準
欧州産木材のJAS規格上の分類等。
(10)動物用医薬品
製品承認プロセス簡素化。知的財産権保護による研究開発の促進。
3.来年3月頃に開催されるブリュッセル会合に先立ち、同日提出した日本側の対EU提案書から、重点項目として以下を取り上げ、EU側の積極的な取り組みを求めた。
(1)EU域内市場調和化の推進
(イ)環境(REACH)
(ロ)商法・商慣行(国境を越えた損益計算等)
(ハ)知的財産権(国際特許制度調和等)
(ニ)規格・基準認証(適合性評価の手続きの統一等)
(ホ)「より良い規制」(規制コスト削減による競争的なビジネス環境の整備)
(2)人の移動(滞在労働許可)
(3)貿易・関税(IT製品等)
(4)医療・医薬品(ニセ薬対策)
(5)検疫・食品安全(EU諸国向け日本産肉及び肉製品の輸出、有機JAS規格とEU有機食品認証統一基準との同等性)
4.他国との規制協力枠組みの紹介
本年度からの初めての試みとして、日本側より、日本政府が他国と実施している規制分野での協力枠組の例として、「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」の概要を紹介した。
5.会合の総括
(1)日本側総括
成熟した日EU関係及び日EU当局間の信頼関係を基礎として、広い分野について率直な意見交換が出来たことを評価し、本対話が規制改革から規制協力へ質的進化を遂げつつあることを認識。今後も各分野で協力を更に進展させたい。本対話は継続プロセスであり、具体的な成果が得られる分野が存在すると同時に、短期間で目に見える成果が出ない分野においても、双方の制度理解が着実に進む等、堅実な成果が得られている。一定の前向きな動きが見られた分野として、EU側要望項目の内、三角合併、透明性、政府調達、情報・通信技術、金融サービス、郵政の民営化、医療・化粧品、食品安全・農産品が挙げられる。これらの分野においては、我が国の制度及び取り組みに関するEU側の適切な理解が得られた、専門家間で建設的な意見交換が実施された、日EU間で共通の関心が認識された、目に見える成果・進展が認められた等の前向きな進展が見られた。本日、欧州委員会本部に加え在京加盟国大使館から多くの出席が得られたことを、我が国の規制改革に対するEU側の関心の高さ、及び日EU関係の深化を表すものとして評価。
(2)EU側総括
日本側総括を基本的に共有。未解決の問題、解決途上にある問題の双方に対し、ビジネス界及び消費者の利益の確保の観点から、今後の継続プロセスに積極的に取り組んでいきたい。三角合併、透明性、政府調達、情報・通信技術、金融サービス、医療・医薬品、食品安全・農産品、木材基準の各分野について一定の前向きな進展が見られたと認識しており、日本側の取り組みを評価するとともに、今後様々な機会を利用し協力関係を継続していきたい。
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