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第19回日・EU定期首脳協議
共同プレス声明
2010年4月28日、東京
(英語版はこちら)
鳩山由紀夫日本国内閣総理大臣、ヘルマン・ファン=ロンパイ欧州理事会議長、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長は、2010年4月28日、東京において第19回日・EU定期首脳協議を行った。岡田克也日本国外務大臣、直嶋正行経済産業大臣及びキャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表、カレル・デ・グフト貿易担当欧州委員も各々の首脳を補佐するために協議に出席した。
日・EU首脳は、日・EU関係のみならず、多くの重要な国際的課題について意見を交換した。日・EU首脳は、この協議が、将来の日・EU関係を強化するための指針を策定する上で、有意義な協議であったとの認識で一致した。日・EU首脳は、国際社会が直面する重要なグローバル及び地域的な課題に対する共通の立場を固めることができたことに満足の意を示した。多くの分野において、日・EU首脳は具体的かつ短期的な協力のための優先事項を特定することができた。
首脳協議の主要な論点を下記に要約する。更なる詳細は付属文書に記載した。
刷新の年:より行動志向のパートナーシップに向けて
- 日・EU首脳は、日本とEUが、特に民主主義、法の支配及び人権といった基本的価値及び原則への共有したコミットメントによって結ばれているという強い確信を再確認した。同時に、日・EU首脳は、市場経済及び持続的発展への深いコミットメントを表明した。
- 日・EU首脳は、2010年が刷新の一年であるとの認識で一致した。日本は2009年9月に政権交代により政治刷新を経験した。EUは、リスボン条約の発効に伴い、組織再編に取り組んでいる。日・EU首脳は、この刷新が、日・EU関係を更に高め、協力を強化するための好機を提供しているとの認識を共有した。
- 日・EU首脳は、昨年の首脳協議以来の日・EU関係における前進を歓迎した。日・EU首脳は、関係強化に向けた更なる潜在力があり、日・EU間でより多くのことが行われるべきであることを強調した。日・EU首脳は、同じ考えを持つグローバル・パートナー及び主要な経済主体として、日・EU関係及び国際社会の双方において、一層緊密に取り組むことを制度的に目指すべきであるとの認識を強調した。日・EU首脳は、将来の日・EU協力が共通の立場を発展・推進し、具体的な成果を目指した共同プロジェクトに焦点を当てるものとなることを求めた。
- 日・EU首脳は、1991年の日・EC共同宣言及び2001年の日・EU行動計画の経験に立脚して、日・EU関係のあらゆる側面を包括的に強化し、それを実行に移す枠組みを定めるための選択肢を示すため、「合同ハイレベル・グループ」の設置を決定した。
- このため、合同ハイレベル・グループは、日・EU経済関係を包括的に強化、統合するための方策について共同検討作業を行うこととする。この経済関係は、すべての関税、非関税措置、サービス、サービス及び非サービス・セクターにおける投資、知的財産権、政府調達等を含む、双方のすべての関心事項を取り扱うものとする。
- 日・EU首脳は、2011年の定期首脳協議において、合同ハイレベル・グループで特定された日・EUの政治経済関係を更に強化するための結果及び選択肢に基づいて、次の適切なステップを決定することとする。
首脳協議で一致した、他の具体的な日・EUイニシアティブ
- 日・EU首脳は、日・EU協力を将来的に発展させていくためのより行動志向的な具体例として、次のイニシアティブを特定した。
アフガニスタンにおける日・EU協力
- 日・EU首脳は、アフガニスタン政府、国連及びその他の国際的パートナーと積極的に連携しつつ、アフガニスタンの人々の、安全で安定した豊かな将来のために共に取り組んでいく意志があることを再確認した。日・EU首脳は、現場で地方連携チーム(PRT)との協力が成功裏に実施されていることを歓迎した。日・EU首脳は、2009年10月に採択されたアフガニスタン・パキスタン支援に関するEU行動計画及び2009年11月に発表された日本のアフガニスタン・パキスタン支援パッケージに関連して、治安、再統合、開発支援の分野で協力を追求する用意があることを確認した。この点に関し、日・EU首脳は次の事項を決定した。
- ゴール県における施設整備を含む、アフガニスタン警察のキャパシティ・ビルディング支援の分野における、日本とEUの協力の可能性を引き続き追求すること。
- アフガニスタン近隣諸国の国境管理能力を向上させることを目的としたキャパシティ・ビルディングのセミナーをタジキスタンで開催すること。
共通安全保障防衛政策への日本の貢献
- 日・EU首脳は、持続的な平和を達成するために、紛争から脱しつつある国々の取組を支援する重要性を強調した。日本は、EUが共通安全保障防衛政策(CSDP)により実施されている危機管理及び紛争後の平和維持活動を高く評価した。日本は、初めてCSDP文民ミッションに文民要員による貢献を行うことについての関心を表明し、EUはこれを歓迎した。
海賊対策に向けた共同の取組
- 日・EU首脳は、ソマリア沖・アデン湾の海上航行の安全及び地域の安定のため、増大する海賊による脅威に継続して対処していく重要性を強調した。日・EU首脳は、この目的のため同海域で活動する海上自衛隊及びEU海上部隊ソマリア(アタランタ作戦)の両部隊間で有益な連携が行われていることを賞賛した。日・EU首脳は、現在計画中のジブチの地域訓練センター及びイエメン、ケニア及びタンザニアの情報共有センターの活動を支援することについて調整を行うことを決定した。
日・EU協議メカニズム
- 日・EU首脳は、グローバルな課題及び日・EU間の課題に関する実質的協力のため、定期的な協議のメカニズムを首脳及び閣僚レベルで、継続していくことを決定した。
主たるグローバルな課題に関する日・EU協力
気候変動・環境
- 日・EU首脳は、気候変動は国際社会の直面する最大の課題の一つであることを認識し、昨年の定期首脳協議以降、この問題に関する日本とEUの立場が顕著に近づいていることを歓迎した。日・EU首脳は、日本とEUが、京都議定書から得られた経験を尊重しつつ、すべての主要経済国が参加する公平で実効的な新しい一つの国際枠組みを構築する力強く実効的な一つの法的拘束力のある合意を早期に採択するため努力し、京都議定書の下での現在の目標を達成し、共にリーダーシップを発揮すべきとの確信を共有した。日・EU首脳は、コペンハーゲン合意への賛同を再確認し、世界全体の気温の上昇が摂氏2度より下にとどまるべきであるとの科学的見解を認識しつつ、国連気候変動枠組条約交渉プロセスは、コペンハーゲン合意を踏まえた一つの包括的な合意の創設に至るべきことを考慮した。日・EU首脳は、残る国連気候変動枠組条約締約国が、コペンハーゲン合意に賛同し、野心的な目標又は行動を提出することを求めた。
- 日・EU首脳は、人類起源の自然環境破壊を抑制するための緊密な協力関係の必要性について一致した。日・EU首脳は、日本とEUが、10月に愛知県名古屋市で日本がホストする生物多様性条約第10回締約国会議の成功を確実にするために協力するべきとの認識を共有した。
ミレニアム開発目標(MDGs)
- 日・EU首脳は、世界的な金融・経済危機が開発途上国に及ぼしている負の影響、及び特にアフリカにおけるMDGs達成に向けたペースが緩やかであることにつき懸念を表明した。日・EU首脳は、破綻国家支援や教育及び保健といった最も成果の低いMDGsの達成に特別な重点を置き、MDGsを2015年までに達成するために、共同行動を再活性化させる必要性を強調した。日・EU首脳は、2010年9月に開催される国連ハイレベル全体会合における野心的な成果を要求するとともに、それに向けて連携していくことを確約した。
平和と安全の促進
- 日・EU首脳は、アメリカ合衆国とロシア連邦との間で第一次戦略核兵器削減条約の後継条約が署名されたことを歓迎した。日・EU首脳は、核兵器不拡散条約(NPT)の目的に一致した形で、すべての国にとってより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた条件をつくることへのコミットメントを再確認した。日・EU首脳は、また、核兵器の包括的削減の追求といった目的を達成するための実践的措置に向けた努力を強化する意図を表明し、すべての国に対してこの努力に加わるよう求めた。
- 日・EU首脳は、2010年4月12日から13日にワシントンDCにおいて開催された核セキュリティーサミットにおける成果を歓迎し、世界規模のセキュリティー強化に向けた取組へのコミットメントを再確認した。
- 日・EU首脳は、2010年NPT運用検討会議が、同条約の強化、国際的な軍縮・不拡散体制において中心的な役割を担うことの確認、及び軍縮・不拡散・原子力の平和利用といったNPTの3本柱における有益かつバランスのとれた成果を達成するために、日・EU双方が緊密に連携していくべきであるとの見解を共有した。
- 日・EU首脳は、核不拡散と原子力の平和的利用の両方においてIAEAが果たす役割の重要性に鑑み、包括的な保障措置協定と追加議定書が検証基準となるべきであることを強調した。
- 日・EU首脳は、イランの核計画、及びイランが国際的な義務を引き続き満たしていないことについての深刻な懸念を表明した。日・EU首脳は、現在までのところ、イランが、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国及びEU外務・安全保障政策上級代表との建設的な関与の機会を掴んでいないことに遺憾の意を表明した。日・EU首脳は、イランに対し、IAEAに完全に協力し、関連の国連安保理決議を遅滞なく遵守するよう強く求めた。日・EU首脳は、国際社会の団結の重要性を再確認し、デュアルトラック・アプローチに沿った形で、平和的解決に向け、国連の追加的制裁を含む必要な措置を執ることへのコミットメントを表明した。
- 日・EU首脳は、通常兵器移転の最も高い共通の国際的基準に関する法的拘束力のある文書を作成するために開催される2012年国連武器貿易条約会議を歓迎した。両首脳は、強力且つ確固とした条約作りを達成するため双方が緊密に協力することを再確認した。
地域情勢
- 日・EU首脳は、中国の国際関係及び地域内での役割の増大にかんがみ、国際社会における責任ある建設的なパートナーとして、中国と協力する重要性を強調した。日本側は、武器禁輸の問題は、地域の安全保障環境に照らし慎重な検討が必要との見解を表明した。
- 日・EU首脳は、北朝鮮をめぐる諸懸案、特に、核、ミサイル、拉致を含む人権問題に取り組む必要性を認識した。日・EU首脳は、国連安保理決議第1718号及び同1874号の着実な実施の重要性を再確認した。さらに、日・EU首脳は、北朝鮮に対し、即時かつ無条件での六者会合への復帰を含む、完全、検証可能かつ不可逆的な非核化と2005年9月の共同声明の完全履行のために、前向きかつ具体的な行動をとるよう要請した。
グローバル経済、金融及び貿易
- 日・EU首脳は、世界経済の回復基調を支えるために、緊密な国際政策協調を維持する必要性を強調した。両首脳はこれまでのG20サミットにおけるコミットメントの着実な実施を求めた。両首脳は、6月のトロント及び11月のソウルにおけるG20サミットの成功を確保するため、日本及びEUが緊密に協働することを誓約した。
- 日・EU首脳は、将来の経済成長を力強く促進するものとして、WTOドーハ・ラウンドのバランスのとれ、包括的かつ野心的な形での迅速な妥結へのコミットメントを強調した。また、両首脳は、WTO政府調達協定改正交渉の、迅速で、野心的かつバランスのとれた妥結にコミットしており、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)交渉の2010年中の妥結に向け全力を尽くすことにコミットした。
- 日・EU首脳は、また、各々の新たな成長戦略(日本の新成長戦略およびヨーロッパ2020戦略)についてその進展の見通しを議論した。両首脳は、日・EUが直面する経済的課題及びそれへの対処に関して多くの共通点があることに留意した。両首脳は、ベストプラクティスについて意見交換し、経験を共有するため、この分野における対話を継続することの重要性を再確認した。
- 日・EU首脳は、2009年の日・EU定期首脳協議に際して発出された共同プレス声明第34パラグラフで言及された「いくつかの特定の非関税案件」について、これまでの一年間の進捗をレビューし、これを歓迎した。また、合同ハイレベル・グループの中でこれら案件に関し協働作業を継続し、これを成功裏に完了することの重要性を強調した。
付属文書
日・EU首脳は、重要な共通の関心事項についての立場を調整するための日本とEU間の対話の重要性を強調した。日・EU首脳は、国際場裡における共通の立場及び具体的な結果を目指した共通の行動を発展・促進させることを、より制度的に実施する可能性を追求する意思を共有した。
1.二国間協力
日・EU首脳は、2010年2月にブリュッセルにて、日・EUの市民社会から幅広い参加者を得て開催された日・EU関係の将来に関するシンポジウムにおいて出されたアイディアを歓迎した。
経済及び貿易
日・EU首脳は、以下の分野における協力も通じて、引き続き、日・EU経済・貿易関係を拡大、深化させていくことを再確認した。
- 2009年の日・EU定期首脳協議に際して発出された共同プレス声明第34パラグラフで言及された「いくつかの特定の非関税案件」に関するプロセスを成功裏に完了させること。
- 貿易及び投資に影響のある非関税措置を防止及び軽減するための実質的な努力を追求する。特に、規制政策の透明性を高めることや、既存の日・EU対話を活用することを通じて行うこと。
- 日・EU双方の政府調達市場に対する、更なる透明性とアクセスの改善を促進すること。
日・EU首脳は、日・EUビジネス・ラウンド・テーブル(BRT)の取組の価値を認識し、双方のビジネス界の間の議論に引き続き強い関心を払うこととした。
研究と革新
日本とEUは、革新的技術に関する研究と開発における協働を深める。
優先分野は以下を含む。
- 最近署名され、今後可能な限り早期の発効が見込まれる、日・EC科学技術協力協定の実施。
- 協力を強化していく優先分野の共同での特定、ここには、環境・低炭素技術、材料科学、情報通信技術、宇宙応用が含まれうる。
- 熱核融合の実現に向けたイーター(ITER)計画及び幅広いアプローチの政治的・科学的成功に向けたコミットメント並びに、イーター計画のベースライン文書の早期採択に向けた最大限の努力。
税関
日・EU首脳は、2008年に日・EC税関相互支援協定が発効した後の税関分野における進展、特に、認定事業者制度(AEO)の相互承認取決めが2010年6月末までに採択されることを歓迎した。日本は、EUの世界税関機構(WCO)への時宜を得た加盟を全面的に支持することを再確認した。
知的財産権
日・EU首脳は、二国間及び多数国間の双方において、2007年日・EU定期首脳協議において採択された知的財産権の保護及び執行に関する日・EU行動計画の実施によって、知的財産権に関する協力を引き続き強化することを確認した。
消費者保護
日・EU首脳は、高いレベルの消費者保護を確保することの重要性を認識し、消費者の安全・安心に関する日・EU協力に係る2008年日・EU定期首脳協議共同プレス声明別添文書を引き続き実施する意思を再確認した。
エネルギー
日・EU首脳は、エネルギー安全保障、持続可能なエネルギー政策及びエネルギー技術に関し、引き続き日・EU両者で協力していくことにコミットした。両首脳は、また、とりわけ国際エネルギー・フォーラム及びエネルギー憲章条約の枠組みにおける産出国と消費国の対話の価値を認識した。両首脳は、再生可能エネルギー源の開発及び普及の重要性を強調し、国際再生可能エネルギー機関憲章の発効を期待した。両首脳は、また、国際エネルギー機関及び国際省エネルギー協力パートナーシップ(IPEEC)等を通じ、エネルギー効率及び低炭素技術の促進において、双方が緊密に協力することを強調した。
刑事共助
日・EU首脳は、日・EU刑事共助協定の署名を歓迎するとともに、刑事分野で効率的な協力を可能とするために、できる限り迅速にこの協定が発効することの重要性を強調した。
人的交流
日・EU首脳は、日本とEUは、相互理解を増進し、協力を拡充する観点から、人的交流をステップ・アップさせる方途について検討することを確認した。
優先分野は以下を含む。
- アドホックな高等教育政策セミナーを2010年6月に東京で開催。
- これまでの教育プロジェクト及びエラスムス・ムンドゥス計画を通じて得られた経験を基に、学術交流を拡充させるための方途を探求。
- シンクタンク、ジャーナリスト、政治家、外交官、行政官といったその他の種類の交流を促進するための方途を探求。
2.グローバルな課題における協力
グローバル経済と金融
日・EU首脳は、日本及びEUは国際経済協力、特にG20における協力につき緊密に協働することを再確認した。
優先分野は以下を含む。
- G20の「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」のすべての参加者による実施に向け努力すること。
- 金融規制改革のモメンタムを維持し、この分野における国際協力を主導すること。
- 過大代表国から過小代表国へのIMFのクォータ・シェア移転を含む国際金融機関改革に関するコミットメントを実施すること。
- 財政再建の取組のための協力と協調のアプローチを継続すること。
気候変動
日・EU首脳は、日本とEUが、気候変動の分野で共にリーダーシップを発揮し、持続可能な低炭素世界経済の発展を促進するとの見解を共有した。
優先分野は以下を含む。
- コペンハーゲン合意に賛同していないすべての締約国が、コペンハーゲン合意に賛同し、野心的な目標又は行動を提出する立場にある国についてはそうすることを奨励すること。
- 国連気候変動枠組条約の交渉プロセスは、コペンハーゲン合意を踏まえた一つの包括的な合意の創設のための議論を主導すべきとの見解を共有し、すべての主要経済国が参加する公平で実効的な一つの国際枠組みを構築する力強く実効的な一つの法的拘束力のある合意を早期に採択するために努力すること。
- 2050年までに1990年比で世界全体の温室効果ガスの排出量の少なくとも50%を削減すること、及びその一部として、先進国全体で温室効果ガスの排出量を80%またはそれ以上削減することの必要性を強調し、透明性を確保しつつ更なる野心的な行動をとるため、様々な国、特に他の主要経済国における努力を奨励すること。
- 国内の排出量取引制度の発展において、緊密に協力し、経験を共有するとともに、温室効果ガスの排出を着実かつ効率的に削減するためにこのような制度がどのように開発、運用しうるかについて探求すること。
- CCS(炭素回収・貯留)等の分野への拡大を含むクリーン開発メカニズムの改革及び新たなメカニズムの導入を追求し、緩和行動の費用対効果を向上させ同行動を促進する方法につき意見交換すること。
- 途上国による緩和及び適応措置のための具体的支援プログラムまたはプロジェクトの一部として、2010~2012年の早期の資金支援活動の実施を継続し、この努力の透明性及び民間資金の動員を奨励すること。
- 発電、産業、運輸、建築、住宅、農業、森林、CCS等の部門における技術の開発、展開及び移転において緊密に協力し、経験を共有すること。
- より効率的で効果的な排出削減を世界的に奨励するため、REDDプラス(途上国における森林減少及び劣化に由来する排出削減、森林炭素蓄積の保全、持続可能な森林 管理、森林炭素蓄積の強化)メカニズムを、メカニズムの環境十全性を確保しつつ、構築すること。
日・EU首脳は、日本とEUがまた、適切な場において、環境物品及びサービスの貿易障壁の削減及び撤廃を目指し、協力を強化することを確認した。
生物多様性
日・EU首脳は、生物多様性条約第10回締約国会議の成功を確実にするために緊密に協力することへのコミットメントを再確認した。
優先分野は以下を含む。
- ポスト2010年生物多様性目標は、途上国を含む国際社会に受け入れられるものとすべきであることを認識し、2010年以降の生物多様性のための意欲的なビジョン及び、意欲的であるが実行可能でかつ測定可能な短期の目標の作成を推進。
- ABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分)に関する国際的枠組の交渉の完了を支持。
- バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任と救済の分野におけるバランスのとれた効果的な国際ルールの採択を支持。
- 生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォームを2010年内に可能な限り早く設立することを支持。
ミレニアム開発目標/開発
日・EU首脳は、日本とEUが、特にアフリカにおいて、人間の安全保障の観点が必要不可欠であるMDGsを達成するために必要な共同の取組への具体的な貢献の方法を明確にする。
優先分野は以下を含む。
- 日・EU援助政策協議において行われた、MDGs、世論とアウトリーチ、革新的資金調達、援助・開発効果及び気候変動資金についての議論のフォローアップ。
- 国連総会第65回会期におけるハイレベル全体会合への主要なインプットとして、個人の保護、権利強化の観点を反映。
不拡散・軍縮
日・EU首脳は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効、CTBT検証体制の確立、国際社会にとって透明で開かれた方法によるすべての核実験施設の可能な限り早期の解体のために緊密に協力することを再確認した。日・EU首脳はまた、遅滞なくかつ前提条件なしに、検証規定を伴った、兵器用核分裂性物質生産禁止条約交渉を軍縮会議において開始するために協力することの必要性について一致した。
日・EU首脳は、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)、軍縮会議(CD)において、また「宇宙活動のための行動規範」に関するEUのイニシアティブに関して、宇宙分野に係る現在の日・EU協力を強化する意図を共有した。
テロ対策
日・EU首脳は、テロとの闘いへの強いコミットメントと国連グローバル・テロ対策戦略への支持を再確認した。この関連で、日・EU首脳は、パキスタン及びイエメンといった国々や東南アジア地域においてテロ対策能力を構築するためにそれぞれが実施している支援を互いに評価した。
国連改革
日・EU首脳は、効果的な多国間主義及び国際的な課題に対する国連の中心的な役割について支持を表明した。日・EU首脳は、グローバルな課題に効果的に対処するために国連の能力を強化すべく、成果文書に言及されたとおり、主要な国連機関の改革を含む、2005年の国連首脳会合において採択された国連システムの改革を完全に実行することの重要性を強調した。また、日・EU首脳は、人権理事会及び平和構築委員会での取組を含む、更なる多国間の協力の重要性を強調した。
人間の安全保障
日・EU首脳は、人間の安全保障に関する国連事務総長報告を歓迎し、国連及びその他の国際的なフォーラムにおいて、この概念に関し協力していく意図を再確認した。この関連で、日・EU首脳は、2005年世界サミット成果文書に沿って、人間の安全保障に関連する問題を、国連総会で議論する必要性を強調した。
人権
日本とEUが共通の価値を共有していることを踏まえ、日・EU首脳は、年2回の対話と人権理事会における協力を基礎に、日本とEUは人権分野での協力を拡大すべきであるとの意見を共有した。
国際刑事裁判所(ICC)
日・EU首脳は、国際的な関心の高い最も重大な犯罪についての責任を確立するため、ICCとその重要な役割を完全に支持していくことを再確認した。日本とEUは、同裁判所の効率性を更に向上させるために協力し、ローマ規程の普遍化を促進する取組に貢献していく。
保護する責任
日・EU首脳は、2005年世界サミット成果文書に述べられているとおり、国連憲章及び国際法の諸原則を念頭に置きつつ、国連安保理決議63/308にしたがって、国連総会において、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪から国民を保護する責任、及びそれが持つ含意について検討を継続する必要性を強調した。
3.地域的な課題における協力
日・EU首脳は、東アジアや中央アジアに関する戦略的対話、及びそれぞれの近隣地域の発展に関する見方についての定期的な意見交換を行うことの有用性を強調した。日・EU首脳は、国際の平和と安定を促進するため、協力をより行動志向なものとする重要性を認識し、オペレーショナルな協力を強化していく意図を共有した。
日・EU首脳は、西バルカン、東方パートナーシップ、黒海シナジー、地中海連合を含むEUの近隣国の安定化のための政策や取組において、協力が可能な分野を探求することに関心を表明した。
東アジア地域統合
日・EU首脳は、開かれた、透明性のある、包括的で機能的な協力の原則に基づく東アジア共同体を長期的観点から構築していく重要性について一致した。東アジアサミット(EAS)が他の参加国と緊密なパートナーシップのもとASEANにより運営されるフォーラムであることを認識し、日本は、拡大するEASへのEUの関与についての継続的な関心及び東南アジア友好協力条約へのEUの加入を歓迎した。
アジア欧州会合(ASEM)
日・EU首脳は、グローバル化した国際社会の発展への更なる貢献のため、アジア・欧州両地域間の対話、協力、政策形成のプラットフォームとして、アジア欧州会合(ASEM)が果たす重要な役割を確認した。日・EU首脳は、また、ASEMは、両地域において、政治、経済及び文化の各分野における交流を増進させ、「対話モード」から「パートナーシップ」へと移行すべき時期にさしかかっていることを認識した。この観点から、日・EU首脳は2010年10月4日から5日にベルギー・ブリュッセルで開催されるASEM8への期待を表明した。
中東和平プロセス
日・EU首脳は、中東において、公正、包括的かつ永続的な和平を確立するために努力することの特別な重要性を強調した。日・EU首脳は、イスラエルと、独立、民主的、一体かつ自立可能なパレスチナ国家が、平和と安全のうちに隣接し共存する二国家解決という見解を共有した。また、イスラエル・パレスチナ間の和平交渉再開が緊急に求められている点で一致した。日・EU首脳は、パレスチナ自治政府が国づくりのための計画を実施していくこと、及び制度作りに力を注いでいくことへの強い支持を示すとともに、日・EU首脳が、パレスチナ国家建設への努力への協力を含む中東和平プロセスの進展に対する更なる協調に向けた可能性を探求していくことを表明した。
ミャンマー
日・EU首脳は、最近採択された制約的な選挙関連法につき懸念を表明した。日・EU首脳は、2010年に予定されている選挙が、透明で自由、公正かつ十分に包含的なものになることを求めた。また、日・EU首脳は、ミャンマー政府に対し、アウン・サン・スー・チー女史を含むすべての政治犯を釈放することを求めた。日・EU首脳は、実質的な政治的進展に対しては前向きに反応する用意があることを表明した。日・EU首脳は、国連事務総長による周旋努力に対する全面的支持を改めて確認し、ミャンマー政府に対し、国連事務総長に対して協力することを求めた。
スリランカ
日・EU首脳は、スリランカにおける大統領選挙及び最近の議会選挙の結果に留意した。この関連で、日・EU首脳は、スリランカ政府及びスリランカの全てのコミュニティーに対し、長期的な安全と繁栄を達成するために、過去の分裂を乗り越え、真の和解に向けた具体的な行動することを求めた。日・EU首脳は、今後、こうした目的を達成するためのスリランカの取組を促し、支援するために協力していく。
アフリカ
日・EU首脳は、アフリカ連合を含むアフリカと緊密に協力し、TICAD(アフリカ開発会議)プロセス及びEU・アフリカ共同戦略の枠組みを通じて、ミレニアム開発目標を含むアフリカの発展と前進を継続的に支援していくことを再確認した。更に、日・EU首脳は、アフリカにおける平和と安全の重要性を認識し、アフリカの平和維持能力の向上や民主化の推進に向けた支援を積極的に行っていくことで見解が一致した。