アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成22年4月28日
28日17時40分より19時06分及び20時8分より21時40分にかけて、我が国より鳩山総理、EU側よりファン=ロンパイ欧州理事会議長及びバローゾ欧州委員会委員長他が参加し、第19回日・EU定期首脳協議が開催されたところ、概要は以下のとおり。
鳩山総理は、2010年を日・EU関係が新たな出発を迎える年であると位置づけ、新時代の日・EU関係にふさわしい具体的で行動志向な日・EU関係を構築したい旨述べ、ファン=ロンパイ欧州理事会議長は、経済分野のみならず政治分野においても、日・EU関係を強化したい旨述べた。
両首脳は、合同ハイレベル・グループの中で日EU経済関係の包括的な強化及び統合に向けた「共同検討作業」を開始することで一致し、日EU双方は、同作業において、双方が関心を有する関税・非関税分野を含めた課題を取り扱うこととなった。その際、基準・規制の調和は、日EU双方が制度改革を行うことによって実現していくべく協力していくこととなった。また、半年後に進捗をレビューし、来年の首脳協議にて、同作業の結果示される選択肢に基づき、次のステップを決定していくこととなった。
鳩山総理は,具体的協力案件として、平和構築のためソマリア及びイエメン問題への対応、アフガニスタン支援における連携等を進めたい旨述べ,ファン=ロンパイ議長もかかる分野での協力に意欲を示した。
バローゾ欧州委員会委員長より,G8やG20サミットを成功に導くべく日本と連携していきたい,EUとしては,1)世界経済の持続可能な回復,2)金融市場改革,3)IMFの機構改革等を重視している旨述べた。これに対し,鳩山総理より,日本としても是非EUとG8やG20サミットに向けて連携していきたい旨述べるとともに,我が国が実施している景気・経済対策について説明を行った。
ギリシャの経済問題について、EU側から詳細な説明があり、我が国としても、支援策がギリシャに対する市場の信任回復につながることを期待する旨表明した。
鳩山総理より、京都議定書の枠組みの単なる継続は受け入れられず、日・EUの協力を通じ、地球規模の削減に繋げるために主要排出国の参加を確保することが重要と述べたのに対し、バローゾ委員長より、気候変動分野における鳩山総理のリーダーシップに敬意を表する、日本と協力してCOP16を成功に導きたいとの発言があった。
日EU間で,NPT運用検討会議において具体的な成果を出せるよう,連携していくことで一致した。また,EU側より,日豪両政府による「2010年NPT運用検討会議に向けた実践的核軍縮及び不拡散措置の新しいパッケージ」について,EUとして同様の立場を有しており,同会議に向けた貢献として高く評価している旨の発言があった。
鳩山総理より、本年10月に開催予定のCOP10で設定される2010年以降の新たな目標は、意欲的かつ途上国にとって現実的で達成可能なものになることが重要である旨述べた。
鳩山総理より、6月のイーター理事会でベースライン文書に合意できるよう、EU側の指導力に期待している旨述べた。
鳩山総理より、東アジア共同体構想について過去の戦争経験を乗り越えようという欧州の統合を範としている,貿易・投資といった経済面のみならず,教育や文化面といった多くの側面で,「友愛」の精神と長期的なビジョンを持って統合を進めたいと考えている旨述べたのに対し,ファン=ロンパイ欧州理事会議長より,欧州の統合も,石炭や鉄鋼といった比較的容易な分野から段階的に進んできたものであり,長期的な取組が必要であった旨述べた。
鳩山総理より,日中間の「戦略的互恵関係」の内容を充実させていくことが重要である一方、透明性を欠いたまま進められる軍の近代化や海洋活動の活発化等についての懸念を表明すると共に,EUの対中武器禁輸措置解除問題に対する我が国の反対との立場を述べた。それに対し,EU側より,EUは中国との間には強い経済関係があるが,中国の発展は他国にとって好機であると同時にチャレンジでもある,現在,EU側では中国に対してどのような外交政策をとるべきか検討を行っているところである旨述べた。
鳩山総理より,北朝鮮による核・弾道ミサイル開発は容認できない,北朝鮮が速やかに六者会合に復帰し、非核化等が実現されるよう、日・EU各国が、安保理決議を着実に実施しつつ、引き続き結束して臨むことが重要,拉致問題についても北朝鮮は対応する必要があり,EUからも引き続き北朝鮮に働きかけして欲しい旨を述べたのに対し,EU側より,日本側の見解に完全に同意する旨述べた。
EU側より,これまでイランに対しては「対話」と「圧力」の二重トラック・アプローチをとってきたが,EUはイランに対して非常に強い懸念を抱いており,圧力を強めていく必要があると考えている旨述べたのに対し,鳩山総理より、我が国はイランとの間で歴史的に良好な関係を有しており多くの石油も輸入しているが,イランの核問題に対する懸念を共有している,イランとの独自の関係を活用し,IAEA査察の十分な受入れを含め,建設的な対応を求めていきたい旨応答した。
鳩山総理より、我が国の対アフガン支援策について説明をすると共に,アフガニスタンにおける真の安定と復興のためには、元タリバーンとの和解と再統合が重要であり,EUとこれらの面でも協力していきたいと述べた。これに対し,ファン=ロンパイ欧州理事会議長より,我が国の対アフガン支援策,特に昨年11月に発表された新支援パッケージについて評価する旨の発言があると共に,アフガン警察への協力を含め,日EU間の協力を推進していきたい旨述べた。
パキスタンについては,日EU間で,同国の内政安定,印パ関係の改善,及び強固な経済基盤の構築が望まれる旨一致した。また,EU側より昨年4月のパキスタン支援国会合(於:東京)を評価する旨の言及があった。
鳩山総理より、海賊問題の解決のためにはソマリアの復興や周辺国の海上取締能力の向上が重要,日・EUは共に部隊を派遣しており、ジブチ訓練センター支援等でも協力し、多層的取組を推進したい旨述べたのに対し,EU側は同意を示した。さらに,EU側より,我が国のP3Cのジブチへの派遣を特に評価している旨の言及があった。