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2007年6月5日
知的財産権の保護と執行は、世界経済の成長のための主要な原動力であるイノベーションと競争にとって死活的に重要である。これは、ともに先進的で知識集約型の経済を有する日EUにとり特にあてはまる。消費者及びビジネス界の利益及び権利を保護し、イノベーションを促進する責任を共有する日EUは、既存の共同イニシアチブ(「アジアにおける知的財産権の執行に関する日EU共同イニシアチブ」)を更新し、二国間及び多国間枠組みの双方において、世界的に知的財産権を保護し、執行する共同の努力を拡大することを決定した。
この目的のため、日EUは、以下の通り、知的財産権の保護と執行に関する日EU行動計画を採択した。
知的財産権に関し大きな懸念がある第三国において、大使館・代表部間で定期的またはアドホックに知的財産権に関する情報交換を行うための二国間ネットワークを構築する。これら大使館・代表部は、民間部門または第三国政府が行う知的財産権関連セミナー/フォーラムへの参加を通じて、産業界と積極的に連携する。日EUは、第三国における知的財産権の保護・執行を促進するための他の効果的な協力方法を引き続き探究する。
第三国で操業する中小企業が被る損害に関する情報交換を促進するとともに、そのような中小企業に対し知的財産権侵害の課題に対処するために有益な指針及び情報を提供する。
日・EC税関相互支援協定の早期締結のための作業を強化。執行に関する情報及びベストプラクティスの交換を含む、知的財産権執行のための国境管理に関する税関当局間の協力を更に強化する。
第三国並びに日本及びEUにおける模倣品・海賊版による知的財産権侵害に関する情報共有を促進する。侵害状況、及び著作権、意匠権、ブランド等に対する損害に対処するための方策について議論する。知的財産権に関し大きな懸念がある第三国に対し、模倣品・海賊版撲滅への更なる努力を要請する際に意見を調整する。第三国における日EU消費者の模倣品・海賊版購入に対処する方策を議論する。
第三国において公共部門と民間部門(例えばJETRO等を含む)間の連携を強化する。公共部門は民間部門が行う知的財産権関連の行事に対し積極的に参加する。
シナジー効果を得る目的で、第三国における知財保護・執行のための技術協力活動に関し連携する。これは、能力構築、啓蒙活動等の分野を担当する専門家間で情報交換を通じて実施される。専門家は首都または第三国で会合を持つ。
知的財産権の保護及び執行に関する共通の国際基準の確立、並びに、国際協力の促進を通じた、世界的な模倣品・海賊版撲滅のための国際的な法的枠組みを強化する可能性を探求する。
当初欧州委員会が提案した知的財産権の執行に関する共同提案等を含め、特に知的財産権執行の分野において、TRIPS理事会の会合における緊密な協力を維持する。
調査・審査結果の相互交換等を通じて、双方の権限を有する特許当局において、特許審査を合理化する可能性を引き続き探求する。
地理的表示に関連するお互いの制度に関し相互理解を促進すること、及び、お互いの制度に基づく協力を強化することを目的として、地理的表示に関連する商標保護等、地理的表示に関連する保護の技術的側面に関する情報交換ネットワークを立ち上げる。
著作権保護の制度的側面、特に著作権補償料制度の分野に関し、相互理解を促進するために担当当局間で専門家レベルの情報交換を促進する。
(1)予見可能で安定的な国際特許制度を確保する問題に特別な重要性を付与する。異なる特許制度間の調和に向けた、関係国際フォーラムにおける双方の権限を有する特許当局間の協力を支持する。
(2)日本は、共同体特許及び欧州特許司法制度の分野等、現在行われている欧州の特許制度を改革する努力を歓迎する。
世界知的所有権機関(WIPO)の著作権等常設委員会(SCCR)で現在議論されている、放送機関の保護に関する条約の締結に向けた作業を行い、積極的にWIPO会合で協力する。