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平成19年6月
(1)EUでは、1967年に導入し数次の改訂を経て実施されている既存の化学物質規制制度があるが、同制度の下では、1981年9月18日を基点に、「新規化学物質」と「既存化学物質」を分類している。新規化学物質については、EU指令 67/548/EECに基づき、製造・輸入業者が行った安全性評価を基に行政が審査を行い全ての物質の安全性を確認している。一方、約3万種類が市場に流通しているとされている既存化学物質については、EU規則 793/93に基づき、行政が安全性評価を行い規制等の措置をとっているが、行政側が規制措置の妥当性を業者に対し証明する必要があることや、他のEU加盟国との調整に時間を要すことなどから、ごく僅かな数の物質についてしか安全性評価が実施されていない。
(2)既存化学物質についての安全性評価が進まないという問題点等を克服するため、2001年2月、欧州委員会は「今後の化学物質政策の戦略白書」を発表し、工業用化学物質の審査及び規制の仕組みを大幅に見直し、リスク評価・管理を強化する方針を発表、新たな化学物質規制として、REACH(Registration Evaluation Authorisation and Restriction of Chemicals)規則案の導入を提案した。
(3)その後、パブリック・コメント、欧州議会と欧州理事会の最終的な合意(共通の立場の形成)(2006年5月)を経て、第二読会において欧州議会及び理事会により採択された(2006年12月)。 なお、REACH規則は2007年6月に施行。また、欧州化学物質庁が発足し、2008年には本格的に規則が実施される予定。
(1)登録(Registration)
(2)評価(Evaluation)
(3)認可(Authorisation)
(4)制限(Restriction)
行政庁が実施したリスク評価の結果、リスク軽減措置が必要な場合には、製造、上市、使用が制限される。
(参考)環境省「REACH関連情報」 http://www.env.go.jp/chemi/reach/reach.html
(1)REACH規則は、化学産業界、特に中小企業への負担が過度になること、対EU輸出への影響が大きいこと、欧州の化学産業の競争力が損なわれる恐れがあること、実効性が確保されていない等の懸念が示されている。また、EU域外国は、新たな規制が貿易制限的とならないかとの懸念から、WTO/TBT委員会やAPEC化学ダイアローグでの議論も行われた。
(2)国際的な環境保護の取組において貢献を行っている我が国としては、EUの化学物質政策における「人の健康・環境の保護」の目的を理解しているが、以下の基本的立場に基づき、パブリック・コメントにコメントを提出した他、日EU規制改革対話等の二国間協議や、WTO、APEC等の多国間協議の場においても我が国の関心・懸念事項を伝達してきた。
1)目的に照らして過剰な義務・負担を事業者に課すべきではない。
2)EU向け輸出を阻害し、必要以上に貿易制限的にならないよう配慮すべき(特に製品に含まれる化学物質の登録の条項については一般的、抽象的表現が多く、運用次第では必要以上に貿易制限的な効果をもつおそれがある)。
3)OECD等の場で国際的に実施・検討されている化学物質規制制度の国際調査の動きとの整合性を確保すべき。
4)EU加盟国内における規制適用の統一性、透明性、公正性を確保すべき。
(3)我が国からの働きかけの結果、規則案において一定の改善が得られたが(※)、REACH規則の運用の詳細は未だ不明であることなどから、我が国企業関係者の意見をも聴取しつつ、我が国企業が不当に不利益を被ることのないよう、引き続きEUに働きかけることとしている。
(※)改善された主なポイント
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