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欧州中央銀行(ECB)による主要政策金利の引き上げ

平成17年12月2日

欧州中央銀行(ECB)は、1日の政策理事会で、物価安定に対するリスクを考慮し、緩和的な金融政策スタンスを調節するため、主要政策金利を0.25%幅引き上げ、2.25%とする決定を行った。(主要政策金利の変更は2003年6月以来、利上げは5年2ヶ月振り)
主要政策金利の変更
  現状 決定後
主要政策金利
(主要リファイナンス・オペ最低入札金利)
2.00% 2.25%
限界貸付ファシリティ金利 3.00% 3.25%
預金ファシリティ金利 1.00% 1.25%

政策理事会後のECBトリシエ総裁による記者会見冒頭発言概要

1. 概要

 政策理事会は、定期的な経済・金融分析に基づき、2年半にわたる歴史的な低水準での据え置きの後に、主要政策金利を0.25%引き上げることを決定した。今回の利上げ決定は、物価安定に対するリスクを考慮し、緩和的な金融政策スタンスを調整するためのものであり、ユーロ圏の中長期的な物価上昇期待を物価安定と整合的な水準に固定させることに寄与する。金融政策は引き続き緩和的であり、ユーロ圏の持続的な経済成長と雇用創出に大きく貢献している。

2. 経済分析

(1) マクロ経済
 2005年下期より経済活動は強化されている。2005年の実質GDP成長率は、第1四半期の前期比0.3%、第2四半期の同比0.4%を経て、第3四半期は同比0.6%となった。外需は、世界経済の継続的成長がユーロ圏の輸出を下支えし、内需は、良好な資金調達環境と企業収益の力強い増加により設備投資が回復し、実質可処分所得の増加に伴って個人消費が徐々に回復すると期待される。

(2) 物価
 最近のエネルギー価格の上昇は、2%を大きく上回る水準に消費者物価を押し上げ、今後も短期的には高水準で推移すると考えられる。ユーロ圏の物価安定は上方リスクに晒されており、石油市場動向、石油価格上昇の消費者への価格転嫁、賃金と価格設定における二次的影響、公共料金と間接税の更なる引き上げと関連している。

3. 金融分析

 金融分析も中長期的な物価安定に対する上方リスクの増加を示している。貨幣供給量の増加によりユーロ圏における流動性は十分である。更に、借入、特に抵当による借入の増加は引き続き大変力強い。この関係では、幾つかの加盟国における住宅市場の物価動向を厳密に監視する必要がある。

(グラフ)主要各国政策金利表

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