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日EU規制改革対話ブリュッセル会合の概要
(平成21年3月12日)
平成21年3月
3月12日、平成20年度日EU規制改革対話・局長級会合がブリュッセルにて開催されたところ、概要以下のとおり。局長級会合では、平成20年度日本側対EU提案が主に議論された。
1.出席者
(1)日本側:鈴木経済局長(日本側議長)、松浦経済統合体課長他外務省関係者、経済産業省、農林水産省、EU代表部。
(2)EU側:コバンダ欧州委員会対外関係総局次長(EU側議長)、ハットウェル対外関係総局日本課首席、関係総局、EU関係加盟国。
2.議論の概要
10日の専門家会合(情報通信技術、食品安全・農水産品、環境を議論)及び11日の課長級会合(全提案事項を議論)の会合を踏まえ、以下のとおり日本側重点項目を取り上げ、EU側の更なる取組を求めた。
(1)EU域内投資環境総論
- EU規制環境に関する全般的評価(「リスボン戦略」の推進、更なる規制改革が必要なセクター)
- ビジネスに対する行政コスト削減に関するEU「より良い規制」の実施加速化。
(2)人の移動
- 欧州共同体の権限に関する問題:企業内転勤者に関する指令案(企業内転勤者と経済移民の明確な区別、滞在労働許可の発給決定期限の厳格化(30日以内)、申請手続きのEU内統一化)。
- EU加盟国の権限に関する問題:邦人ビジネスマン・家族の滞在労働証の早期発給・手続き簡素化。
(3)環境
- REACH(化学品規制):EU域内での統一的な運用、ガイドラインの明確化、透明性確保等。
- RoHS(電気電子機器に関する特定有害物規制指令):他の環境規則との二重規制の回避、適用除外に関するルールの明確化、フリーライドを生まない公平な運用等。
(4)医薬品
- EUにおける偽造医薬品の流通に対する厳格な措置。製造企業への責任転嫁防止のため、偽造医薬品の回収責任の所在の明確化。
(5)食品安全
- EU諸国向け日本産肉及び肉製品の輸出認可
- 有機JAS規格のEU有機食品認証統一基準との同等性
- 日本産魚油のEUへの輸出に対する新たな規制の緩和
3.総括
日本側議長より、本年度において日本側提案に関し進展の見られた分野として、1)会計基準(我が国会計基準と国際会計基準の同等性の決定)、2)知的財産権(欧州各国との「特許審査ハイウェー」実施)、3)滞在労働許可(ポルトガル(発給決定までの期限の導入、手続簡素化)、ルーマニア(手続簡素化)、英国(英語能力要件の緩和))及び 4)食品安全(EU諸国向け日本産肉等の輸出、有機JAS規格のEU有機食品認証統一基準との同等性)をあげEU側の取組みを評価するともに、未解決事項へEUの更なる取り組みを求めた。
4.その他
EU側より、来年度EU側より提案を予定している項目の紹介として、1)政府調達、2)対内直接投資の促進、3)牛肉・牛製品の対日輸出、4)有機農産物認証(改正JAS法による再登録手続き負担の軽減等)、5)技術基準(医薬品、医療機器、電気通信機器、木材等の承認期間の迅速化等)、6)自動車(「国連の車両等の型式認定相互承認協定」規則採択の加速化等)、7)郵政民営化(対等な競争条件の確保、専門家レベル意見交換の強化)に関する簡単な説明があった。
平成20年度規制改革対話
日本側対EU提案の概要
I.業種横断的規制
- 域内投資環境(商法・商慣行、人の移動(迅速かつ簡素な滞在労働許可制度の実現、運転免許の返却等)、雇用・社会保障(労働市場の柔軟性確保、EU域内における社会保障制度の整備等))
- 規格・基準認証(製造者に過度の負担を生じさせない制度の実現に向け、EUが進めている見直し作業についての情報提供等)
- 貿易・関税(AEO制度の相互承認、国際海上コンテナ貨物情報の事前通知制度に係る技術要件の明確化等)
- 情報・知的財産権(国際特許制度調和の推進等)
- 海洋政策(海上安全、海洋生物多様性、海洋汚染、船舶リサイクル等)
- 環境規制(REACH(化学品規制)、RoHS(電気電子機器に関する特定有害物規制)、WEEE(電気電子機器のリサイクル規制)の適切な実施等)
II.業種別規制
- 情報通信技術(携帯電話国際ローミング料金上限規制の適正な運用等)
- 金融サービス(信用格付会社の域内法人設立要件撤廃、監査の同等性評価、非上場会社について国際会計基準又は我が国会計基準使用の許容等)
- 医療・医薬品(偽造医薬品対策、医療機器登録制度一元化等)
- 検疫・食品安全(日本産肉・肉製品の輸出認可、有機JAS規格の同等性承認、魚油の輸出に係る新たな規制の緩和)
- 税制(EU内の企業課税制度の調和と統合等)