アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成18年3月24日
(1)日時:3月21日(金曜日)10時00分~16時30分 於:ブリュッセル欧州委員会本部
(2)日本側出席者:石川外務省経済局長(共同議長)、市川経済統合体課長他、5省庁の関係者、在EU日本政府代表部関係者。
(3)EU側出席者:コバンダ欧州委員会対外関係総局次長(共同議長)、フィンク・フーイエ同日本課長他、欧州委員会及び加盟国政府関係者、駐日欧州委員会代表部関係者。
(4)同会合の準備を目的として、20日に、電気通信、医薬品、環境に関する各専門家会合、及び課長級会合を開催。
今回の会合では、日本側の対EU提案を中心に議論が行われた。
EU内の国境を越える損益通算について、EU側より、新たなコミュニケーションを準備中であり、6月中に提出する予定である旨説明。「国境を越えた合併に関する指令」の早期実施につき、EU側より欧州委としても加盟国に対し適切な対応をとっている旨説明。欧州非公開会社法の早期導入につき、EU側より、コンサルテーションを実施中である旨説明があり、日本政府からのコメントを期待する旨発言。
我が方より、共同体特許制度の早期実施を要請し、欧州委が実施しているコンサルテーションに意見提出を行う旨発言。また、我が国が提唱している模倣品・海賊版拡散防止のための法的枠組構想に対するEUの支持を要請した。EU側より、知的財産権保護はEUにとり優先課題の一つである、日本の言う法的枠組構想については今後更に検討したい旨発言。
日本側より、各加盟国(伊、白、蘭、独、仏、瑞、チェコ)に個別要望を説明。白より、解雇制度、病欠制度は基本的に労使の交渉によること、労働時間の柔軟化に努めている旨の説明があった。
また、日本側より、社会保障協定の締結状況を説明した。
仏より、外国法律コンサルタント(FLC)制度導入のために努力中との説明があった(独は出席せず)。
日本側より、ブロードバンド普及促進のため支配的事業者のネットワークの開放及び政府による競争中立性確保のため現職政府職員が既存事業者の役員を兼職することの禁止を求めた。これに対し、EU側より、各加盟国において支配的事業者に対し必要な規制を課していること、及び各加盟国政府の中立性については、日本と考え方が異なり、現行の措置で十分である旨説明があった。
また、日本側より、放送時間の5割超を欧州製番組とする規制について、少なくとも衛星・ケーブルテレビ等の多チャンネル放送については緩和すること等を求めた。これに対し、EU側より、文化については加盟国の権限に属する部分が大きく、最終的には加盟国の判断次第である旨説明があった。
会計基準の同等性判断決定についてEU側より、欧州証券規制当局委員会(CESR)の技術的助言、国際会計基準(IAS)のEUにおける導入後の状況、日本や米国の会計基準のIASとのコンバージェンス作業の進捗を考慮する必要があるとした上で、欧州委としては、マクリーヴィ委員が既に発言しているとおり、最大限のコンバージェンスが実現するよう、同等性判断の決定時期を2年間延期し、2009年まで現状を維持することが最善の道筋と考えており、欧州委としての提案内容が決定次第、日本の当局にも送付する旨述べた。
日本企業のベルギー建設市場への参入に関する制限的措置について、ベルギーより、GATSと整合的と理解しているとした上で、日本側の要望がより明確になったので正式な回答を行いたい旨述べた。
欧州治験指令について、EU側より、大半の加盟国において最長60日間の審査期間が実施されており、違反しているフランスに対しては、是正手続を開始している旨説明。
また、EU側より、EU域内における医薬品の並行輸入について、価格設定は加盟国権限であるが、並行輸入の問題は、G10のフォローアップとして立ち上げたフォーラムにて議論を行っている旨説明。
日本側の最大関心項目の一つであるREACH(欧州における新たな化学品規制)に加え、WEEE(廃電池・電子機器指令)、RoHS(特定有害物質使用禁止指令)、EuP(エネルギー使用製品に関するエコデザイン要求設定枠組み指令)及び温暖化ガス規制に関する各指令案について、日本側より、懸念事項を伝達しEU側の対応を求めた。EU側より、REACHについては、昨年末の政治的合意を踏まえ今後、欧州委としての提案を行う旨の説明があった。また、RoHSについては今後施行のためのガイドラインを作成し公表すること、EuP指令案については、日本の企業も含めた域外の団体もコンサルテーションフォーラムに参加できる旨の説明があった。温暖化ガス規制案については、関係団体との協議を続けていく旨の発言があった。
日本側より、各加盟国の滞在労働許可取得の容易化・迅速化は在欧日系企業関係者の最大の関心事項であるとして、関係加盟国(伊、西、仏、ポルトガル、オーストリア、チェコ、ハンガリー、英、ギリシャ、アイルランド、白、ポーランド、フィンランド、蘭、デンマーク)毎に個別要望を説明し改善を要請。
これに対し、ポーランド、アイルランド、ギリシャ、英、ポルトガル、フィンランド、白より、各国の取り組みや最近の進展についてそれぞれ説明があった。
また、日本側より、経済移民の取り扱いに関するEUのグリーンペーパーにおいて、経済移民と企業内転勤者 を明確に区別する旨要請。EU側より、日本側の意見も取り入れ欧州委で作成中の「経済移民に関する指令」及びその後の個別分野ごとの指令の中で、企業内転勤者についても扱う予定であり、一般的な指令は2007年、企業内転勤者に関する指令は2009年までに導入する予定である旨説明があった。
日本の運転免許をEU加盟国の運転免許へ切り替える際、日本の運転免許が日本大使館経由で返却可能となったことを、我が国より改めて評価するとともに、チェコ、ギリシャ及びスロバキアにおける実施状況について改善を要望した。これに対し右三か国政府出席者より、それぞれの進捗について説明があった。
2005年9月に欧州委が発表した「より良い規制」につき、これが各国の個別規制の調和化にマイナスとならないようにとの日本側の関心に対し、EU側より、行政コスト削減を目的としたアプローチであり、加盟国との権限関係を変更しようとするものではない旨説明があった。
東京会合の約二ヶ月前までにEU側が対日提案書を提出すること、最終的な書面回答の交換を5月末までに完了することに合意した。
また、EU側の対日提案の内、日本の投資環境(会社法第821条、三角合併及び関連税制措置)、金融サービス(少額短期保険業者の再保険制度)、医薬品・医療機器(新薬承認プロセスの加速化、新薬データ保護期間の延長)等につき議論した。
上記の協議の結果、今回の会合では、以下の対EU要望について、具体的な進展ないしは一定の前向きな反応が得られた。
(商法・商慣行分野)
(補論)
(金融サービス)
(電気通信)
(医療・医薬品)
(環境)
(ビジネス環境の基盤的事項)
(参考1)規制改革に関する日本の対EU提案(提案項目一覧別添1.(PDF))
規制改革に関するEUの対日提案(提案項目一覧別添2.(PDF))
(参考2)今回の会合では、日本側の全提案事項に関し、欧州委関係各部局に加え、加盟国の権限に属する要望について、我が方が出席を要請した加盟国16か国中、仏、ベルギー、英国等、12か国からの出席及び説明があった。
(参考3)日EU規制改革対話は、平成6年(1994年)に開始。近年は東京とブリュッセルにおいて会合を開催している。毎年双方で相手方に対する規制改革提案書を交換し、ビジネス環境改善のための日・EU双方の規制のあり方について議論を行っている。平成17年度は、平成17年11月の東京会合に続いて今回が2回目の会合。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。