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日本と東ティモールとの間の共同プレスステートメント(仮訳)
平成21年3月9日
(英語版はこちら)
2009年3月9日、麻生総理大臣は、公式実務訪問賓客として3月8日から11日まで訪日中のシャナナ・グスマン東ティモール民主共和国首相兼国防・治安大臣と会談し、日本・東ティモール関係につき有意義な意見交換を行った。両首脳は、これまでの友好的な両国関係を歓迎し、今後の更なる関係発展のために、以下の共同プレスステートメントを発出した。
1.日・東ティモール関係の強化
- 両首脳は、日本と東ティモールとが、未来を志向する良好でより緊密な関係を構築すべく、現在の協力を強化するとの共通のコミットメントを再確認した。
- 人権や民主主義といった普遍的価値の共有に基づき、麻生総理は、国づくりに取り組む東ティモールに対し、引き続き協力と支援を行っていくことを表明した。また、両首脳は、あらゆる分野における重層的な人的交流を通じ、二国間関係を更に発展させていくことの重要性について一致した。
- 麻生総理は、ラモス・ホルタ大統領の早期の訪日を招請した。グスマン首相より、招請への謝意を表するとともに、招請を大統領に伝達する旨述べた。
2.平和構築支援
- グスマン首相は、日本が、東ティモールの独立前の1999年より、真実和解委員会を支援するプロジェクト等150億円におよぶ資金協力を行ってきたのみならず、自衛隊施設部隊、文民警察、選挙監視団、技術協力等の人的貢献を行ってきたことに対し、東ティモール国民を代表して甚大なる謝意を表明するとともに、2009年度の東ティモール政府の開発重点事項はインフラストラクチャー、地方開発、キャパシティ・ビルディングである旨説明した。
- 麻生総理は、日本は、東ティモールを含むアジア太平洋地域の平和と安定のため、今後とも東ティモールにおける平和構築を積極的に支援する旨述べた。
- 両首脳は、東ティモールの国づくりについて議論を行い、別紙のとおり認識を共有した。
3.国際場裡における両国間の協力関係の確認
- グスマン首相は、東ティモールは、21世紀の世界の実情を反映する拡大された国連安全保障理事会の常任理事国にG4(ブラジル、ドイツ、インド、日本)を含めることを支持する立場を引き続き堅持する旨、また国際社会における日本の一層の活躍を期待する旨述べた。麻生総理より、国際場裡における東ティモールの一貫した日本への支持に対し感謝するとともに、安保理非常任理事国として、安保理における東ティモールの議論をリードしていく所存である旨述べた。
- 北朝鮮に関しては、両首脳は、北東アジアの永続的な平和及び安定のためには、日朝国交正常化が不可欠であるとの認識を共有し、その目的のため、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決することの重要性を強調した。グスマン首相は日本の立場に対する協力を表明した。また、両首脳は、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の改善に向けて国連等の場で協力していくことを再確認した。
- 両首脳は、気候変動問題に関し、すべての主要経済国が責任ある形で参加する実効性のある2013年以降の枠組み構築への決意を表明した。
- 両首脳は、テロの防止、根絶のための取組、また海賊対策の重要性を確認し、グスマン首相は、同分野における日本の貢献を賞賛した。
- グスマン首相は、東ティモールの2012年までのASEAN加盟実現の目標を改めて表明し、麻生総理は、東ティモールの円滑なASEAN加盟を支持する旨表明した。
別紙
(1)人的貢献・キャパシティ・ビルディング
- 両首脳は、東ティモールの国づくりのためには、治安、行政、教育等、あらゆる分野におけるキャパシティ・ビルディングが急務であるとの認識を共有した。
- グスマン首相は、体制が未整備の海上警備の分野における日本の支援を要請した。麻生総理は、2月にグテーレス治安担当国務長官を招へいし、3月に海上保安庁関係者を東ティモールに派遣していることに触れ、今後とも可能な支援を実施する旨述べた。
- グスマン首相は、2005年1月25日に署名された技術協力及び青年海外協力隊の事業に関する協定に基づく可能な限り早期の青年海外協力隊の派遣を希望した。麻生総理は、青年海外協力隊を派遣すべく現在準備を進めている旨述べた。
- 麻生総理は、2010年度より、防衛大学校に留学生を受け入れる用意があることを表明した。グスマン首相は、これに謝意を表明し、プログラムの着実な実施を望む旨述べた。
- 麻生総理は、4月に実施予定の「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」に東ティモールの青少年を招聘する用意がある旨表明した。
- 両首脳は、東ティモールの平和と安定的発展のために国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)が果たす役割の重要性を確認した。グスマン首相は、UNMITへの要員派遣を含め、東ティモールの平和と安定に対する日本の更なる貢献に対する期待を表明し、麻生総理は、どのような貢献が可能か検討する旨述べた。
(2)石油・天然ガスの産出国としての重要性
- 両首脳は、東ティモールが、石油・天然ガスの産出国として、日本のエネルギー安全保障に貢献しており、将来的にも重要なポテンシャルを有しているとの認識を共有した。
(3)インフラ整備支援
- グスマン首相より、基礎インフラの整備は東ティモールの発展にとり急務であるとして、円借款に対する関心が示された。麻生総理より、貴首相の関心を踏まえ、インフラ整備支援の可能性について検討を行うための調査団を派遣する旨を表明した。
(4)基礎教育・保健・医療
- グスマン首相より、基礎教育の拡充や感染症対策等を含む母子保健分野の対策の重要性について言及した。
- グスマン首相の期待に応え、麻生総理は、東ティモールに対する備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の供与等、あり得る支援について検討する旨述べた。
(5)草の根での支援
- グスマン首相より、東ティモールの国内各地で日本人NGO関係者が大いに活躍していること、また「千(せん)のトイレプロジェクト」のような様々な日本企業による東ティモールへの貢献に対し賞賛と謝意が表明された。麻生総理より、対東ティモール支援に対する日本国民・企業の関心が更に高まることを期待し、引き続きあらゆる形で支援を継続していきたい旨述べた。