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アナポリス中東和平国際会議の概要
平成19年11月27日
- 11月27日、米国主催の中東和平に関するアナポリス会議(the Annapolis Conference)がメリーランド州アナポリスにて開催された。この会議には、イスラエル、パレスチナ両当事者に加え、米国を含め50の国及び国際機関等が参加した。また、この会議に先立ち、26日にライス長官主催の夕食会が開催され、ブッシュ大統領も出席した。
- この会議には、オルメルト・イスラエル首相、アッバース・パレスチナ自治政府大統領、カルテットから、ブッシュ大統領及びライス国務長官、ブレア・カルテット特使、パン国連事務総長、ソラナCFSP上級代表、アラブ和平イニシアティブ・フォローアップ委員会から、サウード・サウジアラビア外相、アブルゲイト・エジプト外相、ミクダード・シリア副外相等、その他G8各国外相及び楊中国外交部長などが参加した。我が国からは有馬政府代表(中東和平担当特使)が出席した。
- 会議では、冒頭、ブッシュ大統領より、イスラエルとパレスチナの間で、双方が平和と安全のうちに共存するニ国家解決を図るべく、アナポリス会議後に核心的課題を含む全ての課題を解決し、和平条約を締結するための交渉を開始することで合意したと発表した。また、この交渉は、2008年中(ブッシュ政権の任期内)の合意を目指すこととし、そのため、両当事者からなる調整委員会を設置して交渉チームの作業を監督すること、アッバース大統領とオルメルト首相は2週間に1度の割合で会談を行うこと、両当事者はロード・マップの義務を直ちに履行するとともに、これを監視するためのイスラエル、パレスチナ、米国の三者の監視委員会を設置すること、和平条約の履行は、ロード・マップの実施状況によることが発表された。
- 続いて、アッバース大統領より、2008年中の交渉妥結に向けて強いコミットメントが示されるとともに、将来の国家建設パレスチナの自立可能な経済開発のための支援について、欧州諸国とともに、我が国への謝意が表明された(具体的に国名に言及があったのは、米国を除いて我が国だけ)。また、オルメルト首相より、パレスチナとの和平実現に強い決意が述べられるとともに、アラブ諸国との関係正常化への強い決意が述べられた。
- ライス長官主催のワーキング・ランチでは、ロシアより、2008年の第1四半期にモスクワでアナポリス会議をフォローアップするための国際会議を開催したいとの表明があり、ムーサ・アラブ連盟事務総長より、イスラエル・パレスチナの交渉の状況を確認するためには、フォローアップが必要であるとしてこれを支持する発言があった。午後のセッション(議題:和平プロセスへの国際的な支援、パレスチナの機構改革及び能力構築、中東における包括的和平に向けて)では、各国より、米国のイニシアティブを高く評価するとともに、現在中東和平実現に向けた機運が高まっておりこの機運を逃すべきではない、そのために今回の会議の成功は非常に重要であるとの表明があり、アラブ諸国を含め国際社会が一致して両当事者の努力を支持した。また、ニ国家解決の実現には、パレスチナの機構改革と自立可能なパレスチナ経済の実現が必要不可欠であり、12月にパリで開催されるパレスチナ支援プレッジング会合を含め、国際社会が一致してパレスチナを支援していくことが重要であることが強調された。さらに、中東和平の実現には、シリア、レバノンも含めた包括的な和平の実現が必要であるとの発言が、シリア、レバノンを含めた多くの国からあった。
- 有馬代表からは、我が国として、ブッシュ大統領のイニシアティブとライス長官の仲介努力を高く評価する旨述べるとともに、我が国の中東和平に対する積極的な関与を改めて表明し、オルメルト首相及びアッバース大統領の和平努力への我が国の評価・支持を表明した。また、有馬代表より、我が国の対パレスチナ支援や自立可能なパレスチナ国家建設と関係者の信頼醸成のために「平和と繁栄の回廊」構想を引き続き積極的に推進していくと表明した。