鳩山総理は、12日16時20分(現地時間)から約50分間、核セキュリティ・サミットに出席するために訪問中の米国ワシントンDCにおいて、胡錦濤国家主席との間で会談を行った(中国側:令計画・党中央弁公庁主任、王滬寧・党中央政策研究室主任、戴秉国・国務委員、・外交部長、張平・発展改革委員会主任、陳徳銘・商務部長、李毅中・工業・情報科学技術部長他、日本側:松野官房副長官他同席。)。
1.日中関係
(1) 日中関係全般等
日中双方から、最近の日中関係が全体として順調に進んでいること、特に最近、首脳間の往来が緊密に行われていることを評価した。その上で、双方から、温家宝総理の本年上半期の訪日、鳩山総理の上海万博期間中の訪中、胡主席の横浜APEC出席等への言及があり、互いに、首脳往来を通じて、日中「戦略的互恵関係」をさらに充実させていくことで一致した。
その文脈の中で、胡主席から、特に昨年末、日本側から、中国側の若手メディア関係者、社会科学研究者等を訪日招聘するとの話があったが、これは、「遠見卓識」ある提案であるとして高く評価したいとの発言があった。
(2) 東アジア地域での協力
東アジアでの共同体構築や協力について、鳩山総理から、中韓、ASEAN等関係国と協力して進めていきたい、その中でも日中が中核となって努力していきたい旨述べた。胡主席からは、東アジア地域一体化のプロセスの推進における鳩山総理の努力を高く評価したい、鳩山総理は、アジアにおいて、友愛外交を進め、東アジア共同体構想を提起しておられるが、この考え方は、中国が提唱している、「調和のとれたアジア」、「調和のとれた世界」とも通ずるものである、この面において、日中間での協力を推進し、貿易、金融、インフラ等の面での一体化を推進するために努力していきたい旨述べた。
(3) 東シナ海での協力
鳩山総理から、東シナ海を「友愛の海」とするとの認識について、双方は一致しているが、その一方で、東シナ海資源開発問題については具体的進展がない、早期に国際約束締結交渉に入れるよう、胡主席の関係部門への明確な指示を求めたい旨述べた。また、鳩山総理から、日中間での海難救助・捜索に関する協力の推進や防衛当局間の海上連絡メカニズム創設といった、東シナ海における日中間での危機管理メカニズムの構築も進めていく必要がある旨指摘した。
これに対し、胡主席からは、東シナ海を「平和・友好・協力の海」にすべきであることは中国側も述べている、2008年の合意は、日中「戦略的互恵関係」の推進に合致しており、また、両国の根本的利益にも合致している、中国はこの原則合意を重視し堅持する、引き続き、日中が接触を維持し、共に環境作りを行うことを希望する旨述べた。
(4) 食の安全
鳩山総理から、ギョウザ事件の被疑者が逮捕された件については中国側関係者の努力を評価するとともに、今後、刑事当局間の協力を通じた一層の真相究明が進むことを期待する旨述べ、「食品安全推進イニシアティブ」については、早期に関係閣僚に署名させたい旨述べた。これに対して、胡主席からは、ギョウザ事件の犯人が逮捕されたことにより、日中関係に良い影響を与えることを期待する旨述べた。
2.地域・グローバルな問題
(1) 北朝鮮問題
鳩山総理から、六者会合への北朝鮮の速やかな復帰に向けた中国の外交努力を評価する旨述べた。これに対し、胡主席からは、中国側も六者会合については努力している、関係国が努力して、六者会合の早期開催を目指したい旨述べた。
(2) 気候変動問題等
鳩山総理から、我が国は、CO2削減の面において、高い目標を掲げている、中国もさらに大きな努力をすることを期待している、本年メキシコでのCOP16が成功を収めるよう協力したい旨述べた。これに対して、胡主席からは、 本年のメキシコにおけるCOP16では、気候変動枠組条約に基づき、京都議定書の基礎の上に、バリ・ロードマップの求めるところにより、最終的に、包括的でバランスのとれた拘束力のある成果を求めたい、そのために関係各国と努力していきたい旨述べた。
さらに、胡主席からは、省エネ、環境保護、低炭素社会、循環経済、グリーン経済等の面についても、日中間の協力をさらに進めていきたい旨述べ、鳩山総理から、我が国は、かつて、公害の問題を克服した経験があり、省エネ、グリーン経済、循環社会、石炭火力発電等の分野において、優れた技術を有しており、是非、中国と協力してCO2の大幅削減を進めていきたい旨述べた。