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日加外相会談(概要)

平成21年5月15日

(写真)


 5月14日、中曽根外務大臣は、飯倉公館において、外務省賓客として訪日中のキャノン・カナダ外相との間で、19時から45分間外相会談、20時から1時間25分間大臣主催夕食会を行ったところ、概要以下のとおり。

I.日加関係

1.天皇皇后両陛下のカナダ御訪問

 中曽根大臣より、キャノン外相の初訪日を歓迎するとともに、日加両国が修好80周年を記念する本年は、天皇皇后陛下がカナダを御訪問される節目の年であり、御訪問の成功に向け協力していきたい旨述べた。これに対し、キャノン外相より、両陛下の御訪問は、80年間の日加関係のハイライトであり、御訪問を心から歓迎する旨述べた。

2.政治・安全保障協力

 両国外相は、日加両国は、G8のメンバー及びアジア太平洋地域のパートナーとして政治・安全保障分野での協力の可能性は大きく、特に今般の人道支援物資を運搬するカナダ軍用機の我が国への受け入れに関する標準運用手続(SOP)の完成は、日加協力前進の重要な一歩であることで一致した。

3.新型インフルエンザ

 中曽根大臣より、「新型インフルエンザ」の発生、蔓延に関し、我が国も情報収集に努めるとともに、各種対策を講じている旨説明の上、カナダとも必要に応じて情報交換や対策等につき協力していきたい旨述べた。キャノン外相より、日加協力の重要性を指摘した上で、強力な監視、管理体制を確立し、両国で科学的根拠に基づいた対策をとりたい旨述べた。

4.子の奪取条約

 キャノン外相より、子の奪取に関するハーグ条約への我が国の加盟につき要請があった。これに対し、中曽根大臣より、子の福祉を最優先に対応することが重要であり、我が国としては同条約締結の可能性を真剣に検討している旨述べた。

5.日加経済関係

 中曽根大臣より、2010年はカナダがG8、我が国がAPECの議長となり、地域・世界の経済で主導的役割を果たすべきである、また、科学技術・エネルギー分野での協力具体化も重要と述べ、キャノン外相より、カナダはエネルギー資源が豊富であり、食の安全にも配慮するなど、日本は重要な経済上のパートナーである旨述べた。

 キャノン外相より、我が国とのEPA交渉の立上げ要望があり、中曽根大臣より、貿易投資対話や次官級経済協議で検討を進めたい旨述べた。また、キャノン外相より、既に発効した日加社会保障協定に加え、我が国とケベック州政府間の社会保障協定の協議が要望された。

6.日加交流

 中曽根大臣より、日加間の信頼関係強化のため、両国国民の一層の交流が重要である旨述べた。キャノン外相より、本年は、加日修好80周年を記念して、カナダは、ワーキング・ホリデーの我が国からの参加者枠の倍増、及び80名の学生にカナダ留学のための奨学金を付与するプログラムの紹介があった。

II.地域・国際社会情勢

1.北朝鮮

 中曽根大臣より、安保理決議第1718号を厳格に実施していくことが重要である、北朝鮮が建設的な対応をとることを期待する、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向け、引き続きカナダの支持と協力を得たい旨述べた。これに対し、キャノン外相より、全面的に日本の懸念を共有し、日本の立場を支持している、拉致問題についても日本人と気持ちは一緒である、六者会合は現実には最良のメカニズムであり、これを支持する旨の発言があった。

2.中国

 中曽根大臣より、中国が国際社会と協調しつつ安定的に発展することは、国際社会にとって好機である一方、不透明な形で進められる軍事力の近代化、軍事費の急増、金融危機の実体経済への影響を注視している旨述べ、また本年2月の大臣訪中、首脳レベルでの頻繁な交流につき説明した。キャノン外相より、カナダとアジア諸国の貿易増加、及び訪日直前の訪中の成果につき説明し、また、同外相より、日中韓首脳会合の開催等にみられる麻生総理のリーダーシップを評価した。

3.アフガニスタン・パキスタン・イラン

 中曽根大臣より、アフガニスタン復興のためのカナダの貢献を評価した。これに対し、キャノン外相より、我が国のインド洋での補給支援活動、アフガニスタンへの多大な資金協力、ゴール県への文民派遣の件に対し謝意を表明した。また、中曽根大臣より、アフガニスタン・パキスタン・イラン・中央アジア等の地域を一体として捉えることが重要であり、アフガニスタンの経済的自立を促すための中長期的支援を行っている旨述べた。キャノン外相より、アフガニスタンは、カナダ外交上の最優先事項であり、アフガニスタンの平和、安定、民主主義、経済的な自立支援が重要である旨説明した。両国外相は、緊密に協力していくことで一致した。

 キャノン外相より、我が国が先月開催したパキスタン支援国会合の成功に祝意を表明した。

 中曽根大臣より、先般の自らのイラン訪問について説明した。

4.核軍縮・不拡散

 中曽根大臣より、2010年NPT運用検討会議第三回準備委員会に言及しつつ、全ての核保有国による取組を通じて、世界的な核軍縮の機運が生み出される必要があるとの認識を示した。また、同大臣より、核軍縮を進めるための11の指標を提案し、来年早期に核軍縮会議を我が国にて開催することを紹介したのに対し、キャノン外相より、明年のG8議長国としてカナダは、NPT運用検討会議を意味のあるものとすべくイニシアティブを取っていきたい旨述べた。

5.気候変動

 両国外相は、年末のCOP15において、すべての主要経済国が責任ある形で参加する公平で実効的な次期枠組みにつき合意できるよう、両国間で引き続き、連携・協力を図っていくことで一致した。

6.北極

 中曽根大臣より、航路開通、漁業、資源開発等、様々な活用可能性の広がりが今後予測されている北極海への我が国の関心を表明した。また、カナダも加盟国である北極評議会へのオブザーバー参加希望を表明済みであり、カナダの協力を得たい旨述べた。

7.グローバル・ガバナンス

 両国外相は、今秋に第3回G20サミットが予定されており、こうした場でも、引き続きG7/8が主導的役割を果たしていくことが重要であることで一致した。

8.国連安保理改革

 中曽根大臣より、安保理改革は喫緊の課題であり、我が国の常任理事国入りに対する理解と協力を求めたのに対し、キャノン外相より、よく相談していきたい旨述べた。

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