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パルヴァノフ・ブルガリア大統領の訪日(概要と評価)

平成21年1月29日

1.訪問概要

 1月25日~29日、パルヴァノフ・ブルガリア大統領及び同令夫人は、公式実務訪問賓客として日本を訪問しました。ブルガリア大統領は、訪日中、天皇皇后両陛下との御会見、麻生総理大臣との首脳会談を行った他、河野衆議院議長及び江田参議院議長との会談、経団連等経済関係者との意見交換、京都視察等を行いました。また、パルヴァノフ大統領に公式随員として同行したカルフィン副首相兼外相は中曽根外務大臣と外相会談を行いました。

2.今次訪問の評価

(1)パルヴァノフ大統領の今次訪日は、同大統領自身にとっては初訪日、ブルガリア大統領の公式訪問としては約12年ぶりであり、ブルガリアのメディアでも連日大きく報道されました。今次大統領の訪日を通じて、日本とブルガリアの間で、政府、地方自治体、経済界、文化関係者をはじめ幅広い交流が行われたことは、本年の日・ブルガリア外交関係再開50周年を通じた両国間の友好協力関係強化に向けて、極めて有意義なものでした。

(2)両首脳が、2009年の日・ブルガリア外交関係再開50周年に際し、要人往来をはじめとして二国間関係が幅広い分野で順調に発展していることを確認すると共に、政治、経済、文化等、幅広い分野において、二国間関係の一層の発展を図っていくことを確認したことは極めて有意義でした。

(3)また、両首脳は、国連安保理改革、気候変動といった国際社会の重要課題についても協力方針を確認することができました。さらに、欧州情勢をはじめとする、双方にとっての重要な国際・地域情勢についても意見を交換し、共通の認識を確認することができました。

3.首脳会談の主要点

(1)二国間関係

(イ)麻生総理は、両国の外交関係再開50周年の開幕を飾るパルヴァノフ大統領の訪日を歓迎し、この記念すべき年に際しパルヴァノフ大統領と秋篠宮殿下が交流年名誉総裁に就任されたことを嬉しく思う旨述べました。また5月頃に予定される秋篠宮同妃両殿下のブルガリア御訪問が、両国発展の良き機会となるようパルヴァノフ大統領と緊密に協力していきたい旨述べました。

(ロ)両首脳は、両国の経済関係発展には更なる発展の余地があるとの認識を共有し、麻生総理は、ブルガリアにおける投資環境整備に向けた一層の努力に対する期待を表明しました。

(ハ)両首脳は、今後は開発分野においても二国間の協力関係を構築することで一致しました。

(ニ)麻生総理より、今月派遣が開始された日本文化発信ボランティアが、両国間の一層の相互理解、交流促進に資することを期待する旨を述べました。パルヴァノフ大統領より、同ボランティアの派遣を高く評価し、その活動に対し全面的に協力していきたい旨述べました。

(2)グローバルな課題における協力

 両首脳は、国連安保理改革、気候変動等国際社会が直面する諸問題について、今後ともパートナーとして一層緊密な協力を行っていくことを確認しました。

(イ)国連安保理改革について、両首脳は、その早期実現の必要性につき意見が一致し、パルヴァノフ大統領より、日本の国連安保理常任理事国入りに対する支持が表明されました。

(ロ)両首脳は、気候変動に関しCOP15の成功へ向けて協力することを確認し、また、引き続き京都議定書の下での共同実施(JI)における協力に関する覚書に基づき、具体的協力を進めていくことで一致しました。

(3)地域・国際情勢

 両首脳は、現下の欧州情勢やバルカン情勢に関し、意見交換を行いました。

(イ)麻生総理より、バルカン半島における安定勢力としてのブルガリアの重要性を評価し、今後ブルガリアがますます重要な役割を担うことを期待する旨述べました。パルヴァノフ大統領より、バルカン半島において国際社会における共通の価値観が定着していくよう引き続きブルガリアとしても努力していきたい旨述べた。

(ロ)パルヴァノフ大統領より、エネルギー供給を巡る最近の状況について、ロシア・ウクライナ間のガス供給を巡る問題には一応の決着が付いたが、欧州はエネルギー資源の多様化という共通の課題に直面しており、様々な議論が行われているところである旨述べました。

4.外相会談の主要点

(1)二国間関係全般

(イ)両外相は、今次のパルヴァノフ大統領の訪日や、5月頃に予定される秋篠宮同妃両殿下のブルガリア御訪問が、二国間関係の一層の発展の契機となることを期待するとともに、周年を通じて、幅広い分野で緊密に協力していくことで一致しました。

(ロ)中曽根大臣は、NATO・EU加盟国となったブルガリアの、南東欧及び黒海地域のみならず、世界の安定と繁栄のための貢献に対する高い評価を伝達しました。

(ハ)カルフィン副首相兼外相よりは、日本がこれまで行ってきた対ブルガリア支援に対する謝意が述べられるとともに、ブルガリアは日本との関係を重視しており、今後、伝統的友好関係を更にダイナミックな協力関係へ発展させるため、中曽根大臣と協力していきたい旨の発言がありました。

(ニ)両外相は、経済関係の強化、開発分野における協力関係構築、外交官交流の開始等について一致しました。特に経済関係の強化に関し、カルフィン副首相兼外相より、一層の活性化を望む旨述べたのに対し、中曽根大臣より、両国経済関係の更なる発展の余地を活かすためにもブルガリア側のビジネス環境整備に向けた継続的努力の重要性を強調しました。また、中曽根大臣からは、今月28日にソフィアに到着した日本文化発信ボランティアが、両国間の一層の相互理解、交流促進に資することへの期待が述べられました。

(2)地域情勢・国際場裡における協力

(イ)カルフィン副首相兼外相より、国連安保理改革について、日本の常任理事国入りに対する支持が表明されました。中曽根大臣は、ブルガリア側の支持表明に感謝すると共に、カルフィン副首相兼外相との間で、今後とも安保理改革等諸課題で緊密に連携していくことで一致しました。

(ロ)気候変動問題について、両外相は、COP15の成功へ向けて協力することを改めて確認するとともに、引き続き京都議定書の下での共同実施(JI)における両国間の協力に関する覚書に基づき、具体的協力を進めていくことで一致しました。

(ハ)その他、両外相は、西バルカン、黒海地域、コーカサス等の欧州情勢など、双方が関心を有する地域・国際情勢について意見交換を行いました。

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